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その名は●ケンさん① [the name]

 

♪ 空にしてって 酒も肴も
  今日でおしまい 店仕舞い
  五年ありがとう 楽しかったわ
  いろいろお世話になりました
  しんみりしないでよ… ケンさん
  新宿駅裏 紅とんぼ
  想い出してね… 時々は
(「紅とんぼ」詞:吉田旺、曲:船村徹、歌:ちあきなおみ、昭和63年)

「ケンさん」といったら誰のこと?

わたしたちの世代なら、まずまちがいなく高倉健さん。
上の世代なら、そうだなぁ、「愛染かつら」のというより、加山雄三の父君上原謙……、少し上すぎるか……。
歌手なら「上海帰りのリル」津村謙もいたけど。

下の世代なら、暴れん坊将軍の松平健。でもこの人はマツケンでとおってるから。国際俳優の渡辺謙かも。
若い俳優やシンガーのなかにもいるのかな、「ケン」さんは。

毎度おなじみの生命保険会社調べの『2006年名前ランキング』をみてみると、41位に「健太」、54位に「健太郎」、85位に「健斗」がいて、まだ「ケンさん」は活きている。漢字でも「謙」や「憲」あるいは「研」、「賢」はなく、やっぱり「健」。

過去はいかにと調べてみると、
世紀の二枚目・上原謙人気も命名には反映されず、戦前、健はおろか謙の字もベスト10にはみえず。
それが突如、ほんとうに突如「健一」が5位に入ってきたのが昭和41年。

賢明なる、いや古い方々はご推察のとおり。
高倉健主演の「網走番外地」シリーズの第一作、そして「唐獅子牡丹」でおなじみの『昭和残侠伝』第一作の上映は、まさに前の年の昭和40年。

昭和43年にはついに「健一」がナンバーワンに。44年にはその健一に加えてズバリ「健」も第8位に。その後、「健太」、「健太郎」も加えて、「ケンさん」は安定した人気に。
しかし、平成14年、「健太」が8位と、文字通り健闘したあと、15年からはベストテン健外、いや圏外となりにけり。「ケンさん」は何処へ。

当時の高倉健の魅力を今の人に語ってもおそらく十分には伝わらない。それは、われわれの先輩たちが、「アラカン」こと嵐寛寿郎の魅力を、さらには大先輩が「バンツマ」こと阪東妻三郎のスゴさを熱く語ってくれても、こちら側にストレートには入ってこなかったのと同じ。やはり、その時代の空気というものがあり、それはいかんともしがたいもの。

それでも、その時代を語れというのならば、高倉健について書くことも意味のあることであるはず。いつか健さんの歌をとっかかりにそういう機会をみつけてみたい。

で、ちあきなおみ「紅とんぼ」
♪新宿駅裏…… というから“しょんべん横丁”のことか。いまは“思い出横丁”というのでしょうか。まあ、リアリズムはどうでも。
とにかく、間口一間、カウンター席が6,7つ、そんな赤提灯。

美人だけどどこか影のある女将がはじめたのが5年前。言い寄る客も10人、20人じゃきかなかった。それでもスイスイ躱してきた。だからこそ、不景気の中5年も続けてこられた。あんなに繁盛していたのになんでまた……。
訳ありの女が、その訳に縛られて故郷へ帰らなくちゃならない。ままならないのが人の世。

意気消沈の常連客だが、いちばん寂しいのはやっぱり女将。
ホントの赤とんぼなら、きっと戻ってくるのが本能。でも、たとえ柵(しがらみ)が消えたとしても戻っちゃあこない。そんな気っ風の女将。みんなそれが分かっているから言葉がないのだ。

まあ、そんな歌なんでしょう。

ちあきなおみもまた、山口百恵とおなじいさぎよい歌手。
ファンはもちろん、電卓片手の業界人の再三にわたるカムバックーコールにも耳をかさない。どんなに金をつまれてもできないことはあります。やっぱり“紅とんぼ”の女将。

半引退中に水原弘のカヴァー「黄昏のビギン」がCMにのってヒット。あの手この手のCDは乱発されたけれども、ご本人「…………」のまま。

高倉健さんといえば、『居酒屋兆治』もよかった。
あの映画でバーのママをやっていたのがちあきなおみ。脇役だったけど、いい味をだしていました。“紅とんぼ”の女将さんとはちょっと違うけど。
観終わって「ちあきなおみって役者やのう」という感想をいだいた覚えが。

正直いってわたしだって、はじめはもう一度あの歌声が聴きたいと思いましたよ。でも、いまとなっては……。それはそれでいいのだと思ってます。ならば、この先、まかり間違っても復活なんてことはしないでと、それだけが一ファンの思い。
まあ、ナツメロ番組もありますし、贅沢いえば夢の中にでも出てきてくれれば。
「ナオミの夢」なんちゃって。

それでは演歌の真髄を。


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