三つの歌①バラ [day by day]
きのうは初夏の陽気。
外出で上着を持って行こうかどうか迷ったけど、置いてったものね。
それが今日は雨。でも外出はやはり上着なしで。
ところでここ最近やけにバラの花が目を引きます。
「5月のバラ」というぐらいですから、いまが盛りなのでしょうか。
赤、白、黄、桃、橙と色鮮やか。とくに見慣れないせいかオレンジのバラが美しい。
サントリーが数年前でしたか人工的に「青いバラ」の生育に成功したことが話題になりましたが、さすがに実際に青いバラをみたことはありません。
しかしどこの家のバラも元気に咲き誇っております。それになぜかどれも大きい。
まさか放射能をタップリ浴びたせいではないでしょうが。
昭和30年代、あることはありましたが、これほどたくさんの庭で見かけることはなかった。
それこそ、庭にバラを植えているのは洋風でハイカラな家でした。
どうしてもバラというと西洋のイメージが強いのですが、万葉の昔から日本に自生していたようです。
しかし、おそらく現在あるような派手でゴージャスな花弁を持った花ではなかったんじゃないでしょうか。
もしいまとさして変わらないバラならば、もっといろいろなシーンに登場したはずでしょう。
たとえば、光源氏があまたの女性から薔薇のプレゼント攻撃を受けたとか、出雲阿国が薔薇をくわえて歌舞伎を踊ってみせたとか……。
テレビや映画の時代劇をみたって庭先でバラの手入れをしている御隠居さんなんか出てこないし、お気に入りの大夫への土産としてバラの花束を持った若衆なんか見かけないものね。
おそらく野ばらのような貧相というか、地味なバラだったんでしょう。
それがいつの頃からかバラは日本でもゴージャス、あるいは情熱的な花の代表になってしまいました。
女性へのたとえでも「バラのような」といえば派手で情熱的なイメージの人ですよね。
女優にたとえると…………、先ごろ亡くなったエリザベス・テイラーとか、エヴァ・ガードナーとかクラウディア・カルディナーレとか、日本で行ったら……李香蘭とか京マチ子とか(古い人ばっか)。
話がだんだんカビ臭くなってきたので、最後にバラにちなんだポピュラーな歌を三つばかし。それも今日のところは洋楽で。
「百万本のバラ」MILLION ROSES
ごぞんじラシアンポップス。オリジナルはラトビアのポップスだそうだが、ロシアのアーラ・ブガチョワAlla Pugachevaがうたってヒットした。
日本でも加藤登紀子がカヴァーしてヒット。忠実な訳詞も加藤自身。
はじめ聴いたとき、百万本ものバラを広場に敷きつめちゃって、女優が町を出て行ったあと、どうやってかたづけたんだろう、たいへんだったろうなぁなんてロマンもチックもないことを考えたりして。
「ローズ・ガーデン」I NEVER PROMISED YOU A ROSE GARDEN
カントリーからも1曲。
カントリーの「バラの歌」もほんとに多いけれど、ポップスとしても最もヒットしたのはリン・アンダーソンLYNN ANDERSONのこの曲ではないでしょうか。カントリーに興味のない人でもこの歌が好きだという人はけっこういます。
ポピュラーな曲なので日本でもいろいろな歌手にカヴァーされているでしょうね。
ゴールデン・ハーフでは聴いたことがあるけど。
「バラの刺青」THE ROSE TATTOO
同名映画の主題歌でペリー・コモPerry Como がうたってヒットさせました。
テネシー・ウィリアムスの戯曲が原作で、若き日のバート・ランカスターが出演していました。残念ながら原作も読んでませんし、映画もみていません。
でも、昔から好きな歌。日本ではフランク永井がカヴァーしていました。
いいですね、「バラの刺青」っていうタイトルが。思わせぶりで。
しかし、このタトゥー、していたのは男で、それも胸に。
いまの日本でも抵抗なくタトゥーを彫る若者が増えてますね。でも、バラを彫るのはどちらかといえば男より女ではないでしょうか。肩や太股なんかに。
わたしなどは古い人間ですから、自分の子供が刺青を入れるなんていったら感動、じゃなくて勘当もの。まして女の娘だったら座敷牢(そんなものないけど)に閉じ込めちゃいますね。
あんなもの若くて肌に張りがあるときだけのもの。歳をとって皮膚がたるんできたらみられたものじゃありません。バラだか紙くずだかわからなくなっちゃったり。
いまはタトゥーに似せたシールもあるらしいので、どうしてもファッションとして愉しみたいのなら、そうしたイミテーションでいいと思いますね。見た目は変わらないのだから。
それも肌に直接ではなくて、靴下にワンポイントで貼るとか。
白い靴下に赤いバラのシール。ローズソックスなんちゃって。
雨が降ろうが雪が降ろうがバラはバラ。
雨にぬれて水滴をたたえたバラはことさら美しい……、なんて齢だよなぁ。
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