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その名は●カトリーヌ [the name]

カトリーヌ.jpg

カトリーヌ・ドヌーヴCatherine Deneuveが映画のプロモーションで来日していたようです。
テレビのニュースで見ましたが、まぁ、なんと申しましょうか、古えわがハートを震わせた絶世の美女も……、なんて。

まあ60代もなかばといいますから(70歳ぐらいかと思っていました)美貌の衰えはしかたのないこと。しかし、ずいぶん顔がおおきくなってしまったもんだなぁ……。

でも、クラウディア・カルディナーレClaudia Cardinale をはじめ、当時のトップ女優たちが銀幕(古いでしょ)から消えたり去ったりするなか、齢を重ねながらそれなりの人物を演じ続けているのですから、その役者魂(古いよね)には頭が下がりますです。

で、ドヌーヴの最も印象的な映画はミュージカルの「シェル―ブールの雨傘」(1964)。まぁ、これが“ドヌーヴ初体験”でした。
あのミシェル・ルグランMichel Legrand の主題歌と共にドヌーヴの哀愁にみちた歌唱が印象に残りました。

といっても、ごぞんじのとおりあれは吹き替え。
実際に歌っていたのは「ふたりの天使」Concerto pour une voix のスキャットでしられるダニエル・リカーリDanielle Licari 。

ではドヌーヴは音痴なのかというと、そういうことでもなさそうで、それから約10年後に主演した映画「恋のモンマルトル」(1975)の中では踊り子に扮し、同僚役のベルナデット・ラフォンBernadette Laffont と主題歌「ジグジグ」ZIG ZIG をうたっていました。残念ながらYOU-TUBEにはありませんでしたが、しっかりした声で、軽いタッチの歌ということもあって無難にこなしています。

ほかにゲンズブールSerge Gainsbourgとのコラボもあるようで、決して「歌わない女優」ではないようです。

そんな彼女の名前「カトリーヌ」ですが、その源も意味もはっきりしていないようですが、10世紀には殉教聖女カタリナCatherinaのストーリーが定着しています。

そして、もうひとりの「カトリーヌ」はイタリアの映画やポップスシーンで活躍したカトリーヌ・スパークCatherine Spaak 。
映画では「太陽の下の18才」、歌では「若草の恋」Mes Amis, Mes Copainsが日本で小ヒット。「若草の恋」は木の実ナナがカヴァーしてます。

イタリアでは「カテリーナ」になるのですが、彼女はフランス生まれで「カトリーヌ」を名乗っていました。

その「カテリーナ」といえば、ドイツからワールドワイドなシンガーとなったカテリーナ・バレンテCaterina Valenteがいます。
ドイツ語では「カトライン」とか「カトリーネ」になるのですが(おまけにスペルはCではなくKではじまる)、彼女の場合、イタリア生まれということで「カテリーナ」なのだそうです。
ヨーロッパはややこしいですね。というか、言葉は何処でもむずかしい。

カテリーナ・バレンテはラテンの名曲の「そよ風と私」The Breeze and I が世界的にも知られていますが、日本ではベートーヴェンの「エリーゼのために」をアレンジした「情熱の花」Tout L'Amourがヒットしました。それをザ・ピーナッツがカヴァーしてさらに売り上げをのばしたとか。
とにかくラテン、シャンソン、カンツォーネ、アメリカンポップスなんでもござれの器用なシンガー。日本語でうたったピーナッツの「恋のバカンス」「ウナ・セラ・ディ東京」も耳に残っています。

ということで、フランスではカトリーヌ、イタリアではカテリーナ、では英語圏では?
スペルからもわかるようにキャサリーンで、スペルではCarherineのほか、ドイツ語のようにKではじまるKatharine も。
女優でいうと、前者がキャサリーン・ゼタ・ジョーンズCatherine Zeta-Jones 、後者がキャサリーン・ヘップバーンKatharine Hepburn 。

また、映画「ミザリー」でこわいオールドミス(いまどき言わないか)を熱演し、「フライド・グリーン・トマト」では人生やや疲れ気味の主婦で、みごとな狂言回しを演じたキャシー・ベイツKathy Batesの本名はキャスリーンKathleen。[r]が[l]に変わっています。でも元は同じ。どこかで変化してしまったのでしょう。頭文字の[c][k]といい、欧米人にとっても紛らわしいのでしょうか。

余談はさておき、キャシーはキャサリーン、キャスリーンの愛称で、ほかにもキャス、ケイト、カレン、キティなどの愛称があります。

というと、かのカレン・カーペンターKaren Carpenterの本名はキャサリーン・カーペンターと思ってしまいますが、彼女の場合はそのまんま東、ではなくカレン。
元々は愛称だったものが、本名として定着するというケースはよくあることのようです。

その「カレン」といえば60年代にライデルズThe Ly-Dells のイカしたドゥワップ「カレン」Karenがありました。またサファリーズThe Surfaris にも同名異曲でテレビドラマの主題歌「カレン」Karenが。

大滝詠一「恋するカレン」はこうした60年代アメリカンポップスへのオマージュでしょうか。

最後にもうひとつ、カトリーヌのロシア語はなんとエカテリーナEkaterina 。そういえば18世紀のロシアにエカテリーナ二世というもの凄い女帝もいました。
で、そのエカテリーナの愛称がこれまたなんとカチューシャKatyusha。
もちろんかのラシアンソング「カチューシャ」が女帝の歌ではないことはいうまでもありませんが。


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コメント 7

Mashi☆Toshi

愛川欽也パック(TBS)
カトリーヌ・コーナー・・・覚えている人はどれくらいいるでしょうか?

by Mashi☆Toshi (2010-03-06 23:07) 

toty

カトリーヌ・ドヌーヴ、シェルブールの雨傘の印象は
確かになくなっていましたが、

かくいう我々も年をとっているのですから
なんともいえません。

時々前を通る喫茶店で
「シェルブール」というのがあるのですが
その古さ加減からして、

シェルブールの雨傘がはやったころからなのかなと
思いながら、その前を通っています。

あげられている名前が、みな同じカトリーヌの仲間というのは
面白いですね。
全くの別物と思っていたので。

キャシー、
「パパは何でも知っている」の末っ子だったなとか、
いろいろな名前を思い出して、楽しんでいます。
by toty (2010-03-07 10:41) 

MOMO

Mashi☆Toshiさん、こんにちは。

ありましたね。
わたしはヘヴィーリスナーではありませんでしたが、なんとなく覚えています。たしか愛川さんは、マルチェロになりきってましたよね。
カトリーヌはだれでしたっけ? 白石冬美さんはナッチャンとでしたけど、かけもちしてたんでしたっけ? そのへんの記憶がかなり薄れております。
たしかに愛川さんは当時外国映画の吹き替えの仕事も多かったんじゃなかったでしょうか
by MOMO (2010-03-11 21:59) 

MOMO

totyさん、こんにちは。

まさに、己のことを棚上げしてのたまってしまいました。

たぶん、カトリーヌ・ドヌーヴも新作映画のなかでは、とても魅力的な女性を演じているのでしょうね(冷汗)。

喫茶店「シェルブール」、若い人は「変な名前」てな反応でしょうか。たしかに昔は(今も?)喫茶店の名前といえばフランス語がおおかったような気がします。

「パパは何でも知っている」はもちろん知っていますが、見たことはありません。でも子供たちのなかにキャシーがいるということは、それだけポピュラーな名前だったのでしょうね。

by MOMO (2010-03-11 22:12) 

toty

以前、ブログ書いたのですが
「パパは何でも知っている」の吹き替えなしのがありました。
少々長いのですが、もしよろしければ、ご覧ください。
キャシーは、末っ子で、子供らしい子供です。

http://blog.goo.ne.jp/toty_2005/s/%A5%D1%A5%D1%A4%CF
by toty (2010-03-12 10:00) 

blue

はじめまして。
70年代といえば、アラン・ドロンとカトリーヌ・ドヌーブが、絶世の美男美女の代名詞的存在だった頃ですね。
カトリーヌ・ドヌーブって、双子のような妹(姉)がいませんでしたっけ(それともマジ双子?)、昔写真を見た気がします。
それから、カレン・カーペンターは、キャリンですね、発音は。
よくあることですが、カレンは、日本でローマ字読みしたのが定着したんだと思います。
by blue (2010-03-24 00:40) 

MOMO

blueさん、こんにちは。

たしかにドヌーヴにはフランソワーズ・ドルレアックっていう双子のお姉さん?がいましたね。「ロシュフォールの恋人たち」では競演してます。可哀そうにその後すぐに自動車事故かなにかで亡くなってしまったんですよね。二卵性なのでしょうか、あまり似ているという感じがしませんでしたが。

アルファベットの日本語表記は難しいですね。
カレンはおっしゃるとおり、キャリン、キャレン、キャランって聞こえますよね。カレンダーもキャレンダーでしょうし、カリフォルニアもキャリフォーニャのほうが近いですからね。

定着してしまったものを変えるのは難しいですよね。
わたしもあなたの意見に賛成で、マスコミが思い切って変えてしまえばいいと思います。はじめはぎこちなくてもすぐ慣れますからね。

事情は違いますが、以前アメリカ大統領のドナルド・リーガンがそれまでの呼び方表記を変えて「レーガン」にしたことがありましたね。いまでは「リーガンなんてヘン」って思ってしまいますからね。

今後ともよろしくお願いします。

by MOMO (2010-03-25 21:40) 

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