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BLACK/黒い瞳② [color sensation]

黒い瞳②.jpg

Where the northern lights
Gleam in the Russian skies
On one night of nighrs
I found paradise
Through the fields of snow
As the swift sleigh flies
I recall the glow
Of your dear dark eyes
([DARK EYES] TRADITIONA, play by CHUCK FOSTER ORCHESTRA, vocal by DOROTHY BRANDON)

ロシア民謡「黒い瞳」は、その美しい旋律から20世紀以後各国の演奏家がとりあげるところとなった。

日本では前回ふれたように戦後、“歌ごえ運動”とともに広まったこともあるが、ドイツのアルフレッド・ハウゼ楽団ALFRED HAUSE ORCHESTRAのタンゴ「黒い瞳」Schwarze Augen としても親しまれた。
そのタンゴ「黒い瞳」はロシア民謡「黒い瞳」とイコールではなく、オリジナルの旋律にロシア民謡を挿入したもの。

作られたのも戦後ではなく、戦前の1920年代。
そもそも19世紀末期にアルゼンチンで萌芽したタンゴがヨーロッパで一大ブームを起こしたのは、1925年のフランシスコ・カナロ楽団FRANCISCO CANARO ORCHESTRAの遠征以後だといわれる。

日本でいえばまさに昭和の黎明期。その日本へタンゴはヨーロッパから渡ってきた。そうしたヨーロッパ大陸からのタンゴを日本ではコンチネンタル・タンゴと呼んだ。
とりわけ多かったのは日本と友好国の関係にあったドイツ発のタンゴ。
昭和10年(1935)にはドイツ映画「黒い瞳」も日本で公開され。その中にタンゴ「黒い瞳」もつかわれていた。ディック・ミネがそれをカヴァーしていることは前回ふれた。

「黒い瞳」がアレンジされたのはタンゴだけではない。
1935年、アメリカにおいて音楽革命(大袈裟)が起こった。スイングの爆発である。
夥しいダンスホールとビッグバンドが生まれ、狂喜乱舞のスイングシーンが展開されたのだ。
モンスターと化したスイングは、あらゆる音楽を呑み込んでいった。つまりなんでもかんでもスイングにしてしまうのだ。ベートーヴェンだろうが、バッハだろうがおかまいなし。フォスターはもちろんスコットランド民謡まで。さらにはロシア民謡も。

「黒い瞳」は人気バンド、トミー・ドーシーTOMMY DORSEY 楽団によってヒットした。
そのほか、「バンブル・ブギー」Bumble Boogieでおなじみのフレディ・マーチンFREDDY MARTIN 楽団チャック・フォスターCHUCK FOSTER 楽団などによって演奏された。
これらはタンゴのようにオリジナルのメロディーの間奏につかうのではなく、オリジナルのメロディーをそれぞれのアレンジで演奏している。

ビッグバンドばかりではない。戦後、ジャンゴ・ランハルトDJANGO  REINHARDT「黒い瞳」Les Yeux Noirs(Dark Eyes)としてとりあげている。ロマの血をひくジャンゴにはうってつけの曲で、ジャンゴ風に演奏するギタリストも少なくない。
ジャンゴ風ではないが、ギターの教科書チェット・アトキンスCHET ATKINS も。これはYOU-TUBEで見たというか聴いたもの。

トランペットはサッチモLOUIS ARMSTRONG[Otchi-Tchor-Ni -Ya](ロシア語?)というタイトルであのヴォーカルも聴ける。スローではじまって、途中でデキシーランドになるのがまた楽しい。デキシーの「黒い瞳」はよくあるようで、大昔名もない楽団で聴いたことがあった。

ピアノなら、ウイントン・ケリーWYNTON KELLYオスカー・ピーターソンOSCAR PETERSON[Dark Eyes]
前者はソロで、メロディアスで叙情的な演奏(これが最高だけどYOU-TUBEにはなかった)。後者はクラシックのヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンITZHAK PERMANとの競演。こちらも軽やか。

そして1980年代にはポップスにも。
スペインのフリオ・イグレシアスJULIO IGLESIASが82年にヒットさせた「黒い瞳のナタリー」Nathalie
これもロシア民謡「黒い瞳」をアンコにしたオリジナル。日本では松崎しげる郷ひろみ(「哀しみの黒い瞳」)がカヴァーしている。
“耳さわり”のいい曲で、カヴァーも少なくない。とくにヨーロッパでは人気のようで、トルコのアジダ・ペッカンAjda pekkan、ヤシャールYasar、フンダ・アラルFunda Ararといったシンガーもうたっている。

ウイントン・ケリーをはじめ、英語圏での「黒い瞳」のタイトルは「ダーク・アイズ」Dark Eyes で「ブッラク・アイズ」とはいわない。
ブラック・アイとは、殴られて目の周囲が内出血をおこして黒ずんでいる状態のことをいうのだそうだ。
それならシャナイア・トゥエインSHANAIA TWAIN「ブラック・アイズ、ブルー・ティアーズ」Black Eyes Blue Tears は殴られ悲しくて泣いているという意味の歌?


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