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その名は●じゅんこ [the name]

 

♪ 離れない 離さない 離したくない君   いろんな言葉で君に 愛を告げてきたけれど   終わりさ みんな終わりさ 僕のひとりよがり   君へつないだ心の糸は 今プツリと切れた   オー順子 君の名を呼べば 僕はせつないよ   やさしさはいつも 僕の前で   カラカラから回り   ………… (「順子」詞、曲、歌:長渕剛、昭和55年)

順子、純子、淳子、旬子、潤子、ジュン子……。 順は従順のじゅん。清純のじゅん。淳良のじゅん。潤沢のじゅん。

これまた昭和の香りがする名前。 やはり小中学校のクラスに1人はいたような「じゅんこ」ちゃん。

しかし、「じゅんこ」という名前はそれほど昔から人気であったわけではない。 例の生命保険会社調べの名前ランキングをみると、大正期および昭和20年まではベスト10に入っていない。

突如顔を出すのが昭和25年の「順子」。ベスト9位で、それから昭和31年まで、ベスト10から落ちたり下位をウロチョロ。決して9位以上にはなっていない。

それでもベスト10入りするというのは人気の名前のしるし。 よく名前が人気になるのは、話題になった芸能人や著名人にあやかるというケースがある。 「愛」とか「さくら」とか「美咲」などがその例。

で、順子も昭和25年近辺に話題になった「○○順子さん」がいたのだろうか。叶順子という大映? の主演級女優がいたけれど、それは30年代。

そして順子がベストテンから消えて四半世紀経って長渕剛「順子」が小ヒット。昭和55年というから、デビュー3年目のシングル。 「巡恋歌」は“女歌”だし、この「順子」では自分の事を“僕”とうたっている。いまの長渕からは想像できないやわらかい歌詞。 彼ぐらいデビューから極端にキャラクターが変わってしまった(それで成功したのだが)ミュージシャンもめずらしい。

しかし、「順子」のヒットも命名ランキング復活にはつながらなかった。 ただ、それとは関係なく「じゅん子」が昭和46年、突如ベスト10の7位に入ってくる。それは順子ではなく「純子」。

「じゅん子」というタイトルの流行歌でヒットした曲がもうひとつある。 それが小林旭の演歌「純子」で、こちらのほうは大ヒットとなった。それが昭和46年。みごとにベスト10入りと符合する。

つまり流行歌「純子」の大ヒットで、子供に「純子」と名づける親が増えた。 ありがちだが、そう短絡させるのは早計。 たしかに影響はあっただろうが、それだけではない。

むかしから言われているように、「歌は世につれ……」なのである。「世も歌につれ……」もあるが、まずは歌が世につれるのだ。

つまり、流行歌「純子」が作られたときに、“時の人”純子がいたのである。 それが昭和43年、映画「緋牡丹博徒」でヒロイン矢野竜子を演じて大ブレイクした東映の看板女優、藤純子。現在も現役の富司純子。というより尾上菊五郎夫人あるいは菊之助寺嶋しのぶの母といったほうが早いか。「じゅんこ」ではなく「すみこ」と読む。 ちなみに緋牡丹博徒シリーズは昭和47年まで8本がつくられた。

もちろん演歌「純子」のヒロインはどことなく幸薄そうな女で、お竜さんとはキャラクターが異なる。しかし、一途な女性をイメージさせる「純子」を、当時知名度抜群の藤純子に重ねるというレコード会社の戦略は十分想像できる。 ♪遊び上手なやつに 騙されていると聞いた という「純子」の作詞・作曲は遠藤実

それでは、シンガーの「じゅん子」さんをリストアップ。

大橋純子「たそがれマイ・ラヴ」 八神純子「みずいろの雨」 浅野順子「バラ色の朝」 三原順子「セクシー・ナイト」 渡辺順子「ダンケ・シェーン」 柳澤順子「みんな夢の中」 友永順子「恋よサヨナラ」 桜田淳子「わたしの青い鳥」 山本潤子「翼をください」

柳澤順子は昭和58年デビューの演歌歌手。「みんな夢の中」高田恭子のカヴァー。 友永順子はスクールメイツ出身で昭和49年ソロデビューのアイドルシンガー。ベンチャーズ「さよなら慕情」も。 渡辺順子はその後の黛ジュン。しかしデビュー曲は「恋のハレルヤ」になっている。 浅野順子は現大橋巨泉夫人。元々は俳優で、テレビの「次郎物語」、映画「けんかえれじい」のキロクのマドンナ役・ミチコさんが印象深い。

名前も当然時代を反映する。ならば純情とか従順などということばが死に絶えかかっている昨今、純子も順子もありえないか。 いろいろ考えましたが、やっぱり純子で。
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