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公園⑨瀬戸内海国立公園 [a landscape]

青江三奈.jpg 


♪夢の大橋 粟島はるか
 いつかの指輪を 捨てきれないで
 船のデッキで 面影呼べば
 死ぬほど燃える 燃えるのよ
 あなたが欲しい 夜の瀬戸内 瀬戸内の夜
(「夜の瀬戸内」詞:吉川静夫、曲:花礼二、歌:青江三奈、昭和45年)

日本に「公園」がつくられたのは明治になってからだが、自然公園の代表「国立公園」ともなると昭和まで待つことに。

そもそも国立公園とは、自然景勝地を国が保護、活用しようという目的でつくられた公園(地域)で、アメリカを習って日本では昭和6年に国立公園法(現在は自然公園法)がつくられた。
実際に国立公園が指定されたのは3年後の9年で、その第一号は瀬戸内海、雲仙天草、霧島屋久の3カ所。以後、北海道の知床から沖縄の西表石垣まで29カ所が指定されている。指定するのは環境大臣で、環境省が管理している。

ちなみに「国定公園」というのもあるが、これは国立公園に準じた景勝保護地で全国に56カ所ある。こちらも環境大臣の指定によるものだが、管理するのは当該の都道府県となっている。

29ある国立公園のなかで最大規模のものが北海道のほぼ中央にある大雪山国立公園。その広さは約2300平方キロメートル、といってもピンとこないが、東京都全体より広いといえばその規模がわかろうというもの。
反対に最小は小笠原国立公園で、61平方キロというから大雪山国立公園の40分の1ほど。それでも青森県の十和田湖ぐらいはある。

瀬戸内海の島々をほとんど網羅してしまうという瀬戸内海国立公園は、630平方キロというからそれほどでもない。ところが、この国立公園、東は大阪府から西は九州の大分県まで一府十県を含む。こんな広域にわたる国立公園はほかにない。

大分県の国東半島や兵庫県の六甲山あるいは淡路島まで含んでしまうスケールの大きさだが、やはり「瀬戸内海」というぐらいなので塩飽、笠岡、日生、芸予といった島々のイメージが強い。

そんな瀬戸内をうたった最も有名な歌といえば「瀬戸の花嫁」小柳ルミ子
♪瀬戸は夕焼け 明日も晴れる 二人の門出 祝っているわ
と観光イメージソング(ではないけど)にはもってこいのハッピーソング。

そんな瀬戸をうたったハッピーソングは昭和30年代にもあった。
♪あゝあゝ 瀬戸はなつかし ほほえみのせて 船はゆく 「瀬戸の恋唄」神戸一郎
まるで新婚旅行のような2人の旅路。スチールギターをフィーチャーしたハワイアン演歌?30年代アイドルも数年前に亡くなった。作詞・西沢爽、作曲・船村徹「ひばりの渡り鳥だよ」(美空ひばり)、「哀愁のからまつ林」(島倉千代子)のコンビ。

そういえば川中美幸にも「瀬戸の恋歌」があった。
こちらは作詞・星野哲郎、作曲・岡千秋によるド演歌。おんなの未練節で、歌詞には弓削島、燧灘、鞆の浦と瀬戸内海の景勝地が登場する。

ほかにも「瀬戸の恋歌」あるいは「恋唄」があるのではないかと調べたら案の定。
倍賞千恵子大川栄策など6曲。音源がないので聴けないが、作曲者が異なるので全然別の歌だと推測できる。

ほかの“瀬戸歌”では、やはり岡千秋がつくった「瀬戸の港」中村美津子が。
♪春はいつ来る 瀬戸内つばめ 飛んでおいでよ ネオンの町に
とこれまた離れた男を偲ぶ演歌節。

同じようにいつ来るか分からない男を待つ酒場女をうたった演歌に「瀬戸のかもめ」水沢明美 がある。

そして極めつけ? は上に詞をのせた青江三奈「夜の瀬戸内」
神戸からはじまって(瀬戸)大橋、香川県の粟島、そして大分の別府へと男をおいかけていく女。まさに瀬戸内海国立公園を舞台にしたラヴ・チェイス。
作詞・作曲は「池袋の夜」のコンビ、吉川静夫渡久地政信

青江三奈は、北の「札幌ブルース」から南の「長崎ブルース」まで、いわゆる“ご当地ソング”の女王で、もう亡くなってから10年近くが経つ。
東京の下町生まれの元クラブシンガーで、シャンソンラテンジャズはもちろん、歌謡曲のカヴァーも器用にこなした。
とりわけ歌謡曲の表現力ではちあきなおみと双璧だった。

今回は「瀬戸」のYOU-TUBEがほぼ全滅なのでフェヴァリットシンガー、青江三奈の魅力をもう少しどうぞ。

そのほか、「瀬戸」が出てくる歌には「南国土佐を後にして」(ペギー葉山)「京都から博多まで」(藤圭子)、「あの娘たずねて」(佐々木新一)などがあるし、淡路島や阿波の鳴門あるいは六甲山、佐田岬、播磨灘、関門海峡など各景勝地をうたった歌はいくつもあり、そのことからも瀬戸内海国立公園の範囲の広さがわかる。

ところで同じ国が管理する公園でも自然公園ではなく、造営公園は「国立」とはいわず「国営」という。つまり「国営公園」。東京でいえば立川に昭和天皇在位50年を記念して造られた昭和記念公園がある。
全国でも16の国営公園があり、21世紀に入ってから指定されたものでも佐賀県の吉野ケ里遺跡周辺の吉野ケ里歴史公園、長野県のアルプスあずみの公園、兵庫県の明石海峡公園がある。

ややこしいのはそのほかに「国民公園」まである。国民公園は国営公園と同じ造営公園だが、「国立公園」と同じく環境省が管理する公園ということ。
国民公園は意外と身近で皇居外苑がそうだし、関東では新宿御苑、関西では京都御所がそう。ただこれだけ、3カ所しかない。

国立公園の国立(こくりつ)といえば、紛らわしいのが東京の「国立市(くにたちし)」。
国立(くにたち)音楽大学なんて、よく国立(こくりつ)に間違えられたり。
国立高校もある。こちらは都立なので「都立国立高校」とややこしいことになる。「市立国立第一小学校」なんていうのもある。
それならもしかして、と思ったがさすがに国立市に「国立公園」というのはないようだ。


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コメント 5

≪カチューシャ≫

>そして極めつけ? は上に詞をのせた青江三奈の「夜の瀬戸内」。
神戸からはじまって(瀬戸)大橋、香川県の粟島、そして大分の別府へと男をおいかけていく女。まさに瀬戸内海国立公園を舞台にしたラヴ・チェイス。
作詞・作曲は「池袋の夜」のコンビ、吉川静夫と渡久地政信。

◆ビックリしました~香川県の粟島の地を踏んだ事のある方は
 多分、非常に少ないと思うのですが(失礼!)実は
 カリーナ、先月粟島でヴァカンスを楽しみました~
 
 粟島の掲示板管理者様が≪カチューシャ≫へ時々
 いらしてくださいますのでそのご縁で徳島、岡山方面からも
 豪華船?で粟島へ参集して“宴”を楽しみました☆
 
 「泉のほとり」など周囲に気兼ねすることなく大声で唄い
 又、今、穫ってきたばかりのタコやイロイロなお魚たち・・・
 (~名前はあるけど分からない~)
 正に飲み・食い・唄いの楽しい大宴会でした☆

♪いつものことながらトンチンカンな内容でゴメンナサイです♪
 


by ≪カチューシャ≫ (2009-05-23 23:22) 

toty

姉の嫁ぎ先に、青江三奈と同時期にクラブで歌っていた人があって
やはりかなり官能的な歌をレコードに吹き込んだら、

セクシーすぎて、発禁になった、と聞いたことがあります。
今だったら、どうなんでしょうね。

あ~とか、あは~~んとか(ため息だけの、思い入れたっぷりな)
青江三奈というと、その人と一緒に思い出します。
by toty (2009-05-24 01:47) 

MOMO

チビさん、読んでいただいてありがとうございます。

by MOMO (2009-05-26 20:21) 

MOMO

カリーナさん、こんにちは。

小豆島へは行ったことがありますが、粟島は未踏です。新潟沖の日本海にも粟島がありまして、こちらはむかし行ったことがあるのですが。

いかにも海の幸はおいしそうですね。
大合唱が聞こえてくるようです。
by MOMO (2009-05-26 20:23) 

MOMO

totyさん、こんにちは。

昔はクラブ出身の歌手が少なからずいましたね。
現在はどうなのでしょうか。
反対に、さいきんありがちな「路上パフォーマー」からメジャーへ、という歌手はいませんでした。これも時代の違いなのでしょうね。

by MOMO (2009-05-26 20:23) 

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