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夏歌⑤太陽の翼 [noisy life]

夏歌⑤太陽の翼.jpg

♪ 太陽の翼は さわやかな 夜明けの風を運ぶ
  イェイ イェイ すばらしい
  イェイ イェイ 輝く翼
  この朝が 僕たちに 愛の花 くれるのさ
  だから だから
  二人の 心に咲かせよう
(「太陽の翼」詞、曲:利根常昭、歌:田辺昭知とザ・スパイダース、昭和42年)

16世紀の中ほど種子島に鉄砲が漂着して日本の歴史が加速されたように、昭和40年、ベンチャーズによってエレキブームが起こったことで日本のポップスシーンが質的変化を起こした……、っていささか大袈裟ですが、そこにGSにつながる第一次バンドブームが起こったことは事実。

GSについてはたびたびふれてきたので、アウトラインは省略してこのスパイダース「太陽の翼」を中心に、GSの「太陽ソング」をみていきます。

スパイダースのオリジナル曲はほとんどかまやつひろしの作曲で、ビートルズをはじめとするリバプールサウンドや昔とったなんとやらのカントリー風味付けがその特徴。それが他のGSと違うところ。

ただ、ナンバーワンヒットの「夕陽が泣いている」「風が泣いている」、あるいは上に紹介した「太陽の翼」、さらには「涙の日曜日」などかまやつ以外の作曲のものもあります。それらは、彼らの持ち味とはいささか異なる歌謡ポップス(つまりGS)っぽい楽曲。
前の2曲は巨匠・浜口庫之助の作詞作曲、「涙の日曜日」はなかにし礼・鈴木邦彦のコンビによるもの。当然といえばいえますが、GSではこちらのほうが売れてしまうのです。さすがプロフェッショナルという考え方もありますが。

大御所・浜口庫之助はもちろん、「恋のハレルヤ」「天使の誘惑」をはじめとする黛ジュンの作品、あるいは奥村チヨ「恋の奴隷」、GSでいえばゴールデン・カップス「いとしのジザベル」「長い髪の少女」ダイナマイツ「トンネル天国」などの作品がある鈴木邦彦も昭和40年代の日本のポップスシーンを語るにはには欠かせない作曲家。

ところが「太陽の翼」の利根常昭はきわめて寡作。
作品を提供したシンガーはGSならサベージ、オックス、オリーブ、ボルテージ、リンド&リンダース、それ以外では森山良子、和田アキ子、バーブ佐竹、坂本スミ子、ベッツィ&クリス、小畑ミキと多彩ですが、ヒット曲といえるのは、「太陽の翼」とサベージの「この手のひらに愛を」くらいでリンド&リンダースの「銀の鎖」が微妙なところ。

ほかにGSを中心に編曲も手がけています。とりわけテンプターズオックスなどの洋楽カヴァー曲がそこそこ。

この利根常昭という作曲家、高知県出身で元々はジャズ・ピアニストだったとか。年齢は不明ですが、今は亡きレイモンド・コンデと共演したこともあるというのですから、そうとうなものでしょう。
ジャズでは食べていくのはむずかしく、ポップスの作詞作曲や編曲をしていたのでしょうか。自身がプロデュースした日本のジャズレコードも出しています。

そのほかドキュメンタリー映画の音楽を担当するなど多彩な仕事をこなしています。

そののち高知へ戻り、地元のポップス・オーケストラの音楽監督を務めたり、学生ブラスバンドの演奏曲の編曲を担当したりと、高知の音楽文化の発展に貢献し、後進の育成に尽力しているとのことです。

それでは軌道修正してGSアンドその周辺の“太陽ソング”を。

先日とりあげたいずみたく作品「太陽野郎」(バニーズ)
バニーズには「太陽の花」もあります。こちらは寺内タケシの作曲。
ほかではジャッキー吉川とブルーコメッツ「太陽の娘」。ポップスファンには異論があるかもしれませんが美空ひばり「真赤な太陽」も。

歌詞に出てくるものは
♪でっかい太陽が 恋の女神なのさ 「シーサイド・バウンド」タイガース
♪海に沈む太陽が 恋の終わりを告げるように 「夕陽と共に」ワイルド・ワンズ
カヴァー曲ですが、
♪たとえ太陽が 二度と出なくても OK! 「オーケイ」カーナビーツ

“夕陽”はそこそこあるのですがGSの“太陽”は意外と少ないのです。

ではGSサウンド? にのった当時のガールポップスの中から、
「太陽は泣いている」いしだあゆみ
「太陽がこわいの」響かおる
「太陽と遊ぼう」青山ミチ
「太陽に唄おう」草間ルミ
「恋と涙と太陽と」はつみかんな

この中で「太陽は泣いている」はサザンの原由子がカヴァーしているので若い人で知っている人もいるかも。

ところで「太陽の翼」とは何でしょう。
当時あまり深く考えず、なにか抽象的なパワーの詩的表現かなと思っていましたが、実際は飛行機のこと。当時日本航空が世界一周航路を開通させ、そのイメージソングとしてこの「太陽の翼」がつくられたそうです。もう1曲サベージもイメージソングをつくっているとある資料には書かれていましたが、果たして。
時期的には「太陽の翼」と同じ利根常昭作詞作曲の「風よ風よ」か、「いつまでもいつまでも」佐々木勉作詞作曲の「夜空の夢」でしょうか。

昭和50年から現在に至るまで、「太陽」は流行とは無関係に歌われています。
「太陽が燃えている」イエロー・モンキー
「太陽のコマチエンジェル」B’z
「太陽の少年」徳永英明
「太陽は罪なやつ」サザン・オールスターズ
「歪んだ太陽」UA

など、耳に覚えのある歌はいくつもありますが、それはまた次の夏にでも。


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