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その名は●アーサ [the name]

アーサー・キットA.jpg

Sho-sho-sho-jo-ji
Sho-jo-ji is a raccoon
He is always hungry
So he sings out koi-koi-koi
He will rub his head and tummy
Rub head and rum-tum-tum

Macaroons and macaroni
Jelly beans and pink spumoni
Koi-koi-koi-koi-koi-koi
All he says is koi-koi-koi
([SHO-JO-JI(THE HUNGRY RACCOON)] words and music by BILL WALSH, vocal by EARTHA KITT, 1955)

クリスマスの日、アーサ・キットEARTHA KITTが亡くなった。今日の夕刊に書いてあった。81歳だったそうだ。

昭和20年代後半から30年代のはじめにかけて、日本でも話題になったアメリカのポップシンガーだ。

1928年、サウス・カロライナで生まれたが、幼い頃に母は病死、父は家出という辛い試練に。それでも祖母に育てられ、やがてダンスに夢中になり舞踏団へ。そして彼女が20歳を過ぎた頃、その舞踏団のヨーロッパ公演に同行。
アーサはなぜか、公演が終わってもアメリカへ帰らず、フランスやトルコなどのクラブに歌と踊りで出演するようになる。

52年帰国し、ミュージカルなどで活躍していたアーサは翌年レコーディングしたトルコ民謡を下敷きにした「ウシュカ・ダラ」USKA DARA/A TURKISH TALE とシャンソンの「セ・シ・ボン」C'EST SI BON(IT'S SO GOOD)がヒット。一躍人気となり、歌手をはじめ、ミュージカルだけではなく映画やTVドラマの女優としてもその知名度を高めていくことに。

残念ながらわたしはリアルタイムでアーサ・キットを知っていたわけではないが、昭和30年代の初め頃、「ウシュカ・ダラ」と「ヤンミー・ヤンミー」YOMME, YOMME SONGS OF ARABIAN HAREM をうたう隣のお姉さんの歌声が耳に残っている。
それはおそらく、日本語でカヴァーした江利チエミのレコードをコピーしたものだったのだろうが、そのときは「変な歌……」という感想だったが、その「ウシュカ・ダラ」や「ヤンミー・ヤンミー」をうたっていたのがアーサ・キットだと知るのはずっとあとのこと。
とにかくかたやアラビア風、かたやトルコ風でそのなんとも形容しがたいエキゾチカルなオリエンタルメロディーと不思議な言葉が耳に残ったものだ。

アーサ・キットの名前を知ったのは中学になってから。
友人にえらく洋楽の好きなヤツがいて、そいつがかの♪ショショショジョジ ショジョジの庭は……という「証城寺の狸囃子(ショー・ジョー・ジー)」SHO-JO-JI(THE HUNGRY RACCOON) をうたうアメリカの歌手のことを教えてくれた。それがアーサ・キットだった。
これまた奇妙な歌だった。
で、わたしの中でアーサ・キットとはコミック・ソングのシンガー(では決してないのだが)という印象で定着してしまう。

実際、ほかにも「ウェディングベルが盗まれた」SOMEBODY BAD STOLE DE WEDDING BELLやクリスマスソングの「サンタ・ベイビー」SANTA BABY など素晴らしい曲をいくつもうたっている。

アーサ・キットを語る上で忘れずに付け加えておかなければならないのは、彼女がベトナム戦争に反対し、そのために芸能界から半ばパージを受け、母国アメリカを去らなければならなかったということだろう。

どういう考えあるいは立場でアメリカ政府の政策に異議を唱えたのか、詳細は不明だが、“出国”という結果をみればかなり強行に申し立てたことが推測できる。
さらに推測するならば、彼女の反戦意識には、モハメド・アリと同様、自身が白人ではなかったことも関係しているだろうし、20代前半の多感な頃をフランスをはじめヨーロッパで暮らし、アメリカを外側から見ていたということも影響があったのではないか。

また、彼女のベトナム戦争に対する異議が、もう少し遅れて、国民の中に戦争泥沼化による厭戦気分が高まってきた頃だったなら共感者も少なくなかっただろう。また、彼女がまったくの白人だったらショービズの世界から敬遠されることもなかったのではないか、とさえ考えてしまう。

いずれにせよ、本国にいずらくなったアーサは自由とステージを求めて“第二の故国”フランスへ。
そのうち70年代に入り、ベトナム戦争が終焉するとアメリカは手のひらを返してアーサの当時の“勇気”を称え、肩を抱かんばかりに自国へ迎え入れたとか。

勇敢なる女性シンガーの冥福を祈りたい。


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