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その名は●五月(メイ) [the name]

梶芽衣子.jpg

♪男いのちの 純情は 燃えて 輝く金の星
 夜の都の 大空に 曇る涙を 誰が知る
 
 影はやくざに やつれても 訊いてくれるな この胸を
 所詮 男のゆく道は なんで女が 知るものか
 ………………
(「男の純情」詞:佐藤惣之助、曲:古賀政男、歌:梶芽衣子)

この5月にふさわしい名前といえば、ストレートに五月(さつき)あるいはメイ

「さつき」の有名どころといえば、たとえば小泉チルドレン(懐かしいフレーズ)で名を馳せた片山さつきや元アナウンサーの有賀さつきがおります。
片山さんは5月生まれで、素直なご両親の命名です。有賀さんは残念ながら5月生まれではないようで。だからといってご両親がひねくれてるってわけではないのですが。

まぁ、とにかくどちらも「さつき」ちゃん。女の子の名前としては今だってけっして古くない、エヴァグリーンネーム。
ただ、歌手となると「さつき」ちゃんが見当たらない、というか思い浮かばない。

しかし名前ではなく苗字ならいます。
昭和30年代、まだ「演歌」なんて言葉がなかったとき「芸者ソング」で世のオヤジたちの鼻の下をビョーンと伸ばさせた(古いでしょいい回しが)のが五月みどり

残念ながらわたしはまだヨチヨチ歩き、なわけないか。まぁボチボチ歩きだったので鼻の下はそのままでしたが。
それでも「おひまなら来てね」とか「一週間に十日来い」などヒット曲は、幼き耳にも聴こえておりました。

なかでも好きだったのが「温泉芸者」
♪あまりあんたがいい人だから 酔ったふりして甘えたの

なんて、小学生でわかってたのかねえ。

ガールポップス前夜のこの時代、三味線に鉦・太鼓・笛を駆使した日本調の歌謡曲が多かった。
榎本美佐江とか神楽坂浮子とか赤坂小梅とか花村菊江とか。

残念ながら五月みどりさん、「さつき」も「みどり」も芸名で本名は大野フサ子。もちろん5月生まれでもありません。

まぁ、「さつき」はこんな程度で、次は「メイ」

そのものズバリの「メイ」といえばアイドル歌謡の横本メイ

「スター誕生」のハワイ大会で優勝してデビューを果たしたという日系?世。
メイちゃんもやっぱり芸名で(横本は本名)で、昭和51年に阿久悠お得意の“間借りソング”「すてきな貴方」でデビュー。
芸能界に飽きてしまったのか、いい男でもみつけたのか(余計なこと)すぐにフェイドアウト。

そのほかでは、「メイ」はいませんが、「メイコ」なら。

昭和20年代から30年代のラジオの時代、名子役として、またストレンジヴォイスを駆使して人気者(タレントなんていわなかった)になった中村メイコ

歌手としてレコーディングも数々。
なかでもヒットしたのが昭和30年の「田舎のバス」
♪田舎のバスは オンボロ車

とヨチヨチ(まだいってる)のわたしもうたっていました。
クレーマー横行の現代なら袋叩きにあいそうな歌ですけどね。
「どこがオンボロなんじゃい、われ」なんて。

これは、三木鶏郎の作詞作曲で、ほかにも「わたしゃ町の易者じゃがね」とか「ほらとれたよコーヒー」「わたしは貴方が釣りたいの」、あるいはCMソングの「やっぱり森永ネ」など独特のトリローソングをいくつかうたっています。

また旦那さんが作曲家の神津善行という関係から作詞もいくつ手掛けています。
以前紹介した中島そのみ、あるいは懇意にしていたという美空ひばりの歌などを。

なかでも最大のヒットとなったのが江利チエミ「新妻に捧げる歌」
大津美子「ここに幸あれ」とともに、いにしえのウェディングソング。

中村メイコも本名ではない。ただ本名は五月(さつき)で、もちろん5月生まれ。

次の「めいこ」さんは、昭和50年代末に「キミたちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」でスマッシュヒットをとばした中原めいこ

作曲は彼女自身。大胆にもスイングの「ザッツ・ア・プレンティ」That’s a Plenty をイントロにそのままいただいちゃてる編曲は「六本木純情派」(荻野目洋子)の新川博。で、ワケのわからない歌詞は森雪之丞

彼女の本名は小原明子(おばらめいこ)で5月生まれ。芸名を「中原」ではなく「大原」にしていればもっとヒット曲が出ていたかも。現在は休業中だそうです。

で、最後は真打ちの「めいこ」さん。
もちろん梶芽衣子の姐御。
はじめに断っておきますが、彼女もフル芸名。本名は太田雅子で3月生まれ。

脇役専門でテレビドラマに出ていた太田雅子時代から、暗いというかクールというか、とにかく異彩を放っていた女優さんでした。

そんな彼女がブレイクしたのは日活を出て(ロマンポルノへ路線変更したため出ざるをえなかった)、東映へトラバーユしてから。

その後の「野良猫ロック」、「女囚さそり」、「修羅雪姫」の各シリーズでのブレイクは邦画ファンならいわずもがな。タランティーノもゾッコンだったとか。

そして(元)日活レディーズとしては例外的に歌も上手で、「女囚さそり」の主題歌「怨み節」や「修羅雪姫」の「修羅の花」などのオリジナルヒット曲も。
ほかにも「晩夏」とか「海ほうずき」とか「命日」なんていい歌もあります。

でも今日はイケてるカヴァーの昭和歌謡を聴きたい気分なもので。

まずはいちばん好きな「男の純情」
青年将校が反乱を起こした昭和11年、藤山一郎がオリジナルの古賀メロディー。抒情的な詞は「人生劇場」、「緑の地平線」の佐藤惣之助
ちあきなおみや都はるみの「上手どころ」で聴くのもいいけれど、芽衣子さんの声にはなぜか戦前の昭和(未生ですけど)が匂ってくる。

定量オーバー必至となりましたので、あとは駄文抜きで6曲ばかり(カッコ内はオリジナル歌手)。

「新宿ブルース」(扇ひろ子)
「紅ホテル」(西田佐知子)
「銀座の蝶」(大津美子)
「昔の名前で出ています」(小林旭)
「東京流れもの」(竹越ひろ子)
「舟唄」(八代亜紀)

ところで、「さつき」と「メイ」といえば「となりのトトロ」。
最近、ある若い衆から「となりのトトロ」にまつわる「都市伝説」なるものを聞かされました。

なんでも「メイ」が本当は死んでいた、という話。
ある場面から、メイの影が消えているとか。

まぁヨタ話と察して半分聞き流していたのですが、「トトロ」には、昭和38年に起きた女子高生殺害事件、いわゆる「狭山事件」が暗喩されている、と聞いてちょっと興味が。

で、よくよく聞いてみれば、ロケーションが同じだとか、事件が発覚したのが5月だったとか、被害者には姉(犯人と唯一会話を交わし、のちに自殺する)がいるとか、宮崎監督は左翼的思想の持ち主で「狭山事件」冤罪説に立っていたとか(実際にそんな話は聞いたことないけど)。そんな程度のピースをいくつ組み合わせたってジグソーバズルは完成しないのに。

だいたいあれほど生真面目な宮崎駿監督が、アニメという子供向けのメッセージに政治性や猟奇事件を裏ストーリーとして織り込むなんてことはしないだろうし、万が一そうした意図があったとしたら、あれほど明晰な人ならば、もっと緻密な裏ストーリーをつくるはず。その「都市伝説」をつくった誰かさんとはアタマの出来が違う。

そもそも「都市伝説」なんてものは戯れ歌にある「江戸っ子」のようなもの。

「都市伝説は 皐月の鯉の吹き流し 口先ばかりで 中身からっぽ(はらわたは無し)」

なんてね。


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