その名は●ナナ③ [the name]
Amazing Grace how sweet the sound
That saved a wretch like me
I once was lost but now I’m found
Was blind but now I see
‘T was grace that taught my heart to fear
And grace my tear relived
How precious did that grace appear
The hour I first believed
…………
([AMAZING GRACE] words by JOHN NEWTON, vocal by NANA MOUSKOURI, 1972)
「ナナ」NANA は「アンナ」の愛称なのだが、外国の歌手や女優でそう通称されている人はあまりきかない。むしろ日本に多い名前になっているのかもしれない。
そんななかでワールドワイドな「ナナ」といえるのがナナ・ムスクーリNANA MOUSKOURI 。
最近では若い人のあいだでも、アンジェラ・アキのお母さん(誰も言っていない)ということで注目されている。
ギリシャ生まれで、若いころはクラシックを学んだというだけあって、よく通る芯のしっかりした美しいヴォーカルが特長。
彼女が世界的なポップシンガーとなったのは、歌の素晴らしさはもちろんだが、世界各国の言葉でレコード、CDを制作したということもある。日本でも「赤とんぼ」などを吹き込んでいるそうだ。
しかし、日本での彼女の代表曲といえば上に歌詞の一部をのせた「アメージング・グレイス」だろう。
「至上の愛」として日本でもあまりにも有名になっているこの歌はごぞんじのとおり賛美歌で、18世紀半ば、イギリス人のジョン・ニュートンによって詞がつけられた。
「自分を見失っていた哀れな人間を、あなた導いてくれた。気づかせてくれた」と文字どおり神に対する感謝、賛美の歌。
「アメージング・グレイス」がポップスファンの間でも世界的に知られるようになったのは「青春の光と影」BOTH SIDE NOW のソングライターとして知られるジュディ・コリンズJUDY COLLINS のア・カペラによってだろう。彼女が1970年に発表したアルバム[WHALES AND NIGHTINGALES]の中の1曲。
以後、マヘリア・ジャクソンMAHALIA JACKSONアレサ・フランクリンARETHA FLANKLIN、エルヴィス・プレスリーELVIS PRESLEY、グレン・キャンベルGLEN CAMBELL、ジョーン・バエズJOAN BAEZ、サラ・ブライトマンSARAH BRIGHTMANなどジャンルを横断して多くのシンガーにうたわれてきた。
日本では白鳥英美子や、亡くなった本田美奈子で知られる。
日本で「アメージング・グレイス」がよく知られるようになったのは、かなり前(いい加減)テレビコマーシャルで外国の声楽家がうたってからという記憶がある(名前が出てこない)。その後白鳥英美子がやはりCMでうたっていた。
以後、いわゆる“ヒーリング”ブームにものって、この歌も日本人の(多くが)好きな歌に。個人的にはカントリーシンガーが好んでうたうので、よく耳にする。
これほど有名になってしまった歌なので、その曲がいわゆる作者不詳のトラディショナルソングで、作詞が元奴隷商人の牧師だということもよく知られるようになっている。
そのことから、この歌を嫌って絶対にうたわないというアフロ系アメリカ人もいるそうだ。
しかしこの歌を好む日本人の多くは、おそらくクリスチャンではないだろうし、人種差別の中で誕生した歌だという意識はない。ただその旋律が心に訴えってくるのだ。当然、歌詞を含めてこの歌を愛する欧米人とは思い入れが異なる。
こういうことはよくあるはずで、それはそれで日本流なのだから。
ところで、このアメージグ・グレイス、アメリカでは何処で誰によってうたわれるのか。
もっとも多いのは教会の礼拝時だろう。また葬式のときもよくうたわれる。もちろんクリスチャンによって。
そしてまた様々な団体の集会でも、神への感謝、祈りをこめてしばしばうたわれる。
そのひとつに、かのKKK(Ku Klux Klan/クー・クラックス・クラン)がある。
黒人をリンチする前にも頭をたれながら斉唱したのだろうか。
全盛を誇った1920年代に比べるとその構成員の激減、凋落ぶりは顕著といわれるが、ナチスと変わらない“性格”の彼らが、あたりまえだがごく真面目に「アメージング・グレイス」をうたっていたという事実は複雑な思いにさせる。映画でたびたび観た。
もちろん「アメージング・グレイス」は人種差別を目的としたり、それを幇助するために作られた歌ではない。ただ、「歌に罪はない」とのひと言で片づけられない根本的な問題がそこにあることもまた確かだろう。それが「悪用」されたにしても。
完全に軌道を逸脱してしまいました。ナナ・ムスクーリの話。
残念なことにナナさんは、昨年の地元ギリシャのコンサートで引退したとか。
それも無理からぬことかも。なにしろ彼女現在御歳74歳。本名はロアンナ・ムスクーリ。ロアンナの愛称がナナ。
ウィキペディアでは政治家ということになっているが、詳細は不明。
ギリシャの政治家といえば亡くなった女優でメルナ・メルクーリMELINA MERCOURI がいる。日本でも「日曜はダメよ」NEVER ON SUNDAY が知られているが、その主題歌はナナのレパートリーでもある。
ほかでは、メキシコ民謡で“ファラウェルソング”の「ラ・ゴロンドリーナ」LA GOLONDRINA 、シャンソンの「アローン」ALONE 、「桜んぼの実る頃」LE TEMPS DES CERISES 、マルティーニJEAN PAUL EGIDE MARTINI作のクラシックでエルヴィスELVIS PRESLEYの「好きにならずにいられない」の原曲でもある「愛の歓び」PLAISIR D’AMOUR 、デビュー直後からのつき合いという「日曜はダメよ」の作者でもあるマノス・ハジタキスMANOS HADJIDAKIS による「私のアテネ」ATHINA 、地中海の明るさ、陽気さが伝わってくるギリシャ民謡の「海岸をゆけば」YALO YALO など心に響いてくる歌がいくつもある。
ナナ・ムスクーリといえばトレード・マークが黒ぶちの眼鏡。
冒頭でもふれたように、アンジェラ・アキが意識してかしないでか、まさに“眼鏡シンガー”。サングラスのシンガーとか、ある曲限定でのメガネファションというのは少なくないが、コンタクトの普及した昨今、常にフツーの眼鏡でという歌手はあまりいない。
古いところではバディ・ホリーBUDDY HOLLY にジョン・レノンJOHN LENNON、もっと古ければ東海林太郎なんて人もいましたが。日本ならばほかにも、上原敏、霧島昇、塩まさる、岡本敦郎などが。まぁ、すべて“ラジオの時代”のシンガーですが。
昭和40年代以降となると、「出発の歌」の上条恒彦と、「およげたいやき君」の子門まさとぐらい? とりわけ女性は思いつかない。一時眼鏡がトレードマークのアイドルがいたけれど。
そういう意味でもアンジェラ・アキは画期的。こうなると眼鏡をとった顔に興味津津(ちゃんと歌を聴けっつうの)。
メガネっ子ですか。パッと思いつくのは「蜂のムサシは死んだのさ」のセルスターズ,女性ダブルボーカルの片方の「みみんあい」ぐらいですね。本物の眼鏡だったのか伊達メガネだったか不明ですが。
アイドルは流石にいないでしょう。昭和40年代以降は皆コンタクトの時代ですから。
by tsukikumo (2009-06-09 22:45)
「赤とんぼ」「日曜はダメよ」「ラ・ゴロンドリーナ」「桜んぼの実る頃」
≪カチューシャ≫での人気曲が並びました~♪
カリーナはドミンゴの唄う「ラ・ゴロンドリーナ」が大好きです☆
実はカリーナ、「ドミンゴはあんまり・・・」なんですが
“ゴロンドリーナ”を唄う時は魅ッパられてしまいます~
彼はメキシコ系だそうですネ、それで納得かなっ?
では・・・・又。
by ≪カチューシャ≫ (2009-06-11 13:57)
ああ、たしかに「みみんあい」いましたね。
彼女は似合っていたけど、むずかしいですねメガネでカッコよく決めるっていうのは。
そのときは良くても時代が変わるとすごく野暮ったくなったり。
男女ともにですね。
サングラスもとったとたんに気の抜けた顔になっちゃったり。
鈴木雅之の素顔が見てみたい。
話がそれましたので、このへんで。
いつもありがとうございます。
by MOMO (2009-06-11 23:09)
こんにちは。
「日曜はだめよ」などもやるんですね。
ドミンゴといえば、少し前にyou-tubeで、音だけですけど彼の「南国の夜」を見たというか聞きました。
微妙でしたね。
ラテン系だとは思っていましたが、メキシコだったのですか。
「ラ・ゴロンドリーナ」探して聴いてみます。
by MOMO (2009-06-11 23:19)