SSブログ

秋歌②流れ星・歌謡曲編 [noisy life]

流星.jpg
♪泣いて 泣いて 
 泣いているのを 知らぬげに
 窓は二人を 遠くする
 こらえきれずに 見返れば
 すがるせつない 瞳(め)のような
 星がとぶとぶ 哀愁列車
(「哀愁列車」詞:横井弘、曲:鎌田俊与、歌:三橋美智也、昭和31年)

流星の 針のこぼるる ごとくにも 山口青邨

流れ星、流星(りゅうせい)は俳句では秋の季語になってます。

「流れ星」とは、宇宙の星屑が大気圏に突入して発火する現象。たしかにそうだけど、それじゃ歌は生まれません。
むかしから今に至るまで、星は月とともにロマンをかきたてるものとして天空に輝いていました。それが流れて消えてしまうなんて……、詩人でなくとも胸に何かを感ぜずにはいられません。

よくいわれるのは「流れ星が消える間に願い事をすると叶う」なんて。
そんな、アドリブきかないし、1秒やそこらで完結できるほどの願い事でもないし。なかには3回唱えろなんていう人も。それじゃ結局、願い事っていうのは叶わないものって言っているようなもので。

あとは、凶兆。誰か知っている人間の死を教えているという話も聞きます。

吉凶いずれにしても、流れ星はインパクトの強い天体現象ではあります。
ということは歌になりやすく、実際むかしから今に至るまで、多くのそして様々な「流れ星」がうたわれてきました。それこそ降る星のごとく。

流行歌での「流れ星」の表現はいくつかあります。
いちばん多いのは多分、ストレートな「流れ星」あるいは「流星」。

♪キラリ キラリ光った 流れ星 「網走番外地」高倉健
ごぞんじ(っていうほど知ってる人は多くもないか)、東映映画の同名主題歌。
健さんのなかでは「唐獅子牡丹」と並ぶ代表曲。どちらでもいいから、一度テレビでうたっている姿を見たかったなぁ。(YOU-TUBEお終いにワンコーラスあるんで我慢しちゃんない)

♪待っていそうな気もするが あの娘気儘な流れ星 「東京午前三時」フランク永井
真夜中に遊ぶ深夜族の歌。昭和30年代も今も東京には不夜城がありました。真赤なドレスの彼女はつれなくて、捉えようのない流星のような娘だと。“低音の魅力”も懐かしい。

♪流れ星みつめ 二人は枯れすすき 「昭和枯れすすき」さくらと一郎
情死行、男と女の死出の旅。二人が見た流れ星はまさに自分たちの運命の暗示。悲しすぎる歌ですよね。

♪帰っておいでと 流れ星にのせ そっと呼んでみた 「夜空」五木ひろし
昔の恋人に胸焦がすという未練な男の歌。まさに流れ星に願かけたわけです。ロマンチックな男やのう。作詞は山口洋子。やっぱり女性の発想ですよね。たしかレコード大賞の受賞曲。

もうひとつ、
♪他人(ひと)にゃとうてい わかるまい 空にゃ汚れた 流れ星 「にっぽん無宿」小林旭
流れ者にとって流れ星は己の明日を象徴しているようで辛い。後悔と懺悔の気持ちに明け暮れる者にとって流れ星さえ薄汚れて見えます。抒情的な流れ星を「汚れた」と修飾したのはこの歌ぐらい。

「流れ星」の口語体にした「星が流れる」とか「星の流れ」もよくあります。
戦後間もない頃、ヒットしたこの歌もそう。

♪星の流れに 身を占って 何処をねぐらの 今日の宿 「星の流れに」菊池章子
昭和22年といいますから、まさに焼け跡のにおいも残る時代の夜の女の歌。
♪こんな女に 誰がした…… という最後のフレーズはのちのちまで使われていました。

♪星が流れて消えても 祈りはしない 「夜と朝の間に」ピーター
「死人のよう」とか「鎖につながれた」とか「散るのを忘れた」と、退廃ムードが漂う歌。この歌の出る少し前に映画「薔薇の葬列」ではじめてピーターを見たのでした。昭和元禄44年、フーテン、サイケの時代を切り取ったような映画であり歌でした。

「星が降る」もよくあります。これははじめにもいいましたが流星のことですね。

♪星の降る夜は あなたと二人で 踊ろうよ 「星降る街角」敏いとうとハッピー&ブルー
おじさんの好きなムード歌謡で、ノリノリのカラオケソング。キャバクラ、ホストクラブでも定番ソングだとか。好きな方、ご一緒に!YOU-TUBEの面子がスゴイといいますか……、ジュリーのムード歌謡なんてまず聴けない。

♪今夜も星が 降るようだ 「星影のワルツ」千昌夫
おばさんの好きな別れのワルツ。ひと頃、中国でも人気だといわれていました。うーん、なんとなく分かるような。降る星に遠くにいる“あの人”の幸せを祈る。死ぬほど好きなのに彼女のためを思って別れるってどんな状況だったのでしょう。

流れ星の表現にもいろいろありますが、めずらしいのは「星がとぶ」とうたっている三橋美智也の「哀愁列車」
「星が飛ぶ」は「流れ星」と同義として俳句の季語にもなっています。しかし、流行歌ではつかいにくいのか、あまり聞きません。
「哀愁列車」の「星がとぶ」は「流れる」より列車に負けないくらいのスピード感があってGOOD。さすが横井弘

「哀愁列車」では♪星がとぶとぶ というぐらいですから単発ではなく、流星群かもしれません。♪惚れていながら行く俺を…… とこちらも“男のやせ我慢”。「なんで好きなのに?」という疑問には、「それはね、流行歌だからだよ」としか答えられませんが。

三橋美智也の歌にはほかにも「流れ星」があります。
♪両手をまわして 帰ろう……という「星屑の町」なんてそんな感じですし、「流れ星だよ」だとか「女の恋は流れ星」なんていうタイトルの歌も。

そういえば、なんでもジャコビニ流星群が来ているそうで、明日の夜8時がピークだとか。方角は北西だそうです。
流れ星が誰かの死を告知しているとしたら、今回ばかりは大変です。
「ホラまただ、多分あれは××さんだよ。すげえ、今度は3連続だ。あれはきっと△△さんの一家かもね。フーッ、これで65人目だ……」なんて、シャレにもならない。
秋の夜長に馬鹿なこと考えてます。


nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

toty

流れ星・歌謡曲編ということは、
違うジャンルもこれから出てくるということなのでしょうね。

ということで、しゃぼん玉ホリデーの最後の曲、
ザ・ピーナッツを思い浮かべながら次をお待ちしています。
by toty (2008-10-08 01:21) 

MOMO

totyさん、いつもすいません。

そうなんです。どちらかというと「流れ星」はポップスのほうが多いかもしれません。それでヤル気になっているのですが、少し仕事に追われてまして、なんとか秋が終わるまでにはとは思っています。

はたしてピーナッツまでたどり着けるかどうか。
by MOMO (2008-10-09 21:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

秋歌①わかって下さい秋歌③枯葉 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。