●川②THE RIVER：Picture on the Wall：SSブログ

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●川②THE RIVER　[a landscape] [編集]

I come from down in the valley
Where mister when you're young
They bring you up to do like your daddy done
Me and Mary we met in high school
When she was just seventeen
We'd drive out of this valley down to where the fields were green

We'd go down to the river
And into the river we'd dive
Oh down to the river we'd ride
…………
([THE RIVER]ザ・リバー word, music & vocal by BRUCE SPRINGSTEEN, 1980)

たとえば地図を見てみる。
日本地図なら、川は釧路川、最上川、荒川、多摩川などと表記されている。
世界地図はどうかというと、アメリカならばミシシッピー川、アジアならインダス川、アフリカならナイル川、ヨーロッパならセーヌ川だったり、テムズ川だったり。

日本の川は、しばしば氾らんする川＝荒川、など例外もなくはないが、おおむねその名前はその川が流れる地域からつけられている。

しかし、外国の川はそうでないものが多い。
上にあげたミシシッピーをはじめとする外国の川は、その名前そのものが“川”をあらわしている言葉なのだ。
たとえば、アメリカ最長の川“ミシシッピー”は、ネイティヴアメリカンの言葉で“大きな川”という意味なのである。インダスもナイルも“川”という意味であり、セーヌは“流れの緩やかな川”、テムズは“黒い川”という意味をもつ。

いずれにしても、その名称はすでに“川”を“宣言”しているのである。したがって、ミシシッピー川というと、“大きな川の川”と重複した呼称になってしまう。
とはいえ、日本では便宜上というか慣例というか、インダス川で通用してしまっているので仕方がないことなのかも。とくにアメリカの場合は、その呼称が州名とかぶることが多く、誤謬を避けるためにも“川”をつけたほうが分かりやすい場合もある。

川の中でもとりわけミシシッピーをうたった歌は多い。「ミス・ミシシッピー」MISS THE MISSISSIPPI AND YOU（エミルー・ハリスEMMYLOU HARRIS）は都会へ出てきた女性の望郷歌。ボブ・ディランBOB DYLAN の「ミシシッピー」も田舎から都会へ出てきた男が、恋人ともう昔のようには戻れないという苦い思いを歌ったもの。

またジョニー・キャッシュJOHNNY CASHのヒット曲「ビッグ・リヴァー」BIG RIVER はミシシッピー川のことで、彼女との出会いから失恋までを、ミシシッピーの川沿いの町のエピソードに重ねて歌っている。

では、ブルース・スプリングスティーンの「ザ・リバー」とは。
歌詞の中に特定の川は出てこない。もちろんこういう歌だってある。こういう歌のほうが多いのかもしれない。無理に推理すれば、彼の故郷ニュージャージーを流れるデラウェア川かも。まあ、どこの川でも問題はないのだが。

緑の谷の町に生まれた若者。だれもが父親のようにこの町で労働者になる。１７歳のハイスクール時代に出逢った彼女。兄貴の車を借りて彼女と泳ぎに行った川。この川のむこうには素晴らしい未来が待ち受けているように感じられた、最も青春が輝いていた時だった。
やがて彼女は妊娠し、二人は結婚した。若者は労働者になり、あいかわらずこの町で暮らしている。二人の間の新鮮さはいつか褪せ、あの頃感じた大切なものをすべてなくしたような思いの日々が過ぎていく。
「ザ・リバー」もまた、そんな遠ざかっていく青春への思いをうたった歌。

1976年、アルバム『アズベリー・パークからの挨拶』でデビューしたスプリングスティーンの５枚目のアルバム『ザ・リバー』の中のタイトル・トラック。
アコースティックギターとブルースハープのイントロのあと、語るようなヴォーカルがはじまる。全編を通して抑えるような歌い方で、それだけ悲しみが伝わってくる。
この歌に影響された日本のシンガーやバンドも少なくないのではないだろうか。

2007-09-20 21:52 nice!(1) コメント(2)
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