その名は●メリー・ルー [the name]
Hello Mary Lou, goodbye heart.
Sweet Mary Lou I`m so in love with you.
I knew Mary Lou, we`d never part.
So hello Mary Lou goodbye heart.
You passed me by one sunny day.
Flashed those big brown eyes my way.
And ooo I wanted you for ever more.
Now I`m not one that gets around.
I swear my feet stuck to the ground.
And though I never did meet you before.
(What do ya say)
I said hello Mary Lou, goodbye heart.
Sweet Mary Lou I`m so in love with you.
(I love you)
I knew Mary Lou, we`d never part
So hello Mary Lou goodbye heart.
([HELLO MARY LOU] written by GENE PITNEY, vocal by RICKY NELSON, 1963)
人の名前っていうのはほんとに様々ですね。
まぁ親が勝手につけてるっていってしまうとそれまでですけど、本人じゃどうにもならないわけで、大きくなってから「こんな名前いやだ」なんていってみてもほとんどの場合、どうにもなりません。死ぬまでくっついてくるわけでして。
実はわたしも、子どものころ自分の名前がいやでいやで仕方なくって、それでもそのことで命名者を怨んだという記憶はなく、厭な思いを自分のなかに抱えてじっと耐えてたって、健気だったでしょ。まぁ、それほど大げさなものでもなかったんですけど。
でもわたしも含め、だいたいはもう少し大きくなると、自分のなかで折り合いをつけて、その厭な名前とうまくやっていけるようになるんですけどね。他人からお世辞で「いい名前だね」なんていわれると、「いやぁ、それほどでも……」なんてその気になったりして。
まぁ、それはともかく、反対に好きな名前っていうのもありますね。とくに男は女の、女は男のっていう具合に異性に対して好きな名前っていうのは、ほとんどの人はあるんじゃないのかなぁ。
よくあるのは好きになった人の名前。恋人の場合もそうでしょうし、片想いのケースもあるでしょうし。あとは、好きなアイドルとか芸能人の名前とか、小説やコミックに出てくる架空のキャラクターの名前とかですね。とにかくキャラさえよければ、熊五郎でもOKだったりして。なことないか。
ふたたび個人的なことをいいますと、付き合った女性よりも、片想いで終わった女性の名前の方が、いまだに“個人的好きな名前ランキング”の上位に入っています。
具体的にいいますと「きょうこ」とか「なおこ」とか「のりこ」とか……。(バカだね披露しちゃってるよ)
「なんだ、“子”ばっかりだな」っていうなかれ。いまでこそ「アッキーナ」だの「ユッキーナ」だの「ポッキーナ」だのって、名前も“カラフル”になってますけど、われわれの若いころは女の子は“子が主流”の時代だったのです。
で、いまや国際化時代(古いな、その言い方、発想)、好きな名前は和名ばかりとは限りません。外国の名前だって、いや外国の名前だからこそ魅かれたり。
前回のカトリーヌとかキャサリンなんていいですよね。語感もイメージも。
そんななかでけっこう好きな名前に「メリー・ルー」Mary louがあります。「メアリー・ルー」と表記する場合もありますが。
ただのメリーさんじゃなくて、「ルー」がオマケなのがカッコイイ。
なんたって「カレー」に「ルー」、「メリー」にも「ルー」っていうぐらいですから。
もともとは「ルー」はミドルネームだったようで、実際に「メリールー」よりも「メリー・ルー」と表記する場合が多いようです。
同じようなケースではマリーMary とアンAnnでマリアン(メリーアン)Marian。マリーとリンLynnでマリリンMarilynがあります。
また、エミルー・ハリスEmmylou Harrisも元はエミー・ルー・ハリスだったとか。
さらにいえば、その「ルー」、もともとは短縮形や愛称で、女性の場合ならいろいろありますが、たとえば「ルイーズ」Louiseがそう。
ちなみに男性にも「ルー」はあって、こちらはご想像のとおり「ルイス」Louisの変形。
どちらかというと「ルー」だけなら男性の方が多いのかもしれません。
では、男の「ルー」といえば誰?
「ルー大柴」?まさか。
音楽好きならルー・リードLou Reed といいたいところですが、個人的には一がルー・テーズLou Thesz、二がルー・ゲーリックLou Gehrigで、ロケンローラーは三番目。
ルー・テーズはプロレスラー。力道山時代のワールドチャンピオンでその強さから「鉄人」と呼ばれていました。
ちなみに日本のプロレスファンに「バックドロップ」を初めて披露したのがこのルーさん。その技は力道山を一発で仕留めるほどの破壊力で当時は「脳天逆落とし」などといってましたっけ。
そういえば、当時その技をテレビで見て、魅了された子どもたちが、兄弟や友だち相手に真似をしたりしてね。なかには怪我人や死者まで出たとか出なかったとか。
しかしそんな華麗な必殺技も、そのうちジャーマン・スープレックスや4の字固め、あるいはコブラツイストなどの新しい技が登場してくるや、だんだん色褪せていき、しまいには何度決めても相手は失神しなくなってしまいましたとさ。ナンデダロウ。
気がつけばかなり脱線しております。軌道修正どころか変更で。
もうひとりのルー・ゲーリックは(まだいってる)戦前のメジャーリーグはニューヨーク・ヤンキースのスラッガー。ベーブ・ルースが3番、ゲーリックが4番で黄金時代を築きました。
三冠王にも輝き生涯打率3割4分という成績もさることながら、彼を一躍時の人にしたのは、筋委縮症による現役リタイア。
「私は地球上で最も幸せな男です」と挨拶した引退セレモニーは、ゲーリー・クーパーが演じた映画「打撃王」で再現され感動を呼びました。
そしてその2年後、37歳という若さで亡くなっています。
そうでした、メリー・ルーの話でした。
では、本題に。
すぐ名前が浮かぶのが、メアリー・ルー・ウィリアムスMary Lou Williams。
1930~40年代、つまりスイングからビ・バップの時代にかけて最も輝きを放ったジャズ・ピアニストです。
同時にアフロ系アメリカ人女性として初めての本格的コンポーザー、アレンジャーでもあり、同期のデューク・エリントンDuke Ellingtonやベニー・グッドマンBenny Goodman、トミー・ドーシーTommy Dorceyといった楽団に曲を提供し、アレンジを担当したそうです。
晩年は大学で後進の指導にあたり、1981年、71歳で亡くなっています。
つぎに、ポップシンガーではメアリー・ルー・ロードMary Lou Lordが。
マサチューセッツ出身で、路上演奏からインディーズで1993年にCDデビューしたというシンガー。
ブライヴェートでは、ニルヴァーナNirvanaのヴォーカル&ギター、カート・コバーンKurt Cobain の恋人だったとか。
実は去年の今頃、この「メリー・ルー」をブログにしようと思ってみつけたシンガーなのです。なわけで、彼女がロックの世界ではどんな評価なのか、現在も活動しているのかなどまるで知らないのです。ただ、CDを聴いたかぎりではおせじにも歌唱力があるとは思えませんが、アクのないハスキーヴォイスはとても聴きやすい。
曲調はロックというよりはポップス、フォークロックという感じものが多かった。とりわけそんな感じの[Cold Kilburn Rain]とか[Lights Are Changing]はなかなかの聴きごたえ。トータルでもけっこう気に入りました。ということはメリー・ルーにハズレなしということで。
ところで、日本でも外国でも名前の流行り廃りというのはあるようで、アメリカで「メリー・ルー」が流行ったのは1950年代から60年代あたりではなかったでしょうか。
そんな想像をさせるように、その年代に「メリー・ルー」の歌がいくつかつくられています。
まずは61年ビルボード9位になったリッキー・ネルソンRicky Nelsonの「ハロー・メリー・ルー」Hello Mary Lou 。
これは日本でもカヴァーされているので、知っている人も多いのでは。
元はこれまた昭和30年代、日本でも人気のあったジーン・ピットニーGene Pitney がつくった曲。自作自演の「ルイジアナ・ママ」Louisiana Mama が知られています。
当然“男歌”なのですが、なぜか日本では弘田三枝子やザ・ピーナッツがカヴァー。さすがに“女友だち”の歌にはなっていませんで、第三者の立場からうたっています。
日本ではさらに70年代に入って「CCR」Creedence Clearwater Revival がうたい小ヒットしました。印象的なイントロのカウベルはリッキー版そのままに、カントリーロックに仕上がっています。当時、CCRに夢中でよく聴いていました。
もともとカントリーの香りじゅうぶんなので、スタットラー・ブラザーズThe Statler Brothers なんかでも聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=1hEHgPEhG3Q
またロックではこんな人も。
彼がティーネイジャーのころ好きな歌だったのでしょうか。
つぎにこれも日本では清原タケシがカヴァーした「恋の一番列車」Going Home to Mary Lou 。オリジナルはニール・セダカNeil sedaka。
Ding dong ding dong click clack a chug a chug a
Ding dong ding dong doo
といううたい出しがなんとも印象的な歌でした。
そしてもうひとつは、YOU-TUBEでみつけたのですが、やはり1950年代後半のサム・クックSam Cookeがうたう「メリー・ルー」Mary Lou。
ごきげんなR&Bですが、ロケンローラーのビル・ヘイリーBill Haleyもうたっています。お得意のロカビリーでこちらもなかなか。
そのほか「メリー・ルー」という歌はいくつかあるようで、YOU-TUBEにはありませんが、ブルース・スプリングスティーンBruce Springsteen も「メリー・ルー! オレは他のヤツラとは違うんだ!」とシャウトしています。
あらためていろいろ「メリー・ルー」の歌を聴いてみましたが、どの歌もイカしてます。
そんな歌を聴いているとメルー・ルーの姿が彷彿としてきます。
髪はブロンドのフンワカパーマ。白地に大きな青のドットは裾の広がったワンピース。ウエストは赤いベルトで絞ってあって靴はイエローのパンプス。(イージーでしょ、イメージが)
まだ幼いくせにおませで、ボーイフレンドの前だとちょっと背伸びしてみせる。
そんなキュートなメリー・ルーがひとりいたってドキドキものなのに、両手に花の二人もいた日にゃもう……。
https://www.youtube.com/watch?v=mH71N9CIs7A
そんな歌がありましたよね。
Two Mary Lou, Two Mary Lou 早く大人になりたい……
なんて、……ちょっとムリがあったかな……。
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