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冬歌⑨ブーツ [noisy life]

ブーツ.jpg
You keep saying you've got something for me.
something you call love, but confess.
You've been messin' where you shouldn't have been a messin'
and now someone else is gettin' all your best.
These boots are made for walking, and that's just what they'll do
one of these days these boots are gonna walk all over you.
([THESE BOOTS ARE MADE FOR WALKING] lylics and music by LEE HAZLEWOOD, vocal by NANCY SINATRA, 1966)


今年の冬はいつになく女性のブーツが街を縦横無尽に歩き回っています。それもほとんどがロングブーツ。ウエスタン風、ジョッキー風、蛇腹風(クシュクシュというらしい)、ボア付きの“藁靴”風などデザインは様々ですが。

みなさんそれぞれ、世間を踏みつぶすように闊歩されていますが、そんなにエバルことはありません。そもそも日本人が裸足や草履から靴に履き替えてまだ100年ちょっとなんですから。

そもそも靴は足を守るために作られた実用品で、長靴(ブーツ)も乗馬のとき馬の腹に当たるふくらはぎほ保護するために生まれたもの。そういえば、西部劇に出てくるカウボーイたちはブーツを履いていました。

日本で靴が普及しはじめたのは明治は鹿鳴館時代、19世紀後半だといわれています。で、そのときの靴といったら男も女もブーツが主流だったとか。ただブーツといってもロングではなく、くるぶしを隠す程度のサイドゴアーとか編み上げだったようです。
海老茶袴に編み上げブーツなんて、当時の女学生のユニフォームですよね。

その後なぜか庶民はブーツを履かなくなる。
その代わり、ブーツは軍人のシンボルに。軍靴なんていってね。昭和の前半はまさにブーツが日本中を踏みつぶしていった印象があります。
それが戦争に負けてようやくブーツを見ずに済むように。しかしありましたねブーツが。それも庶民のあいだで愛用されてた。そうあのゴム長。雨の日雪の日限定でね。とにかく昔は舗装道路が少なく、泥道ばかりで長靴は必需品でした。

それが晴れた日でも、アスファルトの上でもブーツを履くようになったのは東京オリンピックの後、昭和も40年代に入ってから。それもほとんどは女性。
その直後に大流行したミニスカートにもよく合ってブーツを履く女性がふえました。その後男でも流行りましたねロンドンブーツ。あれは昭和45、6年でしたか、マキシコートにロンドンブーツなんてね。
あの頃から若者がファッションで自己主張をはじめたんでした。まぁ繊維・服飾業界が仕掛けたという裏面はあるにしても。

そのブーツが流行始めた頃、世界的にヒットしたポピュラーソングがナンシー・シナトラNANCY SINATRA「にくい貴方」THESE BOOTS ARE MADE FOR WALKING 。1961年2月に全米1位、イギリス、ドイツ、オーストラリアをはじめ世界各国で頂点を極めたウルトラポップス。
日本でも大ヒットとはいきませんでしたが、そこそこテレビ、ラジオから流れていました。

この「ブーツは歩くためにある」という全くもってあたりまえのタイトルがなぜ「にくい貴方」になるのか。
歌の内容は浮気で不誠実な彼に対して脅しをかける女。「あんたはヤケドしなくちゃわからない」「あたしマッチ箱をみつけたの」ってコワイ。挙げ句の果てがタイトルの「ブーツは歩くためにあるのよ」「いつかあんたの上をこのブーツが歩くわよ」だって。

歌詞はともかく(じゃないだろう)、ヘイゼルウッドの曲が不思議ですばらしいですね。ノリがよくって、とりわけ最後の半音ずつ下がっていくところがなんとも……。日本では小山ルミがうたっていました。

次はドリー姐さんことDOLLY PARTON「ダディズ・ワーキング・ブーツ」DADDY'S WORKING BOOTS
And Daddy's working boots have taken many steps for us
…………

家族のために一生懸命働いてくれた父さん。そしてその父が愛していたブーツ。くたびれはて擦り切れても愛する家族のために働き死んでいった父さん。
今頃はきっと天国で新品の金のブーツをはいて通りを歩いているだろう。

そんな泣かせる歌。前に「コートはカラフル」COAT OF MANY COLORSで母親への感謝の思いをうたっていたドリー。今度はワーキングブーツに託して父親の想い出をうたっている。ほかにもドリーには父や母をうたった歌が少なくありません。ほんとにいい娘だよなぁ。家族想いでさ。これもきっとドリーの実話なんだろうな。なんとなくそんな気がします。

もう1曲はエリック・アンダーソンERIC ANDERSON の代表曲のひとつ「乾いたブーツ」THIRSTY BOOTS
Oh take off your thirsty boots and stay for awhile.
Your feet are hard and weary ........

放浪を続ける友に、「君のブーツは長い間歩き続けてきたため、ヨレヨレになってしまってるぜ。だからブーツを脱いでちょっとの間泊まっていきなよ……」とうたう。
放浪のシンガーらしい歌。やはり孤高のシンガー、フィル・オクスPHILE OCHSジョン・デンバーJOHN DEMBER もうたっている。

では日本のブーツも。

♪貴方の好きなブーツ 真赤な色は恋をつかむのさ 「真赤なブーツ」木の実ナナ
GS全盛の昭和42年、ちょうど日本でブーツが流行始めた頃のガールポップ。橋本淳、筒美京平のゴールデンコンビ。GS風味というよりはブラスが利いていて、やはり木の実ナナがうたった「サンライト・ツイスト」のようなイタリアンポップス風。

GSといえば、スパイダース「フリ・フリ」にも、
♪ダークのスーツにブーツをはいて
と出てきましたね。これは多分ロンドンブーツ。かまやつさんのイメージですね。

♪ブーツを脱いで白い部屋へ ブーツを脱いで二人だけの朝食 「ブーツを脱いで朝食を」西城秀樹
男と女の恋のかけひき。なんなんですかね、このめんどくさい心理ゲーム。
そんなのやめてお互い素直になろうよ、とうたっています。ブーツを脱ぐっていうのは、心を開くという意味。でもなんで朝食? 夜明けのコーヒーの変形?
作詞は阿久悠
昭和50年代には、
♪翼の生えたブーツで I WILL FOLLOW YOU
という松田聖子「赤いスイトピー」がありました。

もう少しあとになると、
♪しまい込んでた白いブーツ 憶えていますか 「白いブーツ」広瀬香美
冬といえばこの人。あの印象的な高音はいまでも人気なんでしょうね。
若かった頃、幸せだった頃のお気に入りで「似合うよ」って彼が行ってくれたブーツ。そんな時代への、元カレへの、そして自分へのノスタルジアソング。

♪でっかいブーツはブカブカブーツ 「ブカブカブーツ」ハイロウズ
フロイトの心理学によれば靴はペニスの象徴であるとか。それなら靴をコレクションする女性とは……。まぁいいですが。
ブカブカブーツを履きたい男は……。まだ言ってる。“露出教”甲本ヒロトの本音?

ふつう自分の足よりサイズの大きい靴というのはやっぱり履き心地がわるい。でも、小さいサイズよりはまだまし。というか、子供の頃雨の日に履いていた長靴はほとんどブカブカ。あの履き心地はかなり気持ちよかった記憶があるのですが。とくに水溜まりをビシャビシャと入っていく爽快感。
あんまり深いところだと長靴の中に水が入っちゃう。わざとギリギリのところまで行ったりして。たいがいは失敗して足がビショビショ。そうなればもうかまわない。長靴が水没するところまで行っちゃう。これがまた快感。でも、乾きにくいんだよね長靴の中って……。
話が尽きませんのでこの辺で。

みなさん、今年もお世話になりました。
こんな時代ではありますが来年はよいことがありますように。


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レモン

今年はお付き合い有難うございました。
来年もすばらしいブログを続けてください。
by レモン (2008-12-31 22:56) 

MOMO

レモンさん、コメントが遅れてすみません。さらに名前を間違えましてすみません。失礼しました。

昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします。

年明けはパソコンのクラッシュではじまりました。おかげで安穏な正月?を送ることが出来ました。

しかし、休みが終わると不便な毎日が続いております。
代パソコンを確保したものの、ソフトのインストールからインターネットやメールの設定まで“ふりだし”に戻っております。
これで新しい機械が来たらまた“ふりだし”です。いやになってしまいます。

ともあれブログは書き込めそうなのでまたコツコツやっていきます。
かさねがさねよろしくお願いします。
by MOMO (2009-01-19 01:56) 

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