COLOR/5月の色 [color sensation]
♪ 五月雨は 緑色
悲しくさせたよ 一人の午後は
恋をして さみしくて
とどかぬ思いを あたためていた
好きだよと言えずに 初恋は
振り子細工の心
放課後の 校庭を 走る君がいた
遠くで僕はいつでも 君をさがしてた
浅い夢だから 胸を離れない
(「初恋」詞、曲、歌:村下孝蔵、昭和58年)
色。絶対的ではないにもかかわらず、誰もが拘泥し執着するもの、色。
何ものかを差別したり、区分けするのに最も適したタグとなるもの、色。われわれが生きていくなかで、しばしばその実感を刺激してくれるもの、色。
流行り歌が人生の自惚れでありため息であるならば、それは当然の如く様々な色に彩られているはず。そんな、歌の中の色々な色を思いつくままにブログにのせてみることにしました。
まずとっかかりは「5月の色」を。
暦の“月”に色があるのか、なんてヤボテンは置いといて、日本人にかぎらず人間は本来色のない抽象的なものに色をつけたり、色によって区別したりします。
日本でいえば、若い時代を「青春」といったり、真心のことを「赤心」といったり、本心を告げることを「告白」といったり。ほかにも春の風が「みどりの風」になり、子供や女性の歓声を「黄色い声」などと。
欧米人の表現だって。たとえば白人は決して白くないし、黒人もけっして黒ではない。もちろんわれわれもイエローなわけがない。
しかし、これらは共通認識に基づく共通理解ということでまかりとおっております。
それにのっとれば、5月に色があってもいいわけでして。
もちろん1月から12月まで、それぞれに色をつけることもできないことではありません。しかし、こちらはそうした慣例的なものがないので、ある程度個人差が出てくるのは仕方ないこと。
もっと大雑把に、たとえば季節で分けるのなら、日本の場合、冬は白、春は緑(または青)、夏は赤、秋は黄(または茶)でほぼ納得できるのではないでしょうか。
しかし、桜のイメージから、春はピンク(薄紅色)だと感じたり、菜の花のイエローと受けとめる人もいるのでは。あるいは藤や菖蒲の紫だったり。つまり、春咲く花名の色から季節を感じるということ。こうしたわれわれの中の色彩感覚のズレがおもしろいですね。まぁ最大公約数はあるのでしょうが。
5月をうたった日本の歌もそこそこあります。
そんななかで、「5月の色は××だ」と宣言しているわけではありませんが、歌詞のなかになんらかのカラーが出てくる歌をいくつかピックアップしてみることに。
まずは5月になると必ずといっていいほど、どこかのラジオから聞こえてくるのが「五月のバラ」。塚田三喜夫から尾崎紀世彦から秋川雅史から演歌の岩出和也まで、女性ではやはり演歌の香西かおりなど、多くのシンガーが持ち歌にしています。オリジナルは一昨年亡くなったフランツ・フリーデルだとか。初めは「想い出のバラ」というタイトルだったそうです。
とにかく筒美京平に優るとも劣らないメロディーメイカー、川口真の作品。
その中では、
♪まばゆい5月 紅いバラは……
と「紅」が出てきます。もうひとつ、
♪君の白い頬よせて……
と「白」も。「紅白」とは何ともオメデタイ。それはともかく、この「五月のバラ」では緑ではなくバラの「紅」がイメージカラーになっているようです。
つぎに井上陽水の「5月の別れ」。
“木々の若葉”や“咲く花々”と季節感あふれる歌詞が続き、
♪残された青空の……
と「青」が出てきます。どんな悲しい別れでも5月の晴れた空はやっぱり青いのです。だからなおさら心が痛むんでしょうね。
いずみたくの作品でピンキーとキラーズ、由紀・安田姉妹、芹洋子がうたっている「12の誕生日」でも、
♪5月生まれの友達と…… のあと、
♪青い霧のかよう道……
と「青」が出てきます。やっぱり5月は青の季節なのかも。
でもやっぱり「緑」もあります。
♪五月雨は 緑色……
というのは「初恋」(村下孝蔵)。しかし2番には、
♪夕映えは あんず色……
と「あんず色」が。5月だって胸のときめく夕暮れどきはあんず色に染まるのです。
あんず色は薄紅色。
♪薄紅色の可愛い君のね……
と「薄紅色」が出てくるのが一青窃の「ハナミズキ」。
ハナミズキは春に咲く花で、歌の中にも
♪空を押し上げて 手を伸ばす君 五月のこと
とちゃんと5月がうたわれています。
まぁ色彩感覚というのは人それぞれで、そこがまたおもしろいところでもありでして。5月を「赤」あるいは「黒」でイメージする人がいてもいいわけでして。
わたしの場合はやっぱり緑。かの「若葉の頃」First of May のイメージもありますし。まぁ、このビージーズTHE BEE GEES の歌は5月をうたったものではないのですが……。
それでも5月はやっぱり緑。ほら言うではありませんか。五月は五月(さつき)、五月はみどりって。あ、ジャブジャブ、ジャーブジャブ……。
>5月のバラ
フランツ・フリーデルですか!オリジナルは。
これは知りませんでした。(^^;
以前、ブレンダ・リーの何度目かの来日の時に作られたと、何かで読んだ記憶があります。
フランツ・フリーデル、いま調べたら従兄弟の方のブログに「5月のバラ」のことが載っていました。
さすがです!
ブレンダ・リーのほうは、たぶん「作った」ではなく、「探し出した」んでしょうね。
by Mashi☆Toshi (2008-05-13 22:15)
Mashi☆Toshiさん、こんばんは。
たいしたことありません。わたしも最近ウェブで知ったのですから。
従兄弟ってフランツ・フリーデルのですか?
さっそく探して見てみようかな。
by MOMO (2008-05-14 21:27)