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『ルンバ』 [noisy life]

♪ 熱い涙はなに? 嘘の飾りもの
  甘い言葉はなに? 嘘の贈りもの
  今は騙されてる フリをしておくわ
  好きな貴方のため うなずきもするわ

  わたしも女よ 男のために
  死ぬほど恋して 泣くこともいいでしょ

  醒めた涙はなに? 愛の忘れもの
  別れ言葉はなに? 愛の残りもの
(「恋のマイアミビーチ・ルンバ」詞:千家和也、曲:アーヴィング・フィールズ、歌:小山ルミ、昭和48年)

「お嫁サンバ」のようにリズムやダンスの種類をタイトルにした邦楽で最も多いのはダントツでブルース(リズムかョ?)。次がワルツ、そのあとがタンゴ。そして、この「ルンバ」も多い。
比較的新しいものでは「パフィーdeルンバ」(PUFFY)なんていうのもありますが、ほとんどは大昔の歌。

「ルンバ」Rumbaはもともと、ハバネラやマンボ、あるいはチャチャチャ、パチャンガ同様、キューバ生まれのダンス音楽。本来のルンバは太鼓主体としたアフリカ系の音楽でしたが、1930年代、キューバのドン・アスピアスDON AZPIAZU楽団が録音した「南京豆売り」PEANUT VENDER がヨーロッパでヒットし、ルンバ・ブームが起こりました。そうしたルンバは、やはりキューバの音楽“ソン”をベースにしたもので、本来のルンバとは異なるといわれます。

現在、ルンバといえばジプシー・キングスTHE GIPSY KINGSということになるのでしょうが、それはまたの機会に。

日本最古の「ルンバ」は昭和6年、鉄仮面(作間毅)がその「南京豆売り」をカヴァーしています。鉄仮面は昭和30年代頃まで見られたいわゆる“覆面歌手”で、写真で見るとアイマスクをしています。以後、昭和16年(1941)年、つまり日米開戦前夜までルンバが日本列島に響きわたったわけです。なかには和製ルンバもあり、いくつかあげてみると「ルンバ東京」(由利あけみ)、「おやおやルンバ」(三益愛子)、「ルンバ1940」(楠木繁夫)

しかし、日本で最もポピュラーなルンバといえば「コーヒー・ルンバ」MOLIENDO CAFE。戦後のラテンブームの余韻が続く昭和36年、西田佐知子ザ・ピーナッツによってカヴァーされ、その後、井上陽水ほか多くのシンガーにによっても。

原曲はベネズエラのアルパ(小型のハープ)奏者、ウーゴ・ブランコHUGO BLANCOが1961年にヒットさせたもの。同年に日本でカヴァー。なんという速さ。今なら当たり前だけど。ヴォーカルではフリオ・イグレシアスJULIO IGLESIASのものが知られています。また、日本のアルパ奏者、ルシア塩満もレパートリーに。

本来は“コーヒーを挽きながら”というコーヒー園労働者の気持ちを歌ったものでしたが、日本では、恋に疲れた若者がコーヒーという媚薬によって情熱を取り戻すというイカした歌詞に変えられています。ちなみに作詞は中沢清二。詳細は不明ですが、西田佐知子の他のカヴァー曲やシャンソンの訳詞をしています。

さて上に紹介した「マイアミビーチ・ルンバ」MIAMI BEACH RUMBA。戦後、ザビア・クガート楽団XAVIER CUGAT ORCH.の演奏で日本でも知られるようになった曲。作曲したフィールズIRVING FIELDSはアメリカ人で、南米発のルンバではありません。それに日本の歌詞をつけたものが「恋のマイアミビーチ・ルンバ」。昭和48年といえば、もはや日本語カヴァーポップスが絶滅寸前の頃。そういう時代のカヴァー曲はなんとなく微笑ましい。

つい最近もふれたような気がしますが、小山ルミは昭和40年代のアイドルタレント。ハーフで愛くるしい顔でした。今でいえばグラビアアイドルになるのかな。「小山ルミ ヒット・コレクション」というCDでは、他に「さすらいのギター」「二つのギター」「恋のサンライト・ツイスト」「孤独の街角」などの洋楽カヴァーが聴けます。

記憶では、ゴールデン・ハーフ(知らないか)をバックに歌っていたような。まあ歌手という印象はあまりありませんが、改めて聴いてみると歌もさほど下手でもなく、アイドル・シンガーとしては十分聴かせてくれます。引退後はアメリカで暮らしているとの記事を昔読んだことが。

邦楽ではほかに「さよならルンバ」双葉あき子、「情熱のルンバ」高峰三枝子、「クスリ・ルンバ」(コーヒー・ルンバの替え歌)アントニオ・古賀、「ルンバおこさ節」林伊佐緒など数多く、タンゴ同様サンバやマンボよりも古くから日本人に親しまれてきたラテンのリズム。


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