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公園⑤鳩 [a landscape]

公園の鳩.jpg
♪アカシヤの雨がやむとき 青空 さして鳩が飛ぶ
 むらさきの羽の色 それはベンチの片隅で
 冷たくなった わたしのぬけがら あの人を
 さがして遥かに 飛び立つ影よ
(「アカシヤの雨がやむとき」詞:水木かおる、曲:藤原秀行、歌:西田佐知子、昭和35年)

もうひとつ公園といえば「鳩」
「○○区立○○西公園」なんていう正式名よりも「鳩ぽっぽ公園」っていう愛称で呼ばれている公園、各地にあるのではないでしょうか。
それほど「公園」に「鳩」は欠かせない生き物。

先日とりあげた「SUNDAY PARK」(さだまさし)にも
♪子供はブランコに飽きて 次の遊び場へ 駆けだしたあとには 鳩が舞い立つ
と出てきます。

日本には4世紀末ごろ中国からやってきたという鳩。
その種類もキジの羽模様に似ているキジバト(山鳩)、明るいグレーのシラコバト、黄緑色のアオバトなど種類もいくつかあるようで。
公園や神社の境内でよく見るドバトは「土鳩」と書きますが、元は「塔鳩」「堂鳩」と表記されたように寺や神社の塔あるいは堂に棲みついた鳩のこと。種類ではなく山から里に棲みついた鳩のことをいうそうで、キジバトをはじめ様々な種類の雑種のようです。

それにしてもよく人間に慣れているもんです。人間がそばを通ってもお構いなし。おそらく野生動物の中ではいちばん人間を警戒していないのではないでしょうか。

人間が鳩に餌をあげる光景はしばしば目にするもので、そうした長年にわたる「餌付け」のたまものなのかもしれません。また、人間と鳩との“友好関係”は昭和30年代あたりまで見られた新聞社などの「伝書鳩」。あるいは「鳩レース」などでうかがい知ることができます。

昭和30年代、近所にも2階や屋根に小屋をつくって数十、あるいは百羽以上の鳩を飼っているお兄さんがいました。
鳩の帰巣本能を利用したレースはいまでも行われているようで、もちろん血統書があり、優秀な鳩は百万円単位の値がつくとか。

それゆえ、通信手段の発達により伝書鳩は廃業に追い込まれ、都市の衛生思想の影響もあって鳩を飼う人口が減った現在でも、鳩と人間との友好関係は続いているようです。

とにかく同じ人間の周辺を徘徊するカラスに比べるとはるかにフレンドリーな鳩。まぁ、平和のシンボルというイメージもありますし、カラスのようにゴミを散乱させたり、人を襲うことはいまのところないようですから。
しかし、この先はわからない。いまだって鳩の糞害で迷惑を蒙っている人もいたり。いくら怒っても当人知らぬ顔。ほんにコイツがハト迷惑って、オチにはまだ早いようで。

では公園を縦横に飛び回る鳩の歌を。まずは彼らが今よりもっと輝いていた昭和30年代から。

♪鳩が飛び立つ公園の 銀杏は手品師 老いたピエロ 「公園の手品師」フランク永井
詞も曲もシャンソンを思わせる秋の歌。逃げるように飛び立つ鳩と降りしきる銀杏の落ち葉がせわしなく過ぎていく秋と、すぐ近くまで来ている冬を感じさせる宮川哲夫の傑作。

もうひとつ30年代では、先日の「ベンチ」でふれた「アカシヤの雨がやむとき」(西田佐知子)。上の詞にあるように死んだ彼女の化身となって空を舞う鳩がうたわれています。

冒頭の「SUNDAY PARK」もそうですが、以上の3曲はいずれも“飛び立つ鳩”。
それはそうかも。鳩が地面の前を突っついている、とか塒の木の枝に止まって眠っているのでは流行歌としてインパクトに欠けますから。
やっぱり静かな公園に羽の音が聞こえてくるような動のイメージ、ということなのでしょうか。

もう1曲もやっぱり鳩が飛びます。

♪青空めざし 鳩がとぶ公園で いつもと同じ ベンチにいるの 「鳩がいる公園」天地真理
こちらも流行歌定番の鳩ブレイク、ではなくてハートブレイクソング。
別れた彼とよく来た公園にひとりで、というこれまたありがちな光景。彼女が諦められないのは初恋だから。もう少しキャリアを積めば……。そんなことないか。

鳩というのは“一夫一婦制”だそう。たしかによくみるとだいたいは番いで行動しています。もちろんなかには異性に興味がなかったり?相棒を亡くしたり、はたまたモテない“独り者”の鳩もいますが。

先日もとある公園で2羽の鳩が嘴を絡ませ合っているのを見ました。それもかなり長い時間同じ所で。よほど愛し合っているのだななんて思いながら。羽色の濃いヤツと薄いヤツ、どっちがオスでどっちがメスだろう、なんて思いながら。

するとその2羽から少し離れたところにいたかなり体格のいい鳩が突然カップルめがけて走ってきました。するとキスしていた鳩のうち色の濃い方があわてて後ずさり、背中を向けて逃げていきます。ああ、アイツがオスなんだなと判明。

ポパイに出てくるブルートのような鳩は、オリーブに近づいてなにやら囁いています。「あんな弱いヤツ見限ってオレのものになれよ」と言っているようです。
ブルートに背を向けてゆっくりもったいつけて歩いているオリーブは「そうネ、考えてあげてもいいワ」とでも言っているよう。もはや元カレには興味がないようで。…………人間顔負け。

ここで一度逃げた鳩がホウレン草ならぬ、ベンチから放られたパン屑でも食べて元気モリモリ、横恋慕の“ブルート”に逆襲の一発でもお見舞いすればメデタシメデタシだったのですが、秩序ある鳩の世界でもそんな絵にかいたような正義は通用しないようで、ポパイ君、未練も残さずその場を去って行きました。多分、新しい恋人でも探しにいったのでしょう。
鳩のポパイ君に幸あれ。

 


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tsukikumo

山口百恵に「山鳩」ってありますよね。「白い約束」のB面ですが、このあいだの続きでこちらも三木たかし作品です。彼女がちょうど映画の方に軸足を置いていた時代なので印象は薄いですが「山鳩」は映画の主題歌にも使われていました。

やっぱ、一番印象が強いのはタイガースの「廃墟の鳩」ですね、世代的には。
あと、歌詞で、♪遊ぶ鳩をふたりで見てた♪
オリジナルはKとブルンネン、後に朝倉理恵や柏原芳恵もカバーしていました「あの場所から」です。
by tsukikumo (2009-05-14 03:46) 

toty

ククルククルパロマ♪

アイジョージの歌うメロディが思い出されます。
なかなか声量もあり、日本人離れした歌いっぷりでしたが、
最近は、でてきませんね。

ちょっと前ですが、こちらのブログにポスターの話がでていて、
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2009-01-11

アイジョージの名前を思い出したところでした。
by toty (2009-05-15 07:27) 

MOMO

「鳩」の歌は昭和20年代に多かったですね。「啼くな小鳩よ」とか。

「あの場所から」はたしかに「白いベンチ」が出てきますから、公園でしょうね。彼らのことを考えるにつけ、ヒデとロザンナのアイデアに脱帽しますね。難しいですよね外国人と日本人のデュオって。
by MOMO (2009-05-15 21:35) 

MOMO

なつかしいですね、アイ・ジョージ。

「ラ・マラゲーニャ」「シェリト・リンド」「ある恋の物語」……。昭和30年代のラテンブームの渦中のひとりでした。歌謡曲の「赤いグラス」はいまでもカラオケデュエットの定番のようですね。
低音が良かった。ひょうきんなキャラクターも。

2、3年前ナツメロ番組に出ていたような、いやもっと前でしたか。
by MOMO (2009-05-15 21:39) 

スタービーチ

はじめまして☆
素敵なサイトですね^^応援してますよ♪

by スタービーチ (2010-05-24 10:49) 

MOMO

スタービーチさん、読んでいただいてありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
by MOMO (2010-05-25 23:18) 

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