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春の歌⑦鞦韆/青年の部 [noisy life]

 鞦韆②.jpg

♪君はおぼえて いるかしら あの白いブランコ
 風に吹かれて 二人でゆれた あの白いブランコ
 日暮はいつも 淋しいと 小さな肩をふるわせた
 君にくちづけ した時に
 優しくゆれた 白い白いブランコ
(「白いブランコ」詞:小平なほみ、曲:菅原進、歌:ビリー・バンバン、昭和44年)

鞦韆に腰かけて読む手紙かな  星野立子

ようやく春が来ました。今年は焦らされた分、満喫度も高かったのでは。

「鞦韆」Syusenはブランコの意味で、「ゆさはり」(揺するの意)とも、そのまま「ぶらんこ」とも読みます。
もともとは古代中国の宮廷で行われていた遊戯で、「鞦」はブランコをつるす縄のことであり、「韆」はうつり動くもの、つまりブランコを意味するそうです。

「ぶらんこ」とは何語なのか。ポルトガル語を源とするという説もありますが、「ぶらんぶらん」と揺れる様をそのまま言葉にした日本語という説も。

日本では平安時代に貴族たちが遊んだという記録があるそうですが、はたして根付いたのかどうか。江戸時代になっても庶民はもちろん、貴族や武士たちが庭にこさえた鞦韆でブランブランしていたなんて話聞きません。

現在日本の児童公園などあちこちで見られるブランコが西洋から日本に入ってきたのは明治の初期で、三田の慶応義塾に設置されたとか。
その後、上野公園や日比谷公園に遊動円木や鉄棒、運梯、シーソーなどの遊具とともに備え付けられたそうです。当初は子供の遊びというより、大人の体操用としてだったとも。

地域によっても違いますが、ブランコが身近になったのは昭和30年代半ばごろ。急に児童公園があちこちの空き地にでき、そこに遊具三種の神器といわれるブランコ、スベリ台、砂場があらわれたような記憶があります。それだけ日本にゆとりができたのでしょうね。

はたして小学校にブランコがあったかどうか。鉄棒や運梯はあったけれど……。
とにかく中学校へ上がるまでは、けっこう乗っていたような。高学年になると、立ち漕ぎしたり、横に揺れて隣とぶつけっこしたり、思いきり漕いで飛び降り、どこまで飛べるかを競ったり、けっこう無謀な遊びをしていました。

その鞦韆が俳句の世界では春の季語。なんで? 「秋」という字まで入っているのに。
そもそもブランコは屋外での遊び。家に閉じこもっていた冬が去り、暖かい春がやってくるとともに子供たちは外へ飛び出し、公園のブランコやスベリ台で遊ぶ、という解釈だとか。

秋の夕暮れのブランコも趣があって捨てがたいですが、ルールはルール、「春」ということで。

ブランコの歌といえばビリー・バンバン「白いブランコ」
兄弟デュオ、ビリー・バンバンの弟・菅原進が曲をつくり音楽仲間だった小平なほみが詞を書いたもの。
昔の彼女とのブランコで揺れた思い出。いまでも恋しいというような未練はなく、「いい思い出だったなぁ」という感慨が伝わってくるサラリとした和製フォークソング。ただのブランコではなく、「白い」というところが浄化された思い出の清潔感が伝わってきます。実際そんなブランコ見たことないけど。←軽口注意。

名曲だけあってカヴァーするシンガーも少なくありません。
フォーセインツ、森山良子からワンダーズ、グラシェラ・スサーナ、鮫島有美子、石原裕次郎、国仲涼子などなど。やっぱり同系のフォーセインツ、森山良子がしっくりきます。

あれから?十年、まずは若い人たちのブランコソングを。

白があれば赤もあるのはワインだけじゃない。

「赤いブランコ」パフィー
♪赤いブランコふたり乗り 漕げば大人になってくようで
そうそう、二人乗りしましたっけ。ひとりは座ってもうひとりは立ってね。相手は歌にあるようではなく悪友だったけど。
この歌も、ブランコでふざけあった彼との思い出。中学生ころの思い出かな。ちょっとまだ相手に未練があるようでたそがれています。

♪公園のブランコを ビュンビュン飛ばした 「夢のブランコ」LÄ-PPISCH
昼間からビール飲んでブランコを漕ぐなんて、何か辛いことでもあったんでしょう。こんなときは周りがみんな順調に見えるんだよね。孤立しちゃってるんだよね。だからブランコに乗って夢の国へ逃避しちゃうんだよね。でも、現実が恋しいからついついそこでも泣いちゃう。そんなときもあるわ。若者の気持ちは複雑だ。とくに最近の人は。わかんねぇ。

♪ゆらゆらブランコ揺れながら 移り気な僕の朝 「ブランコ」CURIO
ここに出てくる彼も閉塞感というんでしょうか、何か満たされない思いで生きているようです。毎日毎日かわらない世界。でも、ブランコに乗って思いきり漕げば、新しい世界へワープできるかもしれない。なんて思っているようです。それも絶対にできるっていう自信に満ちた軽快なサウンド。でもそんなブランコが欲しよね。うん、欲しい。

ポジティブなブランコもあればネガティブというか内向的なものも。

♪だれもいない11月の公園で ブランコに揺れて 「ブランコに揺れて」奥田美和子
うすら寒い夜の公園でブランコにひとり。なにをするのかと思えば、リストカット。そのあと3月の海で薬を飲んだり。「生きていたいの? 死にたいの?」自問する。生死のあいだをゆらぁりゆらぁりと揺れる気持ち。わかんねぇ。詞は柳美里で、意味は平易だけど。

若い人たちもけっこうブランコが好きなようです。
それはノスタルジーということもあるでしょうが、あの揺籃感覚を心地よいものとからだが覚えているからでしょうね。

まごまごしていると春が行きすぎてしまいます。先を急いで。冒頭の句にもあるように、分別のある大人だってブランコに乗ります。ときとして乗りたくなるのです。次回はそうした大人のブランコを。


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コメント 4

toty

次回は大人のブランコとのことなので、
子供のブランコの歌を。

その名も、「ぶらんこ」、芥川也寸志の作曲です。
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/buranko.html

季語が春といわれれば、
たしかに、のどかな春の感じがしますね。

中学校の頃、校舎のそばに小高い丘があり、
そのうえに、大きなぶらんこがありました。

そのぶらんこで立ちこぎをすると、遠くまでみわたせて
開放感にあふれた気分になりました。

by toty (2009-04-08 21:44) 

≪カチューシャ≫

白いブランコ・・・略して通称・・・シロブラ←軽口注意

カリーナ(私のHN)の好きな曲です~
通称名?は消えるでしょうけれど
曲は残りそうですネ

お言葉に甘えて≪カチューシャ≫の告知など
させていただく日がくると存じます~

   ♪♪♪その節はど~ぞよろしくです♪♪♪
by ≪カチューシャ≫ (2009-04-09 00:21) 

MOMO

toty さん、こんにちは。
いいですね「ぶらんこ」詞も曲ののどかで、やっぱりブランコ=春は正しいのかも。

そうですか、丘の上の大きなブランコです。子供が立ち漕ぎしている姿が目に浮かびます。そこから見える景色も。のってみたいなぁ、そんなブランコ。

by MOMO (2009-04-09 20:06) 

MOMO

カチューシャさん、こんにちは。
白いブランコ、シロブラっていうんですか。銀ブラならしってましたけど、それは知りませんでした。シロブラなんていうと、白いブラジ、……アブナイ、アブナイ、軽口注意でしたね。
気が向きましたらいつでもどうぞ。

by MOMO (2009-04-09 20:06) 

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