SSブログ

その名は●キャロル② [the name]

キャロル②B.jpg

♪キャロル 覚えているかい今も
 ふたりで過ごした日々を 少しは
 OHキャロル はずした指輪は今も
 おまえのものなんだぜ あの日のままさ

 その気ならおまえと暮らせたくせに
 意地張って背中を向けてたBABY BABY……

 ベイビーおまえと俺とにそっと
 めぐったあの季節を 忘れはしない
(「キャロル」詞:相沢行夫、曲&歌:矢沢永吉、昭和50年)

ニール・セダカNEIL SEDAKA「おお、キャロル」は昭和30年代日本でもカバーされた。
ミッキー・カーチス、平尾昌章、山下敬二郎のロカビリー3人男はもちろん、(ムッシュ)かまやつヒロシも。まためずらしいところではのちにテレサ・テンが。

「ダイアナ」があって「ルシール」があって「キャロル」。ロカビリーの時代はアメリカの女の娘の名前を知らされた時代でもあった。他にも「ポーラ」「カレン」「シェリー」とか「ラナ」。なかでも弾むような語感の「キャロル」はいかにもロケンロールにふさわしい。

で、その後「キャロル」が注目されたのは昭和も40年代後半、ロケンロールバンド「キャロル」の登場によって。

昭和47年、「リブ・ヤング」というTVのバラエティ番組に出てきたときはカッコよかった。イカしてた。リーゼントに革ジャン、革パン。いまでこそロケンローラーの定番だが、当時は新鮮。演奏もノリノリのロケンロール一辺倒。とても古くて新しかった。たしか評判になって何度か続けて出演したような記憶が。そのうちいきなりメジャーバンドに。その年のうちに「ルイジアンナ」でシングル・デビュー。翌年の「ファンキー・モンキー・ベイビー」もヒット。

GSブームが去ってから5年以上が経ち、世はまさにフォークブームの真っ最中。人生や抒情の歌にウンザリしていたファンもいたはずで、ノリがよければいいじゃんってわけでキャロルの大爆発。ビジュアルのカッコ良さでは断然だったのがベースの矢沢永吉。
そこには「ツッパリ」の原点が。

結局は3年あまりで解散。あとで考えればやっぱり促成栽培の感はぬぐえず、バンドの厚みとか奥行きがなかったからで当然の帰結だったのかも。
しかし、その後の矢沢永吉のサクセスストーリーはごぞんじのとおり。

その短い間に会場不許可やジョニー大倉の失踪、NHKのドキュメンタリー番組中止(のちにATGで公開)などロケンローラーの面目躍如たる話題を振りまいていた。短期間の活動だっただけに、いまとなってはまさに伝説のバンド。
古えのバンド再結成は日常茶飯だが、キャロルの可能性は限りなくゼロに近い。
それにしてもバンド名「キャロル」の由来は。もし歌から取ったのならニール・セダカNEIL SEDAKAではなくチャック・ベリーCHUCK BERRYだろう。

その3枚目のアルバム「キャロル・ファースト」に「CAROL(子供たちに愛を)」がある。これはいささか違和感のある曲。サイケ調の演奏をバックに自分たちの世界を子供たちに伝えたいと、“社会派”のメッセージ。矢沢が「わたしたち……」とうたうのもどこか変。タイトルの「CAROL」は讃歌という意味なのか。まぁ、アルバムの1曲ということで。

そして、矢沢がソロになってからの「キャロル」もある。
上に歌詞をのせたが、好きなのに別れた女をうたっている。別れた時に外していったプレゼントした指輪が捨てられない。永ちゃんお得意の未練節をバラードにのせて。
外国人なのか、あるいは「キャロル」と呼ばれた日本の娘なのか。はたまた裏読みすれば、キャロル時代へのノスタルジイなのか。〈もっとうまくやれたのに意地張って解散しちまった……〉なんて、そんなことはないか。

残念ながらほかに名前の「キャロル」が出てくるうたは不明。でも、「讃歌」の意味のキャロルならいくつか。
ヒットソングでは「クリスマス・キャロルのころは」稲垣潤一
♪クリスマスキャロルが流れる頃には 君と僕の答えも……
クリスマスソングの定番で、キャロルといったら若い人はこの歌を思い浮かべるかも。

「北風のキャロル」荻野目洋子なんていうのも。
♪切ない心に 北風のol' carol
ダンスミュージックにのせた失恋ソング。歌詞にちりばめられたオールデイズの欠片の数々。ということはキャロルとはニール・セダカの? そんな“懐か詞”は売野雅勇。ちなみに作曲は筒美京平

もうひとつは佐藤隆「12番街のキャロル」
♪あなたのために歌う 想い出のキャロル
これも失恋想い出ソングで、作曲は佐藤隆、作詞は谷村新司。谷村のヴォーカルバージョンもある。

歌詞にでてくるのはチェッカーズ「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」
♪悲しいキャロルがショーウインドウで 銀の雪に変わったよ
これもクリスマスソング。

♪ミンクス買うよの約束を キャロルと忘れてダットサン 「自動車ショー歌」小林旭
キャロルは昭和37年発売のマツダの軽自動車で、当時はめずらしい軽で4ドアモデルがあり、ベストセラーとなった。今も健在。「キャロル」とはもちろん女の子の名前ではなく、讃歌、喜びの歌の意味。

この歌けっこうおもしろいけれど、かなり無理のある歌詞も。上の詞は多分、
(毛皮の)ミンクを買う約束をケロッと忘れておってさ
という意味だと思うが、ケロッとをキャロルと、とはキツイ。またダットサンって何?「いたってさ?」って意味?これはもっとキツイ。でもこれもノリでOK? 
気の利いた部分も。たとえば
「ベンツにグロリア寝ころんで」 とか「ワーゲンうちだよ色恋を忘れて勉強セドリック」なんてナカナカ。ちなみに作詞は星野哲郎

同じ小林旭の「恋の山手線」もそうだけど、こういうバカバカしくて面白くてなおかつ印象に残るって歌が最近見当たらないなぁ
ヒッピホップの「韻」ももう食傷ぎみでしょう、ここはひとつ「自動車ショー歌」のようなダジャレでやったらどうかね。
ダジャレだって、一発二発じゃインパクトないけど、3分間言いっ放しだったら結構ウケるかも。もっとも飽きるのも早いかもしれないけど。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。