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喫茶店●ジュークボックス [a landscape]

喫茶店●ジュークボックス.jpg

The train is comin’ down the track
It’s bringin’ my baby back
She been gone so long
But now the train is bringing her home

Oh train hurry up, bring my baby back
Hallelujah, look, it’s comin’ on down the track
Train hurry up, bring my baby back
Hallelujah, look it’s comin’ on down the track
…………
([THE TRAIN] written by R.CORDELL, J.KATZ, J.KASENETZ, vocals by 1910 FRUITGUM COMPANY,1969)

「喫茶店」の最終回は個人的な体験を。

ところで喫茶店の初体験はというと、高校の時でした。「奥手だなぁ」って? ええ、まぁ女性と同じで……。

いやぁ、中学まではコーヒー牛乳は飲んだことがあっても、コーヒーなんか飲んだことなかったなぁ。
まして喫茶店に入るなんて不良のすることだと思っていたもんね。

それが高校へ入ると悪い友だちがおりまして(人のせいにしてる)、煙草を教えられーの、酒を教えられーの、麻雀を教えられーの、○○を教えられーのって…………。いまでいう高校デビューっていうんですか。ま、そんな15歳でした。

そんなわけで喫茶店も初体験ということに。

高校の最寄りの駅前にビルがありまして、その最上階が喫茶店になっていました。ワンフロアすべてという大きな喫茶店で、そこへ学生服のまま数人で陣取っていたのですから、いま考えると豪気なものです。
喫茶店に入ることが学校で禁止されていたのかどうか、記憶がないのですが。常識的に考えるとあの時代なら禁止だったのでしょう。校規は破るために存在するなんて……、そんな年頃でした。

で、何が楽しかったのかといえば、もちろん「ダベリ」でしょうね。どんなことを話したのかほとんど覚えていませんが。
コーヒーも苦いばかりで、砂糖を2杯も3杯も入れて、その旨さがわかるにはまだまだ修行が足りない未熟者でした。

とはいえ「ダベリ」だけを目的に、しょっちゅうそんな所へはいきません。好きな女の子が一緒ならともかく、野郎ばかりだったのですから。

実はたびたび行きたくなる「お楽しみ」があったのです、その喫茶店には。
それがジュークボックス

そこで好きなレコードをかけてそれをBGMに「ワイワイガヤガヤ」やるんです。

いろいろその頃流行っていた音楽をかけていたのでしょうけど、行くたびに何度もジュークボックスにコインを落としていました。いくらぐらいだったのでしょうか。コーヒーが100円ぐらいで、ジュークボックスは30円とか、いや3曲で100円とか、そんな感じじゃなかったかな。
それだって高校生にとっては結構な負担で、夜、ガソリンスタンドでアルバイトをはじめたのもその頃でした。

で、そのジュークボックスの話ですが、どんな曲をかけていたのかほとんど忘れてしまっていますが、鮮明に覚えている曲が2つあります。

1曲は当時日本で大ヒットした1910フルーツガム・カンパニー1910 FRUITGUM COMPANYの「トレイン」The Train 。

これはほんとに仲間みんなが好きでした。
たとえばわたしがコインを落とし、曲が流れ、やがて終了すると、友だちの誰かが席を立ってコインを落としてくる。するとまた「トレイン」が流れはじめる、といった具合に。

フルーツガム・カンパニーのヒット曲といえば「サイモン・セッズ」Simon Saids ですが、日本では「トレイン」のほうがはるかにヒットしたように記憶しています。

もう1曲は森進一「命かれても」。ドドドド演歌ですね。
森進一はデビュー間もない頃で、当時「港町ブルース」とか「花と蝶」なんかと一緒にこの「命かれても」も流行ってました。

そのきっかけが友だちのT。
彼は洋楽一辺倒で、大の演歌嫌い。
とにかく言うことやることがキザでイヤミな野郎。

そんな彼が年上の女性にふられたとかで、ふだんのおしゃべりはどこへやら、喫茶店でも意気消沈のたそがれ坊や。
はじめはポーズかな、なんて思っていましたが、そのうち涙がツーッと。

あまりふさぎこんでいるので、他の連中と相談して、何か励ましになるレコードをかけてやろうということになりました。そして、その選曲をなぜかわたしが引き受けることに。

そこで選んだのが森進一の「命かれても」。
もちろん彼の演歌嫌いを知ってのイタズラ。友だちがいのないヤツでしょ。

ところがジュークボックスから流れる演歌を聴いていた彼、今度は嗚咽しはじめたではありませんか。

ひとしきり泣いた後、彼がポツンと言った言葉。
「……森進一って、よく聴くといいなぁ」
だって。

そんな彼だから立ち直るのも早く、そのあと“おしゃべり野郎”復活。
しかし、彼女が別れ際に「アタシより、もっとあなたにふさわしい女性をみつけてね」と言ったとかどうとか。そこでまた思い出したのか泣きじゃくって。そんな話を延々続けられて……こっちはもう。

そしてその数カ月後、その彼はオートバイに乗っていて車と衝突し救急車で病院に運ばれたものの、3日で退院するという離れ業を演じることになるのですが。それはまた別の機会に。

とくべつ仲が良かったわけでもないのですが、“サテン友だち”のなかではなぜか彼のことをよく覚えているのです。不思議なことに。
ラジオの公開番組に狂ったり、突然「なぜ鳩が平和の象徴なのか」なんて講釈をたれはじめたり。とにかくキザでしたが、いま思うとオモロイ男でした。

その後、われわれは無事高校を卒業し、しばらくして駅前が再開発されそのビルもさらに高いビルへと建て替えられ、その喫茶店も消滅してしまいました。

それから世間からもわたしからも忘れられた存在になっていきましたね、ジュークボックスは。レコードが消え、カセットテープが消え、CDまでが消え去ろうという昨今、もはや粗大ゴミ、いや骨董品的存在となりにけりでしょうか。

それでも数年前、飛び込みで入った有楽町のスナックで久々の対面をいたしました、ジュークボックス嬢と。レトロを演出するインテリアとしてではなく、実際に機能しているのがウレシかった。
興味津津の知り合いがサザンをかけていましたっけ。
もちろん「トレイン」も「命かれても」も入ってはいませんでしたが。

では最後にわが「ハイスクール・グラフティ」を。
はっきり覚えているわけではありませんが、多分ジュークボックスで聴いたであろうその頃巷に流れていて好きだったポップスのいくつかです。
並べてみるとあらためてわかるなぁ、ミーハーだったなって。

●プラウド・メアリー(CCR)
友達で黒人とのハーフの“まっちゃん”に彼の女神・ティナ・ターナーを“紹介”されて「こっちの方が断然イカしてらぁ」と思ったのは社会人になってから。

●くよくよするなよ(P.P.M.)
ギターの上手な友達にスリーフィンガーで教えてもらいました。ですから「ドント・シンク・トゥワイス」といえばディランではなく、こちらの方。

●天使のらくがき(ダニエル・ビダル)
夢見るシャンソン人形みたいに可愛かったなぁダニエル。フランスじゃ女でもダニエルがあるんだものね。この歌の元歌がロシアの歌だそうです。アレンジがいいんだ、また。

●雨に消えた初恋(カウシルズ)
これもよく聴いたなぁ。TVの「ビートポップス」でしたっけ、司会の大橋巨泉が「牛も知ってるカウシルズ」なんて言ってね。雨の歌といえば「悲しき雨音」と双璧。

●ドッグ・オブ・ザ・ベイ(オーティス・レディング)
ドゥワップの良さはベルベッツ「愛しのラナ」プラターズの一連のヒット曲で知っていましたが、R&Bのシブさを知ったのはこの曲。

●ルビー・チューズデイ(ローリング・ストーンズ)
高校時代のストーンズはこの曲と「テル・ミー」「ひとりぼっちの世界」この3曲に尽きます。

●あなただけを(ジェファーソン・エアプレイン)
これは当時のガールフレンドが大好きだった歌。入り方も変わっていてちょっと不思議な歌でした。こういうのをサイケって言ってたんですよね。

●ストップ・ザ・ミュージック(レーン&ザ・リー・キングス)
もしかしたら流行ったのは中学のときだったかも。ダンパでよく下手なバンドが演ってました。日本のカヴァはどれもダサかったけど斎藤チヤ子は歌謡曲にしてるので逆にGOOD。大甘。

●ハンキー・パンキー(トミー・ジェームズ&ションデルズ)
なぜかはじめて聴いたのはお祭りの日の神社の特設舞台で。素人バンドでしたが結構うまかった。おまけに女の娘のバックダンサーが2人いたのがミスマッチで印象的でした。

●サイレンス・イズ・ゴールデン(トレメローズ)
これは高校時代のベストソング。ですからこの歌を聴くと高校生活のいろいろなシーンがよみがえってきます。あれからずいぶん時間が経ってしまいました。やだやだ。

●マサチューセッツ(ビージーズ)
この歌を聴くとなぜかスコット・マッケンジー「花のサンフランシスコ」が思い出されます。そして数珠つなぎで当然の如くママス&パパス「夢のカリフォルニア」も。涙。


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MOMO

musemistyさん、niceをありがとうございました。
by MOMO (2010-06-24 23:16) 

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