その名は●マイケル② [the name]
♪ バラが咲いた バラが咲いた 真赤なバラが
淋しかった 僕の庭に バラが咲いた
たったひとつ 咲いたバラ 小さなバラで
淋しかった 僕の庭が 明るくなった
バラよバラよ 小さなバラ
いつまでも そこに咲いてておくれ
…………
(「バラが咲いた」詞、曲:浜口庫之助、歌:マイク真木、昭和41年)
「マイケル」MICHAEL の愛称はマイクMIKE 、ミックMICK、ミッキーMICKEY、ミッチェルMITCHELL など。
それに該当する著名人は、
ミック・ジャガーMICK JAGGER。ごぞんじストーンズROLLING STONES のヴォーカル。数年前、その功績が認められ、「サー」(愛ちゃんのかけ声とは違うよ)の称号を受ける。したがって本名は、サー・マイケル・フィリップ "ミック" ジャガーSIR MICHAEL PHILIP "MICK"JAGGER。「マイケル」と「ミック」が入っているのがスゴイ。
サーだって? そんなものはロックに似合わねえよ……。いやこれはわたしの感想ではなく、相棒のキースKEITH RICHARDSが言った言葉。
ついでにいうと、ミックの姓「ジャガー」は豹JAGUAR ではない。[JAGER]と同じで“狩人”という意味があるそうだ。おそらく先祖がそうだったのだろう。
つぎに、
マイク・タイソンMIKE TYSON 。本名はマイケル・ジェラード・タイソンMICHAEL GERARD TYSON、試合中相手の耳を囓ったというボクシング史上まれにみるどう猛なヘビー級チャンピオン。
マイク・タイソンの場合、マイクは愛称だが、なかには正式な名前がマイクMIKE になっている人もいる。
もうひとりいた。マイク・シャープMIKE SHARPE。プロレス・クラシックのファンだったら泣いて喜びそうな名前。
ミッキーはミッキー・マウスMICKEY MOUSE。いやこれはネズミ小僧だ。
アメリカの古い役者でミッキー・ルーニーMICKEY ROONEYがいた。オードリ・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」で、日本人に化けていて、その微妙な失敗加減が笑えた。
ミッチェルは名前もあるが、姓のほうが多い。
余談だが、欧米の名前には姓でも名でもというのがめずらしくない。たとえば、エリオット、サイモン、ダグラス、ドナルド、バーナード、ブルック、メリル、ローレンスなど。
で、ミッチェルといえば、「風と共に去りぬ」の作者、マーガレット・ミッチェルもいるが、やはりジョニ・ミッチェルJONI MITCHELL。
カナダ出身のシンガー・ソングライターで、「サークル・ゲーム」THE CIRCLE GAME、ジュディ・コリンズJUDY COLLINS でヒットした「青春の光と影」BOTH SIDES, NOW、CSN&Yも歌った「ウッドストック」WOODSTOCKなどを作っている。
で、いよいよ日本版。
マイケルは俳優のマイケル富岡がいるし、いつの間にかブラウン管(古い。もうすぐ消えちゃう)から消えてしまったお笑い芸人のマイケル。
音楽関係では昭和40年代に大阪大学のグループ、マイケルズがフィリピンの反戦歌「坊や大きくならないで」をカヴァーしている。そんなところ。
ミックやミッチェルはいないが、マイクとミッキーはいる。
まずはマイク。
アメリカのモダンフォーク・ムーヴメントの影響から生まれた日本のフォークソング。その草創期を代表するシンガーのひとりがマイク真木。
日本大学に在籍中、フォークグループ「モダン・フォーク・カルテット」を結成、カレッジフォークのヒーローだった。
レコードデビューは昭和41年で、それが「バラが咲いた」。
僕の庭にバラが咲いて、散ったという他愛のない歌だが、ニューウェーヴのフォークソングということで大ヒット。ある意味、作者・浜口庫之助のスゴイ才能。マイク真木はその年の紅白歌合戦にも出場。
一時「マイクス」というバンドをくんでいたこともある。
ミッキーはミッキー・カーチス。
日本のポップス史上のモニュメント、『日劇ウエスタン・カーニバル』出身のロカビリアン。多才で、役者もやれば司会もこなした。また、好きが高じて落語でも立川流の真打ち。
両親が共にイギリスと日本人のハーフというのだから、ミッキーはハーフのままなのか、クォーターになるのか? まあそんな感じで、大東亜戦争中の幼少時代は上海で過ごす。その当時の波瀾万丈は、景山民夫の小説『チュウ・チュウ・トレイン』に詳しい。
カヴァー曲でも山下敬二郎なら「ダイアナ」、平尾昌章ならデビュー曲の「リトル・ダーリン」と看板曲があるが、ミッキー・カーチスは? 元カノ・雪村いづみとのデュエット「恋の片道切符」かな。
とにかく多才すぎて、まとまりがつかないという人。
映画「野火」(市川崑監督)の演技は素晴らしかった。あのまま役者を続けていたら(いまも時々出ているようだが)と思うと、モッタイナイ。
ほかではゴールデンカップスとゴダイゴに在籍した、天才キーボード奏者・ミッキー吉野がいる。また、ベテランタレント、ミッキー安川、戦前のジャズシンガー、ミッキー松山も。
愛称ということならば、ミッキーはマイケル以外にも。たとえば苗字が三木や御木だったり、名前が美紀あるいは幹夫だったりするとミッキーと呼ばれることも。
ミッキー以外でも「キー」の愛称はいくつかある。
タッキー、マッキー、ヒッキー、ワッキーなど。ラッキー、ロッキー、これは違うか。
そういえば、アンラッキー後藤。けっこう好きだった。
いよっ、名コンビ! ミック&ティナ!
ちなみに「ティナ」はクリスティーナなどの愛称。
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