その名は●チャコ [the name]
♪ …………
恋は 南の島へ翔んだ
まばゆいばかり サンゴショー
心から好きだよ チャコ 抱きしめたい
だけども お前は つれなくて
(「チャコの海岸物語」詞、曲:桑田佳祐、歌:サザンオールスターズ、昭和57年)
「チャコ」とは、ふつう女の子、「久子」の愛称であることが多い。もちろん、寿子、尚子、比佐子なども同様。
「ヒサコ→ヒチャコ→チャコ」という具合に「サ」が「チャ」になった幼児ことばからきたものだろう。
「ひさこ」の代表といえば、女優の萬田久子。元ミス・ユニバース日本代表。現代劇、時代劇いずれもこなす貴重な俳優。
また、男女を通して日本人で初めて全米オープンを制した女子プロゴルファー、樋口久子。現在は日本女子プロゴルフ協会の会長。現役時代の愛称がまさしく「チャコ」。
ほかではフルート奏者の吉川久子、映画監督の松井久子などがいる。
オールドファンなら知っているのが女優の筑波久子。
日活ロマンポルノ以前の日活や新東宝の作品に出演。水着姿や当時としてはギリギリのエロい演技で、“バンプ女優”とか“グラマー女優”と言われた。のちにアメリカに渡り実業家になったとか。
また、元雑誌「酒」の編集長で、タレント並にテレビに出演していたのが佐々木久子。
歌で「チャコ」といえば、上にあるサザンオールスターズの「チャコの海岸物語」。
いろいろと話題のあった、かつ話題となった曲だが、作者の意に反して? ファンは多い。
「チャコの海岸物語」は、どこかで言われているか書かれていることだろうが、60年代カヴァーポップスのオマージュともいえる歌。
何よりも、♪ 心から好きだよ 以降がゲンズブールの作ったフレンチポップス「夢見るシャンソン人形」(フランス・ギャル)そのまま。
そして、歌詞の1番、2番、3番に当時の洋楽をカヴァーした日本人歌手が出てくる。
「チャコ」はその1番。「久子」という歌手がいたのかというと、実はこれが男で、「ルイジアナ・ママ」や「悲しき街角」を歌った飯田久彦のことだとか。たしかに、当時そういわれていた。子供の頃からなのか、芸能界へ入ってからかなのかは不明だが、男ではめずらしい。
でも、なんとなく歌詞からすると「女の子」のような気がする。
で、当時の女性シンガーで「チャコ」はいないかと調べてみると、これがいない。
ただ、「チャコ」はいないが、「チヤコ」はいた。
ホリプロ黎明期の斎藤チヤ子。
カテリーナ・バレンテCATERINA VALENTEの「チャオ」CIAOやニール・セダカNEILE SEDAKAの「小さな悪魔」LITTLE DEVIL、ドン・ギブソンのDON GIBSON「失恋の海」SEA OF HEARTBREAKなどをカヴァーしていた。また鼻にかかったような声質で、カントリーソングが似合った。女優としても活躍するほどの美貌で、ファンは多かったはず。引退してイギリスで暮らしているという記事を昔読んだことがある。
彼女が「チャコの海岸物語」の“モデル”とは断言できないが、わたしなら飯田久彦よりも斎藤チヤ子を抱きしめる。
2番には、
♪心から好きだよ ミーコ 抱きしめたい
と「ミーコ」が出てくる。
これは弘田三枝子。当時からミーコあるいはミコといわれていた。
デビューは昭和36年でヘレン・シャピロHELEN SHAPIROの「悲しき片想い」YOU DON'T KNOW 。♪ウオーウオウオ という歌い出しが印象的だった。そして次もやはりヘレン・シャピロで「子供ぢゃないの」DON'T TREAT ME LIKE A CHILD 。そのあともコニー・フランシスCONNIE FRANCISの「バケーション」VACATION や「想い出の冬休み」I'M GONNA BE WARM THIS WINTER をヒットさせた。
そして3番。
♪ 心から好きだよ ピーナッツ 抱きしめたい
の「ピーナッツ」。これはそのまま、ザ・ピーナッツ。
昭和34年、ジャズ・サックス奏者シドニー・ベシェSIDENY BECHET がつくった「可愛い花」PETIT FRURE でデビューした伝説的な双子デュオ。カヴァーポップスは、アメリカをはじめフランス、イタリア、そしてラテンとオールマイティにこなし、「恋のバカンス」「ふりむかないで」などオリジナルのヒット曲も多かった。
原由子が平成14年に出したカヴァー集「愛してタムレ」にはピーナッツのオリジナル「私と私」が収録されている。
ところで、流行歌で「チャコ」は「チャコの海岸物語」だけかというとそうではない。
“先輩”がいる。
昭和34年に発売されたフランク永井の「夜霧に消えたチャコ」。
♪ チャコ チャコ 酒場に咲いた 花だけど…………
と、恋人に蒸発された男の悲哀をうたった歌。
「サ」が「チャ」。「チャコ」以外でも「マサアキ」が「マチャアキ」、「マサミ」が「マチャミ」に。なるほどね。漢字にすると「茶(さ)」が「茶(ちゃ)」なのかも。
では苗字も?
佐々木がチャチャキ、西城がチャイジョウ、沢尻がチャワジリ……、なんていわないよね。
「冬美」もチャコと言う場合もあるようです。
by Ma-toshi (2007-12-05 22:27)
ああああああ、そうでした。
白石冬美さん。
でも、なんででしょう。
by MOMO (2007-12-05 22:31)
小さい頃、「ちっちゃいこ」で、それが短くなって、「チャコ」になったそうです。
by Ma-toshi (2007-12-05 23:25)
Mashi☆Toshiさん、わざわざありがとうございます。
なるほどそういうケースもありますね。
by MOMO (2007-12-06 22:21)
こんにちは。
『チャコの海岸〜』好きです。
桑田氏はこういった昭和歌謡風の作品を作らせても上手いですよね。『そんなヒロシにだまされて』とか。
チャコって可愛い響きですよね。
子供の頃観た『ケンちゃんチャコちゃん』も思い出します。
by 都市色 (2007-12-09 13:57)
都市色さん、こんにちは。
そうですね。「そんなヒロシ-」以外でも、
「恋人も濡れる街角」、「私はピアノ」、「夏をあきらめて」どれも昭和歌謡のにおいがしますね。
by MOMO (2007-12-12 22:10)