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丘⑥MANSION ON THE HILL [a landscape]

ファッツ・ドミノ.jpg

Tonight down here in the valley
I'm lonesome and oh, how I feel
As I sit here alone in my cabin
I can see your mansion on the hill

Do you recall when we parted?
The story to me you revealed
You said you could live without love, dear
In your loveless mansion on the hill
([A MANSION ON THE HILL]マンション・オン・ザ・ヒル lyricks, music & vocal by HANK WILLIAMS, 1949)

最後の「丘」HILLは洋楽で。
あたりまえだが、丘は田園にある。ということは田舎を舞台とした歌でよくうたわれるということ。ということは古い歌ばかり。やれやれ。

オールドタイミーやカントリーに「丘」はしばしば出てくる。たとえば、
[CABIN ON THE HILL] [LITTLE CABIN HOME ON THE HILL] [THE GRAVE ON THE GREEN HILLSIDE] [ON A HILL LONE AND GRAY] [OKLAHOMA HILLS] [HIGH ON A HILL TOP] [FLINT HILL SPESIAL]などなど。

しかしどれもこれもカントリー好き以外には耳なじみのない歌ばかり。
では、比較的聴き覚えのある(除く若者)「丘」の歌をいくつか。といいながら、いきなりカントリー……。

上に歌詞をのせた「マンション・オン・ザ・ヒル」A MANSION ON THE HILLハンク・ウイリアムスの代表曲のひとつ。(you-tubeはハンクが消えていたのでジョージ・ジョーンズGEORGE JONES で)といいつつ聴けるようになったので本家でひとつ。
マンションは邸宅、つまりお金持ちの家。
自分を棄てて金持ちに嫁いだ元カノ。そんな彼女の住む大邸宅を、みすぼらしい我が家から見上げながら、「あんな所に愛なんかあるものか」と嘆く彼。アメリカ人の“感覚”でも丘の上には“高嶺の花”が咲いているのかと思わせる歌。

と、どこかで聞いたことのある話。そう、先日とりあげた浜田省吾「丘の上の愛」とモチーフは同じ。ハマショーは「愛がないなら丘を駈け降りてこい」とうたってるが、ハンクは運命を悟ったかのようにただ嘆くばかり。

この歌には、ハンクのプロデューサーでもあり、作詞作曲家でもあり、音楽出版社オーナーでもあるフレッド・ローズFRED ROSEがヒントを出して、それをハンクが30分あまりで書き上げたというエピソード(伝説にすぎないという話も)が残っている。
とにかく男の哀愁が滲むメロディーで、彼の数あるヒット曲の中でも好きな歌。

同じ失恋ソングに「ブルーベリー・ヒル」BLUEBERRY HILLS がある。1956年、R&Bの巨漢いや巨匠シンガー、ファッツ・ドミノFATS TOMINO によってヒットした歌で、全米2位。元は40年代、グレン・ミラー楽団GLENN MILLER ORCHSTRA によって演奏されていた曲だとか。

スローなブギのイントロから、
♪I found my thrill on Blueberry Hill
と印象的なフレーズがはじまる。「ブルーベリーの丘」はあの日彼女と逢った思い出の場所。そしてふたりの甘酸っぱい思い出が残る場所。
別れたにしろ、彼女と出逢った場所がブルーベリーの実る丘っていうのはいいなぁ。なかなかそういうロマンチックな出会いってないものね。
まぁ、合コンでも街角でのナンパでも、電車の中でも出逢えればまだいいんだけど。

ポピュラーな歌で、レパートリーとする歌手も少なくない。
スキータ・デイヴィスSKEETER DAVISブレンダ・リーBRENDA LEE の女性盤もなかなかだが、サッチモLOUIS ARMSTRONG のノイジーヴォイスも味がある。

日本でもカヴァーしたシンガーはいて、小坂一也は♪想い出のブルーベリー・ヒル  美空ひばりは♪初めて逢った日の 想い出のあの丘 とうたっている。
またファッツ・ドミノには[HEART BREAK HILL]という64年に出した曲もある。こちらは軽快なロックンロール。

続いては「フール・オン・ザ・ヒル」FOOL ON THE HILL。もちろんビートルズTHE BEATLESのヒット曲。のちにセルジオ・メンデス&ブラジル’66SERGIO MENDES & BRASIL'66でもヒットした。
♪Day after day, Alone on a hill, The man with the foolish grin is keeping perfectly still
で始まる奇妙な歌。
丘の上で笑っている愚か者の歌。人々は彼を「アホな奴だ」とばかり見下している。ただ愚か者は本当に愚かなのはみんななのだと思っている。

これは一説によるとポールPAUL McCARTNEYが、地動説を唱えて世間から笑われ続けたガリレオ・ガリレイをヒントに書いたものだという。“正統な異端児”ということ。
でも、なぜ異端児は丘の上にいたのだろうか。実際、ガリレオは丘の上で暮らしていたのか。それとも「丘」が気高い者のいる場所、人より秀でた者のいるステージ、という意味なのか。

最後はこれまた中高年にはたまらなく懐かしい「モッキンバード・ヒル」MOCKI'N BIRD HILL。昭和でいえば20年代後半から30年代。スタンダードヴォーカルがピカピカに輝いていた頃。「テネシー・ワルツ」TENNESSEE WALTZ「ワンワン・ワルツ」(HOW MUCH IS)THAT DOGGIE IN THE WINDOWパティ・ペイジPATTI PAGEで日本でもヒット。レス・ポールLES PAUL とメアリー・フォードMARY FORD 盤もポピュラー。
♪トゥララー トゥィル ディディ という鳥の鳴き声を模したスキャットがなんとも印象的で、子供ながらにラジオから流れくる歌に聴き入ったものでした。

モッキンバードはメキシコ原産で和名をマネシツグミというスズメ目の鳥。他の鳥の鳴き声を真似るので「物まね鳥」の別名もあるが日本には生息しない。
実は中学生ぐらいまで“木琴バード”だと思っていた。これホントの話。

歌詞は花咲乱れ、鳥のさえずりが絶えないモッキンバードヒルに住む喜びをうたったもの。
日本では♪トゥララー ティリリ モッキンバードの 歌声で毎朝目覚める
というペギー葉山のほぼ忠実に訳されたカヴァーがある。
またこの「モッキンバード・ヒル」、NHKの「みんなの歌」でも上条恒彦の歌唱で取りあげられているのだが、歌詞がまったく違う。
まるでホーボーのような旅人が故郷のモッキンバードヒルのことを思い出すというオリジナルストーリーに創作されている。

NHKの「みんなの歌」ではアメリカのフォークソング「グリーン・グリーン」GREEN GREEN も本来は、緑の大地を求めて旅する男の歌なのだが、亡くなった父との思い出の歌に作りかえられている。
その「グリーン・グリーン」にも「丘」が出てくる。
♪Green green it's green they say on the farside of the hill

丘の彼方にある緑の大地を目指して……、ってなんだアメリカ人も♪丘を越えて行こうよ
って考えてるんだ。


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toty

私も、モッキンバードヒルでは
木琴をイメージしていました。
よく歌いました。

グリーングリーンでは、
「パッサイオブダヒル」と耳で覚えていました。
by toty (2008-09-22 22:32) 

MOMO

totyさん、いつもありがとうございます。

やっぱり木琴バードですよね。
ポール・アンカの「ダイアナ」なんかは「大穴」だったり。

そうそう耳覚えの洋楽ね。レコードなんて変えないから歌詞もわからない。わかっても小学生では読めない。
エルヴィスも「ユエンナズバダハウンドドッグ」なんてね。
by MOMO (2008-09-25 20:58) 

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