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その名は●キャロル① [the name]

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Oh! Carol, I am but a fool,
Darling I love you tho' you treat me cruel,
You hurt me and you made me cry
But if you leave me I will surely die.

Darling there will never be another
Cause I love you so,don't ever leave me,
Say you'll never go
I will always want you for my sweetheart
No matter what you do
Oh! Carol, I'm so in love with you.
([OH! CAROL]lyrics by HOWARD GREENFIELD music and vocal by NEIL SEDAKA, 1959)

キャロルというのはどことなく、50年代、60年代のアメリカ映画に出てきそうな女性の名前。
女優でいえば、キャロル・ベイカーCARROLL BAKER 。ウィリアム・ワイラーWILLIAM WYLER監督の「大いなる西部」 など西部劇に出ていたブロンディ。もうひとりは「ポセイドン・アドバンチャー」に出演していたキャロル・リンレーCAROL LYNLEY。彼女もまたブロンドだった記憶が。

このようにキャロルという名前はその綴りが3通り(CAROLEも)ある。のちに出てくるようにキャロルは苗字にもなっていて、その場合ほとんどはCARROLL 。

女性名のキャロルの源は男性名のカールKARL 。それがカールCARL になり、やがてキャロルCAROLになったという。
カールは男性名のチャールズCHARLES の語源でもある。ということはキャロルとチャールズは元は同じだったということに。

そんな「キャロル」のことをうたったのがチャック・ベリーCHUCK BERRY の「キャロル」CAROL 。
Oh Carol, don't let him steal your heart away.
踊り上手なキャロルに浮気心を起こさないでくれと哀願する1958年発表のロケンロール。

そのチャックに影響を受け、いくつもの曲をカヴァーしているのがローリング・ストーンズTHE ROLLING STONES 。デビュー曲は「カム・オン」COME ON だったし、この「キャロル」はファーストアルバム「THE ROLLING STONES」に収録されている。ライブではキースKEITH RICHARDS のダック・ウォークが見れたとか。

チャックの「キャロル」の翌年に発売されたのがニール・セダカNEIL SEDAKAの「オー・キャロル」OH! CAROL 。
〈君に夢中なんだ、メロメロなんだ。だから捨てないでおくれ〉とアングロサクソン(だけじゃないけど)のめめしさ全開のラヴソング。

ニール・セダカは日本のポップシーンにも多くの影響を与えたシンガーで、とりわけ昭和30年代のロカビリーエイジでは何人もの日本のロカビリアンが彼の歌をカヴァーしている。
そのヒット曲のいくつかを並べてみると、
「恋の片道切符」GOT THE ONE WAY TICKET TO THE BLUES
「カレンダー・ガール」CALENDER GIRL
「恋の日記」THE DIARY
「恋の一番列車」GOING HOME TO MARY LOU
「小さな悪魔」LITTLE DEVIL
「素敵な16才」HAPPY BIRTHDAY SWEET LITTLE SIXTEEN
「悲しき慕情」BREAKING UP IS HARD TO DO

そのほとんどは自らの作曲によるもので、ほかにもコニー・フランシスCONNIE FRANCISの「ボーイ・ハント」WHERE THE BOYS AREや「間抜けなキューピッド」STUPID CUPIDの作曲もニール。

そしてこの「おお、キャロル」がかのキャロル・キングCAROL KINGのことをうたったものということはあまりにも有名。若き日のニールとキャロルはアルドン・ミュージックというニューヨークの音楽出版社に所属する仲間だった。
この歌がつくられた同じ年の1959年、キャロル・キングは“返歌”として「おお、ニール」OH NEIL/A VERY SPECIAL BOY をつくっている。

キャロル・キングについては改めていうまでもないが、シンガーとしてのデビューが1958年でなんと16才。しかしブレイクしたのは70年代に入ってから。71年のアルバム「つづれ織り」TAPESTRY がミリオンヒット。その収録曲「イッツ・トゥー・レイト」IT'S TOO LATE もシングルチャートで全米ナンバーワンに。
そのソングライターとしての才能は双葉より。シレルズTHE SHIRELLESの「トゥモロー」(WILL YOU STILL LOVE ME)TOMORROW のヒットが19才、リトル・エヴァLITTLE EVE の「ロコモーション」LOCO-MORTION が20才のときで、ともに全米ナンバーワン。スゴイなぁ。

ではそれ以外の「おお、キャロル」を。

70年代のディスコシーンで活躍したソウルシンガーのキャロル・ダグラスCAROL DOUGLAS (「恋の診断書」DOCTOR'S ORDERSなど)。

80年代から90年代にかけては、イギリス生まれのレゲエシンガーというべきか、ソウルシンガーというべきか(面倒くさいからポップシンガーでいいんじゃないか)、キャロル・トンプソンCARROLL THOMPSON がいる。ポップなレゲエをラヴァーズロックというらしいが、彼女のアルバムを聴くと“なるほど”と頷ける。

もうひとりはポップシンガーでもあるが、どちらかというと作詞作曲家として知られるキャロル・ベイヤー・セイガーCAROLE BAYER SAGER 。とりわけディオンヌ・ワーウィックDIONNE WARWICK & FRIENDS の「愛のハーモニー」THAT'S WHAT FRIENDS ARE FOR やサリナ・ジョーンズらがうたった「メイキング・ラヴ」MAKING LOVEなど一時結婚していた作曲家バート・バカラックBURT BACHARACHとの共作でのヒット曲が多い。
メリサ・マンチェスターMELISSA MANCHESTER やリタ・クーリッジRITA COOLIDGEがうたい日本でも伊東ゆかりでヒットした「あなたしか見えない」DON’T CRY LOUD OUT もそう。

はじめにもふれたように「キャロル」は名前だけでなく「姓」にもなっている。ということは当然男のキャロルもいる。

ロカビリーでは「クレージー・クレージー・ラヴィン」CRAZY CRAZY LOVIN' や「ハーツ・オブ・ストーン」HEARTS OF STONE をうたったジョニー・キャロルJOHNNY CARROLL。

ジャズではディジー・ガレスピーDIZZY GILLESPIE 楽団のヴォーカリストだったジョー・キャロルJOE CARROLLガーシュウイン兄弟GEORGE AND IRA GERSHWIN の「オー・レディ・ビー・グッド」OH, LADY BE GOOD や自身の「オー・シュ・ビィ・ドゥ・ビー」OO-SHOO- BEE DOO-BEE などをお得意のスキャットをまじえてうたい、人気を博した。

レイ・ブライアントRAY BRYANT やハンク・ジョーンズHANK JONES とのセッションでは「セントルイス・ブルース」ST.LOUIS BLUES や「スクール・デイズ」SCHOOL DAYS などではまさに“ジョー・ビバップ・キャロル”の本領発揮で聴かせてくれる。

バップがでたので、やはりその全盛期にピアニスト兼ヴォーカリストとして活躍したのがバーバラ・キャロルBARBARA CARROLL 。女性では初めてのバップピアニストといわれている。トリオが得意でなかでも名盤といわれているのが「イッツ・ア・ワンダフル・ワールド」IT'S A WONDERFUL WORLD。
アルバムタイトル曲から「美しき乙女」THE MOST BEAUTIFUL GIRL IN THE WORLD までの10曲をときにはエレガントに、ときにはスインギーなタッチで、またときには自身のストレンジヴォーカルを交えて演奏している。

ほかでは美貌とスタイルの良さが際だったジャズ・ヴォーカルのダイアン・キャロルDIAHANN CARROLLやR&Bのディナ・キャロルDINA CARROLL がいる。

キャロルCAROL という女の子の名前は、同じスペルのクリスマスに歌う賛美歌・クリスマス・キャロルCHRISTMAS CAROLのイメージから命名することが多かったのだろうが、もともとはケルト語で「曲がった口」という意味があるらしい。そういえば、むかしヴォーカリストが口を曲げてうたう日本のロケンロールバンドがあった。


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