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森林②もう森へなんか行かない [a landscape]

 

Ma jeunesse fout le camp
Tout au long des poèmes
Et d'une rima à l'autre
Elle va bras Blants
Ma jeunesse foutle camp
A la morte fontaine
Et les coupeurs d'osier
Moissonent mes vingt ans

([MA JEUNESSE FOUT LE CAMP]もう森へなんか行かないwords and music by GUY BONTEMPELLI  vocal by FRANCOISE HARDY, 1967)

「私の青春は逝ってしまう 詩遍にそって 韻から韻へ 無気力に逝ってしまう 私の青春は逝ってしまう 枯渇した泉へと 柳を切る人たちが 私の青春を刈り取っている」

「もう森へなんか行かない」は67年に出されたフランソワーズ・アルディのアルバムタイトルの1曲。甘すぎるメロディーと、「森」に象徴される青春が終わってしまう哀しみにあふれた詞を、彼女独特のアンニュイな雰囲気で歌っている。

日本では79年(昭和54)、山田太一脚本のテレビドラマ『沿線地図』に使われ“季節はずれ”のヒットとなった。

フランソワーズ・アルディは62年「男の子と女の子」Tous le garcons et les filles でデビュー。シルビー・バルタンSYLVIE VARTANフランス・ギャルFRANCE GALL とともに60年代最盛を誇ったフレンチポップスを代表するシンガー。日本ではセルジュ・ゲンズブールSERGE GAINSBOURG「さよならを教えて」Comment te dir adieu のほうが知られている。また、その美貌でモデルや女優としても活躍。

当時、コニー・フランシスCONNIE FRANCIS リトル・エヴァLITTLE EVA に代表されるアメリカのガールポップとともに、シルビー・バルタンやフランス・ギャルのヒット曲も日本のシンガーにカヴァーされた。ところが「男の子と女の子」をはじめフランソワーズ・アルディの曲がカヴァーされたという記憶がない。

「もう森へなんか行かない」は10数年前、裕木奈江がアルバムの1曲としてカヴァーしている。残念ながら未聴。また、最近ではクミコが大人の雰囲気で歌っている。

フランスで森といえばブルゴーニュ。
そのブルゴーニュの森が出てくる映画で、忘れられないのがルイス・ブニュエル「昼顔」。昼は淑女、夜は娼婦の二重人格を演じたカトリーヌ・ドヌーヴが妖しく美しかった。

その少し前に彼女が主演したジャック・ドミー「シェルブールの雨傘」を観てその清純な美しさに見とれていたので、その落差にドキドキ。とにかく彼女は当時のわたしにとってこんな美人が存在するのかと思うほどの“世界一美しい女性”だった。もっとも贔屓にしていた女優は別にいたけれど。

いずれにしてもフレンチポップスとフランス映画が輝いていた時代である。
ちなみにこの「もう森へなんか行かない」が世に出た1967年、つまり昭和42年という年、日本ではグループサウンズの全盛期。と同時に和製のガールポップスも勢いがあった。そのいくつかを列記しておこう。

恋のハレルヤ(黛ジュン)
恋はみずいろ(森山良子)
花と小父さん(伊東きよ子)
虹色の湖(中村晃子)
悲しき天使(広川あけみ)
白馬のルンナ(内藤洋子)
たそがれの赤い月(ジュディ・オング)
小指の想い出(伊東ゆかり)

しかし、「森」を青春の象徴とらえる感覚というのは日本人にはない。
森が人知れず恋人と逢瀬をかさねる場所だったり、花を摘みに、キノコを採りにいく“遊び場”だったりするのだろう。それがある日、もうそんなことをしてはいけないことに気づく。それが青春とサヨナラするときなのである。

われわれ日本人だって森でこそ遊ばないが、青春の頃、夢中になって遊びに興じる場所があったはずだ。ディスコ(今はクラブか)だったり、ゲーセンだったり、パチンコだったり、映画館だったり、喫茶店だったり……。

振り返れば、すっかり足が遠ざかってしまったところ、つまりわれわれにとっての「森」がいくつかあるはず。そんなところへ、もう一度足を運んでみる勇気は……、やっぱりないな。

「俺の青春は銀玉よ。だけどこの年になってもいまだにホール通いはやめられねえなぁ」
って、いいじゃないですか、いまだ青春しているんだから。


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