BLUE/青い鳥② [color sensation]
I met a girl back in the hills
Who gave my lonely heart a thrill
Her beauty seemed just like a breath of spring
And when I looked into her eyes
I thought of blue summer skies
And when I held her hand in mine
I heard the bluebird sing
…………
([I HEARD THE BLUEBIRDS SING]words & music by HOD PHARIS, vocal by BROWNS, 1957)
もちろん「青い鳥」が幸せの象徴であるという共通認識は日本だけのことではありません。
アメリカでもそのようです。というより、日本よりもっとシンプルな象徴のような気がします(違うかな)。
つまり、日本では前回も少しふれたように、決して手に入らない、あるいは手にしてもすぐに逃げていってしまう幸福、というペシミスティックな捉え方がかなり強いようです。これは恨み節、泣き節が主流の昔ながらの歌謡曲だけではなく、Jポップにもみることができます。つまり日本人の普遍的な認識で思想といってもいいかもしれません。いかに表層が欧米化しようと、日本の二千数百年という歴史の積み重ねはそう簡単に変わらないのでしょうか。
そうした流行歌に見る日本の思想(絶望的なくらい大げさ)についてではなく、今日はアメリカンミュージックに出てくる「青い鳥」を。
個人的にすぐに思い浮かぶのが上に詞をのせた[I HEARD THE BLUEBIRDS SING]。
カントリーソングでオリジナルはハル・ロン・パインHAL LONE PINEとベティ・コディーBETTY CODYが1952年に吹き込んだもの。1957年に日本でも「谷間に三つの鐘が鳴る」THE THREE BELLS で知られるブラウンズTHE BROWNS がヒットさせました。
「白いスポーツコート」A WHITE SPORT COATで知られるマーティ・ロビンスMARTY ROBINS も歌っていますがやはりデュオが楽しい。仲むつまじかった頃のクリス・クリストファーソンとリタ・クーリッジ夫妻KRIS KRISTOFFERSON & RITA COOLIDGEがイカしてます。
邦題は「青い鳥が鳴いていた」、「青い鳥が歌っていた」、「青い鳥」などと様々。
内容は、〈丘のそばで少女の君を見初めたときも、村の教会で結婚式をあげたときも「青い鳥」が鳴いていたっけ。僕たちは深く愛し合い、幸福は永遠に続く。青い鳥のように。〉
というようなハッピーソング。
〈僕の彼女は丘に住んでいた……〉と似たようなトラディショナルソングに「青い鳥が呼んでいる」BLUEBIRDS ARE SING FOR ME があり、ブルーグラスのカントー・ジェントルメンTHE COUNTRY GENTLEMEN のアレンジで聴けます。ただし、こちらは放浪のはて故郷へ戻ってみたら彼女は冷たい土の下……という悲恋歌。
日本のムード歌謡のようにカントリーでもデュエットソングが盛んで、「青い鳥が鳴いていた」のほかにも、デヴィッド・ヒューストンとタミー・ウィネットDAVID HOUSTON & TAMMY WYNETTE がうたった「二人の青い鳥」MY ELUSIVE DREAMS が。ポップカントリーというより、ポップスですねこれは。
邦題はロマンチックだけれど、原題を直訳すれば「儚い夢」。ちなみにブルーバードという言葉はどこにも出てきません。つまり日本的発想でつけられた邦題。
実際の内容は、夢を求めて恋人とともにアメリカ中をさまよう男。しかし彼女はもうすっかりその儚い夢に飽き飽きしてしまっているという男の嘆き節。
日本ではナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッドNANCY SINATRA & LEE HAZLEWOOD 盤のほうが知られているかも。
ソロではボビー・ヴィントンBOBBY VINTONもうたっています。
もうひとつはカントリー・デュオが流行するきっかけになったといわれるハンク・スノウとアニタ・カーターHANK SNOW & ANITA CARTER の「ブルーバード・アイランド」BLUEBIRD ISLAND 。ブルーバード・アイランドとはハワイのこと? スティールギターと二人のハーモニーがトロピカルな雰囲気を醸し出す一曲。
ハンク・スノウといえばカナダ出身ですが、その先輩がモンタナ・スリムMONTANA SLIM 。彼の代表曲のひとつが「窓辺の青い鳥」THERE'S A BLUEBIRD ON YOUR SINDOWSILL。
ほかでは、これまた失恋ソングでマーヴィン・レインウォーターMARVIN RAINWATERの[GONNA FIND ME A BLUEBIRD]が。これは日本でも小坂一也が「恋を運ぶ青い鳥」というタイトルでカヴァーしています。
また70年代はじめ「アメリカの女の子」THE HAPPIEST GIRL IN THE WHOLE U.S.A. のヒットで話題となったドナ・ファーゴDONNA FARGO の[HELLO LITTLE BLUEBIRD]が。これはノルウェーのカントリーディーバ、ヘイディ・ハウゲHEIDI HAUGE で聴くこともできます。
いつものことながらカントリー中心になってしまいましたので、とってつけたようにブルースとジャズを少々。
ブルースではライトニン・ホプキンスLIGHTNING HOPKINS の「ブルーバード・ブルース」BLUEBIRD BLUES。
〈青い鳥よお願いだ、南にいる彼女のところへ手紙を届けてくれ〉というブルースにありがちな未練節。
ジャズはチャーリー・パーカーCHARLIE PARKER自作の「ブルーバード」BLUEBIRD 。なんとも意味深なタイトルで「青い鳥」というより「憂鬱なバード」といったブルージーな演奏。
1947年、サヴォイスタジオでの録音で、トランペットにマイルス・デイヴィスMILES DAVIS 、ピアノにデューク・ジョーダンDUKE JORDAN、ベースにトミー・ポッターTOMMY POTTER、ドラムスがマックス・ローチMAX ROACH というメンバー。
もうひとつはデューク・エリントン楽団DUKE ELLIGTON ORCHESTRA の「デリーの青い鳥(マイナー)」BLUEBIRD OF DELHI(MYNAH)という曲。
「極東組曲」というアルバムの一曲で、マイナーとは青い鳥の名前だとか。重厚なベースをバックにクラリネットの囀りがエキゾチックな雰囲気。
ところで、青い鳥とは実際にどんな鳥なのでしょう。
「ブルー・カナリー」がいるかどうかは別として、よくいわれるのは背や羽が青いオオルリとか、カワセミ。しかしメーテルリンクの「青い鳥」では兄妹が夢から覚めると飼っていたハトが青くなったと書かれています。つまり「青い鳥」とはハトのこと? ハトが幸福の鳥……、なんだ近所の公園行けば幸せだらけだよ、ほんとに。
momoさんお邪魔します。
たくさんありますね、青い鳥ですけど
ライトニング・ホプキンスは僕もレコードを買いましたよ。
一時ブルースを聞いたり、いい加減な歌詞で歌っていました。
そうですか「ブルーバード・ブルース」なんて曲もあるんですね。
黒人が歌うときはmomoさんのおっしゃるとおり幸せというより
憂鬱な気持ちを表現しているのかも。
そういえばハトが平和の象徴というのは何時からなんでしょうか
momoさんのおっしゃるように幸福の鳥のハトがいつの間にか
平和の象徴になったのでしょうか。
あと12月23日にフォークではないですが西東京市のこもれびホールというところで夜7時くらいからジ・オージンズというバンドでロータリークラブのクリスマス会にて演奏します。よろしかったらお越しください。
by レモン鈴木 (2008-12-03 07:42)
わたしもライトニンのレコードは3枚ありますが、そのうち2枚にbluebird bluesが入ってます。「聖者の行進」などもゴキゲンですね。
ハトは平和の象徴になったのは、国際的な平和会議でピカソがノアの箱船をモチーフにしたハトのポスターを描いて以来といわれてますね。
年末なにかと“義理飲み”が多いですが時間がとれればぜひ観覧にうかがいたいです。
by MOMO (2008-12-03 21:52)
こんにちは。
「青い鳥(BLUE BIRD)」というタイトルの曲に駄作無し!って感じですね。
僕が好きな「BLUE BIRD」。
バッファロー スプリングフィールドのロックンロール。
http://jp.youtube.com/watch?v=v4UFQwCXxRQ
ランディ エデルマンのバラード。
http://jp.youtube.com/watch?v=uerw2iB0qRs
by 都市色 (2008-12-11 07:38)
都市色さん、返事が遅れて(遅れすぎ!)すみません。
まったくのウッカリです。たしかに読んだはずで、返事も書いたはず、が書いてなかったのですね。だいたいもらうコメントが少ないのにこれでは言い訳もできません。(こういうケースまだあるのだろうなぁ。アカンなぁ)
2曲よもいい曲ですね。
二択ならばやっぱりバッファローに軍配です。
今年もよろしくお願いします。
by MOMO (2009-01-19 16:50)