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その名は●ヨーコ [the name]

ダウンタウンBWバンド.jpg
♪一寸前なら憶えちゃいるが 一年前だとチト判らねェなあ
 髪の長い女だってねェ ここにゃ沢山いるからねェ
 ワルイなぁ 他をあたってくれよ
 アンタ あの娘の何なのさ
 港のヨーコ ヨコハマ ヨコスカ
(「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」詞:阿木燿子、曲:宇崎竜童、歌:ダウン・タウン・ブギウギ・バンド、昭和50年)

リーゼントにグラサン、つなぎにズックというツッパリスタイルで、宇崎竜童ひきいるダウン・タウン・ブギウギ・バンドのツッパリたちが「スモーキン・ブギ」をひっさげブラウン管(もうすぐなくなる)に登場したのは昭和49年もかなり押し迫った頃。

残念なことにその2年前にキャロルがデビューしていた。
だからダウウ・タウンの印象は黒の革ジャンを白のつなぎに変えただけのロケンロールエピゴーネン。さらにリーダーの宇崎竜童はインテリだと判明。ツッパリはポーズだったと。

それでもキャロルよりダウン・タウンのほうが“長命”だったのは、リーダーの統率力がすぐれていたのと、音楽性がまさっていたから、というよりダウン・タウンのほうがポピュラリティという面で上だったから。

とりわけ宇崎竜童の音楽に対する造詣の深さや作曲センスのよさは、のちの山口百恵(横須賀ストーリー他)をはじめ高田みずえ(硝子坂)、梓みちよ(熱帯夜)、由紀さおり(TOKYOワルツ)、内藤やす子(想い出ぼろぼろ)など何人ものシンガーに提供した楽曲を聴けばわかる。

そのブギウギ・バンドの名声を確かなものにしたのが上にある「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」
あれだけヒットし話題になったのはノベリティソングの側面があった、ということはあるものの、阿木燿子の歌詞にストーリー性があったこと、それも一因。
この歌のヒロイン「ヨーコ」は当然多分万一、自分の名前から。もっとも彼女の本名は広子なのだが。

カタカナで書かれた「ヨーコ」とはどんな女なんだろう。歌詞から探っていくと。
「髪の長い」「マリのお客をとった」「ハマから流れてきた」「ジルバがうまい」「仔猫を拾った」「横須賀好き」「外人相手(のホステス)」「ウブなネンネ」
これだけのキーワードから考えられるのは、「一見陽気で自由奔放、身勝手で遊び好き。内面はナイーヴでさみしがり屋。細面でまつ毛バッチリ厚化粧。色白なおかつ栄養不良気味、下着なんかもあまり取り換えない」
まあ、後半は妄想ですが。

そんなヨーコはたとえばどんなイメージか。実在の「ようこ」さん達のなかに“港のヨーコ”はいるだろうか。

カタカナで思い浮かぶのがオノ・ヨーコ
プラスティック・オノ・バンド「ヨーコの心」がある。
たしかに髪は長い時期もあったけど、薄幸細面って感じじゃないし……。

古いところでは昭和20年代から30年代に洋楽系で活躍した美形シンガー・築地容子
新宿ムーランルージュ出身(芸名は姫路りえ子)で「セレソ・ローサ」「ジャニー・ギター」などの音源は残っているし、いまだシャンソンをうたい続けているそうだ。でもこんな美人ってかんじじゃないし。

もうひとり昭和25年に「ベサメ・ムーチョ」で話題になったラテン歌手・黒木曜子。カヴァーだけでなくオリジナルの「嘆きのブルー・ビギン」もあり、将来を期待されたが昭和34年に車に乗っていて電車と接触し娘さんとともに亡くなっている。曜子は芸名で本名はフサ子。顔を見たことがないので何ともいえない。

同じ曜子で前野曜子がいる。
ペドロ&カプリシャスの初代ヴォーカルで、カヴァー曲「別れの朝」は彼女がオリジナル。
その歌がヒットしているときにトラブルでヴォーカルを外され、渡米。その後帰国してソロ活動。松田優作主演の「蘇る金狼」の主題歌をうたって注目されるが、その後は音信不通に。昭和63年、昭和の最後と帳尻を合わせるように病死した。アルコール依存症だったという説も流布しているが詳細は不明。本名は耀子(ようこ)。

無軌道というか破滅的というか謎が多い部分が“港のヨーコ”っぽい(生まれは東京だそうだが)。顔立ちも笑顔が似合わなそうで違和感ないけど、ちょっと暗すぎる。

昭和40年代後半から50年代にかけても何人か。
昭和49年に「逃避行」をヒットさせた麻生よう子、53年に恩師・平尾昌晃とのデュオで「カナダからの手紙」をヒットさせた畑中葉子がいる。
麻生は歌の感じから不幸のにおいはするけど、性格とか行動が“港のヨーコ”ほどクールではなく情がありそう。また畑中はのちに日活ロマンポルノに出演したように奔放なイメージはするけど(「うしろから前から」なんてスゲエ歌もあった)、全体の雰囲気が“ヨーコ”ほどシャープじゃない(勝手なこと言ってます)。

アイドルではスタ誕出身の柴葉子(「白い羽根」「ゴーイング・バック・トゥ・チャイナ」の小ヒットがある鹿取容子(現在は洋子)が。
どちらも決して細面じゃないし、健康的だし……。

演歌では長山洋子同様アイドルポップスから転向した真咲よう子。アイドル時代は紅谷洋子で、こちらが本名。毎年のように新曲をリリースしている演歌の中堅で平成11年の「女の港町」は♪ふたりで暮らしたあの部屋は 汽笛が聞こえる坂の町 と昭和歌謡のにおいが漂うような歌。

もうひとり、「涙の太陽」(エミー・ジャクソン)「あなたが欲しい」(ハプニングス・フォー)など昭和の歌謡ポップスをカヴァーしたり、クレージー・ケン・バンドとの共演で知られる渚ようこも。
厚化粧で、スマートな感じに1970年代の雰囲気は“ヨーコ”っぽいけど、パワフルなところが真反対のような……。渚ゆう子と紛らわしい。

というわけでひと通り探してみましたが、似た娘はいても本人は……。

やっぱり歌にあるように、どんなに探してもみつからないようになっているのでしょうね。ホンモノのヨーコが探されてること聞いたら「アンタ、私の何なのさ!?」なんて言われちゃうかもね。


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tsukikumo

ダウン・タウン・ブギウギ・バンドのデビュー曲はたしか「知らず知らずのうちに」。これ深夜ラジオのオールナイト・ニッポンが強力プッシュしてシツコイほど掛けまくったんですが全くヒットせず。曲調のイメージから当時ハヤリの四畳半軟弱フォーク路線と勘違いしちゃったんですよね。
ですからスモーキング・ブギでTVに出てきたときはイメージと正反対でブッ飛んだ記憶があります。

「渚ようこ」はわざとでしょう。
昭和歌謡の伝道師、西の大西ユカリ姐さんと東のようこ嬢がともにクレージー・ケン・バンドと縁が深いのも面白いです。

あと、ひょっこりひょうたん島やキューティ・ハニーなどのの主題歌で知られる前川陽子、
スタ誕出身最年長優勝者で南沙織のパチモン的雰囲気だった南陽子も何故か記憶に残っています。


by tsukikumo (2009-01-31 01:17) 

MOMO

tukikumoさんいつもありがとうございます。

渚ようこ、“確信犯”?
そうでしたか。それなら「京都の恋」でもうたってもらいたいな。

南陽子というアイドルがいたのですか。だったら南佳織とか詩織とか羽織とかにすればよかたのに。
南野陽子のまえですか?
by MOMO (2009-02-02 22:27) 

tsukikumo

前川陽子は既出だったんですね。失礼しました。種々のアニソン以外にも一人GSもやってたんですね。
http://www.youtube.com/watch?v=a1TxzHM_JB8
コレ久々にブッ飛びました。

南陽子は森昌子と桜田淳子の間ぐらいに優勝し、年齢は当時25前後と、この番組とすれば相当高齢でした。したがってアイドルよりも当時ハヤリの悩殺系(今で言うところのフェロモン系)でデビューしたのですが先行した夏木マリや安西マリアらの影に隠れて目立たない存在でした。
スタ誕じゃなく歌謡選手権出身なら全く違った展開になっていたかもしれませんね。
by tsukikumo (2009-02-08 19:10) 

都市色

こんばんは。
「ヨーコ」、MOMOさんの仰る通り、親しみと奥行きのある素敵な名前で好きです。
僕の想い出の「ヨーコ」の一人と云うと、
「あしたのジョー」に出て来る令嬢、「白木葉子」です。
我の強い女性ですが、ちばてつやさんの描く清らかさが好きです。
by 都市色 (2009-02-08 19:14) 

MOMO

tsukikumoさん、コメントありがとうございます。

25歳前後でスタ誕というのはスゴイ。
やっぱり悩殺系でいくしかないですよね、そうなったら。

YOU-TUBEにもありませんね。せめて音楽だけでも聴きたかったですけど。

by MOMO (2009-02-11 20:45) 

MOMO

都市色さんまたまたありがとうございます。

白木葉子いましたね。
ジョーは彼女が好きだったんですか? なんだかよくわかりませんが。
「あしたのジョー」のもの足りなさはラブストーリーじゃないでしょうか。ストイックにすぎますよね。

葉子といえばやっぱり三原葉子ですね。
ああいう女優がいまは見当たりませんね。出でよ!三原葉子。
何を言ってんだか。

by MOMO (2009-02-11 20:50) 

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