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その名は●三木たかし [the name]

三木たかし.jpg

♪愛に溺れて あなたに疲れて
 生きることにも ため息ついて
 ひとり口紅 ふきとるだけの
 生き方だけなら 淋しい
 こんな夜には少しお酒で 泪の相手しましょう
 そしてぬけがらパジャマ あなたのかわりに
 時は あしたを 連れてくるけど
 過去のどこかで 迷子に なってる
(「想い出迷子」詞:荒木とよひさ 曲:三木たかし、歌:チョー・ヨンピル、昭和61年)

三木たかしさんが亡くなった。
ついこないだ好きな作曲家のひとりとしてこのブログにとりあげたばかりでした。しばらく前にガンから生還して再起をはかったというニュースを読んだばかりでした。

先日の忌野清志郎さんもそうだが、64歳はやっぱり若すぎる。正直、もっと彼のつくる新しい歌を聴きたかった。それにしてもガンというやつは容赦というものがない。無念。

三木さんは、テレビで見たかぎりはもの静かで温厚で、むかし風にいえば「色男」「優男」。しかし、つねづねその優しいまなざしの奥の強い力や、その面魂からハードな少年時代を過ごしたのではという思いがあった。もちろん勝手な想像だが。

もともとは歌手志望。妹・黛ジュンはデビュー、大成したが彼はだめだった。そのかわりバンドマンから作曲家に。それが23歳というのだから驚き。
作品第1号は昭和42年の「恋はハートで」(泉アキ)。翌年妹の「夕月」がヒット。

演歌嫌いと公言するように、以後、「愛の化石」(浅丘ルリ子)「まごころ」(森山良子)などポップス調のヒット曲を。

昭和40年代、50年代もポップス調のアイドル歌謡で名曲を連ねて行く。
「みずいろの手紙」(あべ静江)、「白い約束」(山口百恵)、「木枯らしの二人」(伊藤咲子)、「思秋期」(岩崎宏美)、「哀愁のシンフォニー」(キャンディーズ)…………。

演歌嫌いというわりには演歌のヒット曲も。その極めつけが阿久悠と組んでレコード大賞を獲った「津軽海峡・冬景色」(石川さゆり)

それ以前にもたとえば「あなたにあげる」(西川峰子)があり、それ以後でも「女・泣き砂・日本海」(川中美幸)「夜桜お七」(坂本冬美)があるように、嫌いであっても不得手ではなかった。
本人に言わせれば「からだの中に沁みついているものはどうしようもない」ということのようだ。

ポップスでも演歌でもみごとにこなした。それもそれぞれ“それなりに”ではなく、ハイレベルで。ほんとうに流行歌を熟知していた。ということは日本人のハートがどんな旋律に共振感応するかを知っていたのだろう。
ヒットメーカーにありがちな作品が似た曲調になりがち、ということもなかった、オリジナリティあふれた作曲家。

そして50年代末から60年代にかけては作詞の相棒であり親友だった荒木とよひさと組んでテレサ・テンの名曲の数々を。
「つぐない」、「愛人」、「別れの予感」、「時の流れに身をまかせ」…………。

最後に供養にかえて数多あるヒット曲のなかから、YOU-TUBEで見られるあるいは聴けるフェヴァリットソングのいくつかをどうぞ。

愛の化石 浅丘ルリ子
禁じられた恋 森山良子
忘れないわ ペギー・マーチ
コーヒーショップで あべ静江
乙女のワルツ 伊藤咲子
若き獅子たち 西城秀樹
あざやかな場面 岩崎宏美
まわり道 琴風豪規
つぐない テレサ・テン
想い出迷子 チョー・ヨンピル


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コメント 4

toty

三木たかし

坂本九の「心の瞳」も、
荒木とよひさとのコンビのいい歌です。

坂本九がなくなった時、
いわゆる香典返しのように贈られてきたレコードが
この「心の瞳」でした。

柏木由起子さんが同級生なもので
彼女の心情を思いながら、このレコードをよくかけていました。

最近、家族でCDをだしています。
合唱曲としても中・高生に歌われているらしいです。

訃報からのブログのお話、切ないですね。
by toty (2009-05-12 01:32) 

tsukikumo

愛の化石やっとアップされたんですね。ご存知かも知れませんが、愛の化石の大ヒットを受けて映画化され、その記念アルバムとして出たLP内の曲、「シャム猫を抱いて」は廃盤マニアの間ではとても有名な曲のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=JbpFUDsFw8o
by tsukikumo (2009-05-13 11:38) 

MOMO

totyさん、いつもありがとうございます。

坂本九の「心の瞳」、YOU-TUBEで聴いてみましたよ。
「抒情歌」の匂いがする曲調は三木たかしの特長のひとつですね。たしかに、合唱曲には向いていますね。
坂本九の“新しい歌”が聴けてよかった。

by MOMO (2009-05-13 20:35) 

MOMO

tsukikumoさん、こんにちは。
廃盤の知識はあまりないのですが、そうなのですか。
「シャム猫を抱いて」は三木さんの25、6歳のときの曲ですね。ボサノバ調の編曲の良さもありますが、それにしてもずいぶん大人の曲をつくってますよね。

ほかにも何曲か浅丘ルリ子の歌を書いていますが、あらためて聴いてみるとGS風あり、歌謡曲風あり、演歌調ありと、やはり多才ですね。

by MOMO (2009-05-13 20:36) 

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