SSブログ

『冬の歌』① [noisy life]


♪ 雪が降ってきた ほんの少しだけど
  私の胸の中に 積りそうな雪だった
  幸せをなくした 暗い心の中に
  冷たくさびしい 白い手がしのびよる
 (「白い思い出」詞、曲・山崎唯 歌・ダーク・ダックス他、昭和43年)

当時の歌謡曲とはどこか違った匂いのしたこの歌。どこか流行歌にしては線の細いというか、垢抜けてるというか、格調があるというのか。
わたしがはじめて聴いたのは、たしかテレビで、当時ダーク・ダックスが持っていた、歌声喫茶のテレビ版のような番組の中だった記憶があります。実際、当時まだ残っていた歌声喫茶でも歌われたのでしょう。当時人気だった“山の歌集”などにも入っていました。その後、50年代になって、当時千昌夫の奥さんだった、ジョーン・シェパードがカヴァーしました。

雪が出てくる流行歌も多い。知られているところをあげてみますと、
戦前なら灰田勝彦の♪むらさき煙る「新雪」や♪江戸の桜田雪が降るの「侍にっぽん」(徳山漣)。昭和30年代にもっとも歌われた流行歌はシャンソンの「雪が降る」や「雪山賛歌」。どちらも元は外国の歌。和製ということでは、昭和28年のNHKドラマの主題歌として作られた「雪のふる街を」(歌・高英男)もよく耳にしました。作詞は劇作家の内村直也、作曲は「夏の思い出」や「ちいさい秋みつけた」で知られる中田喜直。格調高いはずです。一般的にはこういう歌はあまり流行らないのですが、例外もあります。ドラマの主題歌というのは、いまも昔もヒットの重要な要素のようです。

なぜかGSと雪はあまり相性がよくありませんが、これがフォーク、ニューミュージックとなると独壇場。猫の「雪」からはじまって「なごり雪」(イルカ)、「雪の朝」(グレープ)、「悲しみは雪のように」(浜田省吾)。その他にもフォーセインツの「小さな日記」、オフコースの「さよなら」、井上陽水の「心もよう」「氷の世界」、山下達郎の「クリスマスイヴ」などの中でも雪が降っています。演歌なら♪追いかけて「雪国」(吉幾三)とか、♪花は越後の「雪椿」(小林幸子)、それに「風雪ながれ旅」(北島三郎)などで、現在でも演歌にとってはかなり重要な“小道具”。詳しくないですがJポップでも多いのでは。
以上あげた歌はそのほとんどが、別れたり、失恋したり、死んだりと悲しい思いの“小道具”として使われています。唯一例外が、先にあげた「新雪」(昭和17年)。
♪新雪光るあの嶺こえて ゆこうよ 元気で 若人よ
だんだん戦局が悪化し、時代が暗くなっていくとき、庶民はこういう明るい歌を求めたのでしょうか。

「白い想い出」の作詞・作曲者、山崎唯は昭和8年生まれ。もともとジャズピアニストで、昭和30年代後半から40年代にかけては、テレビタレント、あるいは声優として活躍しました。とくに昭和41年、「エド・サリバン・ショー」にも出たという、世界的なネズミの人形キャラクター「トッポ・ジージョ」の声優として知られていました。昭和39年に女優の久里千春と結婚。「白い想い出」はその愛妻に贈った歌と言われています。平成2年逝去。57歳。


nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 2

Kenzaburo

ついさっき目が覚めて
なにげなくカーテンを開けたら真っ白な世界。
夕べ降り始めてたのは知ってなのですが…
いいですねえ…こんな朝も
そして思わず口ずさんだのが
まさに
「白い思い出」でした。
僕の場合はジョン・シエパードバージョンですが^^
すてきなブログですね。
また…おじゃまさせてください。
by Kenzaburo (2008-02-03 09:42) 

MOMO

kenzaburoさん、はじめまして。

1年以上前のブログに目を通していただき、ありがとうございます。
季節に感応して歌が口ずさめるのは、ひとつの心の豊かさですね。

今後ともよろしくお願いします。
by MOMO (2008-02-03 13:50) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

【不潔】『冬の歌』② ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。