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『三味線』 [noisy life]

三味線.jpg 
 
♪ 白鷺は 小首かしげて 水の中
  わたしと おまえは
  エー それそれ そじゃないか
  チイチク パアチク 深い仲
(「白鷺三味線」詞:西條八十、曲:上原げんと、歌:高田浩吉、昭和29年)
 

ところでバンジョーに音色の似た楽器というと三味線
それもそのはずで、バンジョーと三味線のルーツは同じといわれています。その形状も3弦と4弦(5,6弦)、ボディの丸と四角、材料の猫(犬も)と仔牛(羊も)という違いはありますが、構造は同じ。

 
よく聞くと、三味線はバンジョーよりもいささか湿っていて、艶っぽいという音色ですが、それでもアルトサックスとトランペットぐらいは似ています。
 
では、バンジョーと三味線のコラボも面白のではという発想がでてきますが、実はすでに実行している人がいます。
浪曲師の国本武春が自ら三味線を弾いて、ブルーグラスバンドとセッションしています。その津軽三味線を思わせる早弾きは、バンジョーに負けてはいません。

三味線による「フォギー・マウンテン・ブレイクダウン」もこれがなかなかオツでして。
[APPARACHIAN SHAMISEN]とか[NINJYA RAG]あるいは[DREAM OF GEISHA]などユニークな自作のブルーグラスミュージックもCD化しています。

 

そもそも三味線は中国から渡来したもの。16世紀末といいますから、江戸時代の前。
以後、文明開化までの300余年、笛・太鼓とともに庶民の楽器の主流に。
歌舞伎の長唄をはじめ、義太夫、常磐津、清元あるいは地唄、小唄と江戸歌謡のバックには欠かせない楽器とあいなりました。

当時の“粋どころ”や“遊び人”たちはこぞって自慢の喉を披露し、周囲からひんしゅくを買っていたわけで、現在のカラオケと大差なし。今も昔も。
 
もともと三味線という楽器は座って弾くものですが、大胆にもそれをスタンディングに、さらにはウォーキングで弾いてしまったのが“新内ながし”。時代劇でときどき見かける、辻々あるいは軒先で一声をあげ、ご祝儀をもらうという“お仕事”。ギター流しのルーツですね。そのギターながしも忘却の彼方。どうしているんでしょうマレンコフ。
 

軌道修正。
昭和に生まれた流行歌にも、三味線は欠かせない楽器でした。
昭和5年に大ヒットした♪ 月はおぼろに 東山 という「祇園小唄」(藤本二三吉)はまさにそのハシリで、粋な音色に粋なお姐さんの声が聞けます。

 

最近の演歌でも、和風のものでは必須楽器。
演歌嫌いな人でもタイトルぐらいは知っている「浪花節だよ人生は」(木村友衛)、「お座敷小唄」(松尾和子&マヒナスターズ)、「風雪ながれ旅」(北島三郎)、「望郷じょんがら」(細川たかし)などは、いずれも三味線が“主役”。
とりわけ、あとの2曲は昭和40年代から注目され始めた“早弾き”の津軽三味線をフィーチャーしたもの。

 
また、「ハイサイおじさん」(喜納昌吉とチャンプルーズ)「島唄」(ブーム)などの沖縄発あるいは沖縄を舞台にした歌に欠かせないのが三線(サンシン)。これもまた三味線の仲間。
 
現在でも吉田兄弟の演奏が知られていますし、三味線を教科に取り入れている小学校や高校もあるとか。和楽器健在というところ。
また、昭和30年代ころまでは“三味線”をタイトルにした流行歌もそこそこありました。
昭和20年代では、粋どころの市丸ねえさんが「三味線ブギ」と「三味線ワルツ」を。とりわけ前者はかの服部良一作。これはヒット。日本髪、着物でブギウギですから、スゴイ。
 
そのあと30年代になると和風ザ・ピーナッツ(誰も言ってない)のこまどり姉妹「三味線姉妹」「三味線渡り鳥」「浮草三味線」など“三味線もの”を連発します。もちろんこの双子のご両人、ステージではストラップに三味線を提げての熱唱。
ほかでは、美空ひばり「三味線マドロス」があり榎本美佐江「後追い三味線」、市丸をカヴァーした五月みどり「三味線ワルツ」が。
 

そして、高田浩吉の「白鷺三味線」
高田浩吉は、戦前から戦後にかけての映画スター。
昭和10年後悔の映画「大江戸出世小唄」で、同名の主題歌を歌いヒット。以後、歌う映画スターとして、高峰三枝子鶴田浩二、あるいは石原裕次郎の先鞭をつけました。その鶴田浩二は名前からもわかるとおり、高田浩吉の弟子。

 

戦後は映画「伝七捕物帖」が当たり役となり、昭和40年以降はテレビのシリーズにも。
娘の高田美和も女優であり、歌もうたっていました。
ファンは「コーちゃん」「コウキっつあん」などと。平成10年逝去。享年86歳。

 

「お役者小僧」「江戸いろは祭」「伊豆の佐太郎」などいくつものヒット曲のほとんどは自身主演の映画主題歌。
「白鷺三味線」も昭和30年に封切られた「八州遊侠伝・白鷺三味線」の主題歌。
鼻にかかったような、すましたような小唄や長唄を思わせる和風の歌い方が印象的。
後年、タモリが「無思想の歌」として取り上げ話題になったことも。

 
その影響か「白鷺三味線」が取り上げられることがありますが、そのほとんどは歌詞を“ピーチク・パーチク”としています。正確には上にもあるように“チイチク・パアチク”。

“ピーチク・パーチク”では、
♪ ピーチク パーチク ヒバリの子
って熊本民謡の「おてもやん」になっちゃう、って思ったらその「おてもやん」も元々は“チーツク・チーツク”あるいは“チーチク・チーチク”で、それがいつの間にか“ピーチク・パーチク”になってしまい、現在にまで通用しているのだとか。

 
ということは「白鷺三味線」も、もはや“ピーチク・パーチク”でOKなのかも。そんなばかな。
 

そういえば今日はひな祭りでした。
だから何? っていわれると口ごもるしかないのですが。明日3月4日、沖縄では三線の日だそうです。それで? まぁ、その……。


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