●一本道 [a landscape]
♪ ふと後ろをふり返ると
そこには夕焼けがありました
本当に何年ぶりのこと
そこには夕焼けがありました
あれからどの位たったのか
あれからどの位たったのか
…………
僕は今、阿佐ヶ谷の駅に立ち
電車を待っているところ
何もなかったことにしましょうと
今日も日が暮れました
あゝ中央線よ空を飛んで
あの娘の胸に突き刺され
…………
(「一本道」詞、曲、歌:友部正人、昭和47年)
一本道というのもまた、さまざまなイメージを喚起する道だ。
歩くにはその道しかない。[The Long and Winding Road] というものもあるが、一本道というとたいがいは、長く、はるか遠い、ひとすじの道、真っ直ぐな道をイメージする。
それはまた、人生や試練にたとえたりする。いや、ほとんどがたとえといっていいかも。
「一本道」は友部正人22才のときのセカンドアルバム「にんじん」に収録されている。
友部正人にとっての一本道とは、もちろんこの先自分が歩いていく道のこと。その道が「どこへいくのか」わからない。訊ねてみても「誰も答えちゃくれない」。だからも「もう聞かないよ(自分でみつけるよ)」と。多くの若者の心情だろう。それは多分30年以上が経過した現在も変わらないのでは。
人間風向きが変われば、考え方だって変わることがある。で、路線変更。それをときには変節というのだが、他方グレードアップといういい方もできる。しかし、どんなに激しい嵐に見舞われようが、それこそどこふく風で、飄々と一本道を歩いていく人もいる。
友部正人をのべつウォッチングしているわけではないが、ときおりTVや新聞で見たり読んだりする彼は、そんな人間のように見える。
阿佐ヶ谷の駅に立ち、“しんせい”一箱分の一日を屑籠へ放り投げる20才の青年の面影が、いまも消えずに残っている。
「一本道」あるいは「長い道」、「遠い道」をうたった歌も少なくない。
しかし、友部正人のように、一人称としてこれから先の“わが道”に思いを馳せている歌は意外と少ない。
みつけることができたのは次の4曲。
♪あてもなくただ一人 彷徨うこの長い道 「長い道」(マイク真木)
♪長い一本道 どこまで続く 「長い一本道」(コロムビア・ローズ)
♪いっぽん道だよ おいらの旅は 「仁義」(北島三郎)
♪遠い遠い はるかな道を 「銀色の道」(ダーク・ダックス)
自分の身近な人間が歩むであろう「一本道」あるいは「長い道」に気をかけ、エールを送るという二人称では、
♪遙か長い道のりを 歩き始めた 「乾杯」(長渕剛)
♪君は歩いていく 遠い道 「友を送る歌」(舟木一夫)
♪君の行く道は 果てしなく遠い 「若者たち」(ブロード・サイド・フォー)
そのほか、
♪みんなで歩こう 長い道だが 「遠い世界に」(五つの赤い風船)
では、三人称の多数に呼びかけ“一緒に歩いていこう”と連帯を求めている。
また「マイ・ウェイ」風に自分の人生をふり返るのが
♪知らず知らず歩いてきた 細く長いこの道 「川の流れのように」(美空ひばり)
そういえば美空ひばりには「ひとすじの道」という似た内容の歌もあった。
「でもさ、一本道を歩いてこれた人はいいなぁ。オレなんて曲がりくねった道で、坂があったり、横道にそれたり……それこそ迷い道だもんなぁ」
「そんなに落胆することはないよ。たいしたことはない。そんなアンタの軌跡だって高度10万メートルぐらいから鳥瞰してみなよ、みごとな一本道に見えるぜ」
☆ 財津和夫の「The Long And Winding Road」とも言えるチューリップの「青春の影」。ね?誰かさんみたいに二股に分かれていないでしょ(爆。小田さんゴメン^^;)。
by deacon_blue (2007-09-08 03:22)
deacon_blueさん、返信後れてすみません。
パソコンが故障してしまい、てんやわんやの一週間でした。
たしかに「青春の影」、ありました。
なるほど、彼女の心に向かう一本道っていうのもあるんだ……。
by MOMO (2007-09-13 22:03)