秋の歌①人恋しくて [noisy life]
♪風は昼間 暖かいけれど
夜はまだまだ 肌寒くなって
なんとなく人恋しい 一人ぼっち
窓の下行く 恋人同士は
肩を寄せて 楽しそう
暮れそで 暮れない 黄昏どきは
暮れそで 暮れない 黄昏どきは
街の灯り 数えましょうか
(「人恋しくて」作詞:中里綴、作曲:田山雅充、歌:南沙織、昭和50年)
秋真っ只中ですね。
「いい気候になりました」って何人からか挨拶されました。
晴れた日でも、陽なたを歩くのがすこしも苦にならない。
駅まで歩いても汗かくこともない。ほんとにいい季節です。
仕事もいちだんらくしたので、寒くなる前に秋の歌を。
「人恋しくて」。
南沙織の歌です。
「暮れそで 暮れない 黄昏どきは」というフレーズが印象的です。
世にでたのは昭和50年といいますから、1975年。
36年前。とほうもなく遠い昔です。そんなに経ってしまったのかという思いがあります。
いちおう秋の歌としてとりあげましたが、いささか自信が……。
というのは、上に載せた3番の歌詞がすこしひっかかる。
「夜はまだまだ肌寒く」ということは、これからすこしずつ暖かくなっていく、というふうにとれます。だとすると、今は春ということに。
また「暮れそで暮れない黄昏どき」というのも、日が長くなっているのですから秋というよりは春。
でも、「人恋しくて」というテーマでありタイトルは、いかにも秋っぽい。
それに俳句の季語に照らし合わせると「肌寒」が秋の季語なので、やっぱり秋。
決定的なのはこの曲の発売が8月ということ。
まさか夏に春の歌は出しませんから。
とにかくいい歌です。
作曲の田山雅充はごぞんじのとおり「春うらら」をヒットさせたフォークシンガー。
この「人恋しくて」は、彼がデュオを組んでいたときにレコード化したアルバムの1曲で、その後セルフカヴァーしています。
また、彼が緑魔子の「やさしいにぽん人」の作曲者(共作)であることは、マニアなら周知のことかも。
作詞の中里綴は、金井克子、由美かおる、奈美悦子らと同じく西野バレエ団の出身で、歌手、女優として活躍した江美早苗のペンネーム。
田山とは名コンビで、「春うらら」の補作詞もしている。
沢田聖子、中森明菜、堀ちえみなど多くのシンガーに詞を提供していましたが、平成元年、元夫に刺殺されるという衝撃的な最後をとげています。36歳という若さでした。
しかし、当時三人娘といわれたのが、この南沙織と、天地真理、そして小柳ルミ子。
初代が中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりですから、二代目?
三代目が山口百恵、桜田淳子、森昌子でした。
酒の席でよく盛り上がるのが「自分は誰派?」ってやつ。
まぁ、ジェネレーションがそれぞれずれていますけど。
悲しいかなわたしは、初代から三代目まですべてカヴァーしてしまいます。
で、恥ずかしげもなく己のごひいきを発表しまするに、
園まり、山口百恵、南沙織……ということに。
それで何がわかるのかって? 酒の席じゃないんだし、何にもわかりゃあしません。
強いていえば「月並み」ってことですか。
秋の夜長、シンシアのベスト3を聴いてみます。
まずはもちろん「人恋しくて」。
あとの2曲は、その2年前のやはり秋に流行った「色づく街」、そして同じ年の春にでた「傷つく世代」。
どちらも有馬三恵子、筒美京平でした。
♪暮れそで 暮れない……
ちがうんだよなぁ、今の季節あっという間に暮れちゃうんだよなぁ。
……もしかしたら、ホントは「呉れそで呉れない」なのかも。
何を呉れないのかって?
そりゃ決まってるじゃない。愛の言葉よ。……秋ですねぇ。
世俳連さま、いつもいつもありがとうございます。
by MOMO (2011-10-21 22:46)