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その名は●ローズ② [the name]

ジプシー・ローズ.jpg

♪山の娘ロザリア いつもひとり歌うよ
 青い牧場日暮れて 星のでるころ
 帰れ帰れもう一度 忘れられぬあの日よ
 涙ながし別れた 君の姿よ
(「山のロザリア」ロシア民謡、詞:丘灯至夫、歌:スリー・グレイセス)

日本にだってローズはいる。いや、いた。
えっ? ジプシー・ローズかって? そういう人もいたけど。

昭和27年「娘十九はまだ純情よ」でデビューしたコロムビア・ローズ。年代的にジプシー・ローズと変わらないか。
もちろん、芸名。その名からわかるとおりコロムビアレコードの専属。コロムビアレコードと雑誌平凡主宰の歌謡コンテスト第一回の優勝者。なんと“覆面歌手”としてデビュー。覆面といっても鞍馬天狗(知らないか)ばりのヤツではない。いわゆるアイマスク。仮面をつけて素顔を見せないという“売り出し戦略”が当時はあったのです。覆面は月光仮面やレスラーだけではなかったということ。でも、すぐに仮面をはずしましたけど。

そのあと「哀愁日記」「渡り鳥いつ帰る」、「どうせ拾った恋だもの」と連続ヒット。そして昭和32年に「東京のバスガール」のビッグヒット。
一躍トップシンガーに。それはもう超売れっ子。テレビをつければいつでも出ていたというほど。とはいってもわが家にテレビなんかまだなかった頃の話ですけど……。

それが昭和36年、突然の引退。「ふつうの女の子になりたい」とは言わなかったけど、惜しまれつつ。なんでも体調をくずしたとか。なら、休養してカムバックという手もあったのではと思うけど、わからないね、芸能界ってとこは。

ところがところがなんだな。その3年後コロムビア・ローズは詩人・高村光太郎とその妻をモデルにした智恵子抄」をヒットさせる。と思いきや、それがなんと2代目のコロムビア・ローズ。つまりレコード会社としては、その名を惜しみ2代目を公募したというわけ。そりゃそうだよな、自分の会社を冠にしたシンガーなんだから。

その2代目も間もなく引退。そううまくはいかないと思っていたら雌伏30有余年、なんと3代目が襲名したとか。
3代目コロムビア・ローズは「蒼いバラの伝説」とか「夢のバスガール」をリリース。初代を意識して夢世もう一度を狙っている。いまどき“バスガイド”だろって思うけど。

初代を知っている人間には2代目、3代目がなかなか認められない。
大昔、それこそ拳闘の世界に青木勝利という伝説の天才ボクサーがいた。彼が引退したあと、所属していたジムではその名を惜しんで2代目青木勝利を有望ボクサーに襲名させた。けれど、やっぱりだめ。センスもパンチ力も先代とは雲泥。チャンピオンになれずにそのまま引退。結果、初代の名前を汚すことに。腹立ったよねあれには。ファンは誰も2代目を望んでなかったもの。
まぁ、そんなこともあったということで。

軌道修正。
「ローズ」は英語でドイツ、イタリア、ラテン圏では「ローザ」ROSA 。
その愛称には「ロゼッタ」ROSETTAや「ロジーヌ」ROSINE などがある。
また「ローズマリー」のように「ローザ」に「アン」を組み合わせた「ロザンヌ」ROSANNEや「ロザンナ」ROSANNAもある。

では日本の“薔薇女”まずは「ローザ」。いまでこそモデルやグラビア・アイドル全盛だが、昭和44年、昭和元禄の世に突如現れたマルチメディア・モデルが小川ローザ。そう、あの「モーレツ娘」。
石油元売のテレビCMでブレーク。白いミニスカが風に煽られお約束のパンチラ。そこでローザちゃん、「Oh! モーレツ」とのたまう。考えてみれば今じゃあり得ない絵柄。ということは昔のほうが自由だったのか。

まだ天地真理山口百恵も存在しなかった時代。アイドル不在の時代。
小川ローザは「モーレツ」一発でアイドルに。で、お決まりのレコーディング。それが「風が落とした涙」
私はファンというほどではなかったけれど、それでもどこからか手に入れたポスターを部屋に貼っていたっけ。しかしレコードは買わなかった。いくらなんでも……。

レコードデビューしてすぐカーレーサーと結婚。モデルとトップレーサー。絵に描いたような時代の先端を行くカップルだった。しかしその翌年レーサーは事故死。なんだか映画を観ているような不幸な展開だった。そして芸能界も引退。一時、イギリスへ行っているとかインテリアデザイナーになったとか雑誌に書いてあったが、それもずいぶん昔の話。

もうひとりの“薔薇女”は「ロザンナ」。
出門ヒデとデュオを組んでいたイタリア生まれのロザンナ・サンボン
そのヒデとロザンナ「愛の奇跡」でデビューしたのが昭和43年、つまり小川ローザがブレイクする前の年。そんな(どんな?)気分の昭和40年代、西暦でいえば1960年代末。
その後「粋なうわさ」「愛は傷つきやすく」「愛情物語」などのヒットを続け、昭和50年に結婚。しかし、平成2年ヒデが病死。彼女もまた幸福な薔薇とはならなかった。

最後はロザリアROSALIA。これはラテン語あるいはイタリア語のローザから派生し名前。昭和30年代によくうたわれた「山のロザリア」がある。
♪山の娘ロザリア いつもひとり歌うよ
という歌い出しを覚えている中高年は多いのでは。
本歌は「アレキサンドロフスキー」ALEKSANDROVSKYというロシアの舞踏曲で、「山のロザリア」とは微妙に異なる。まぁ、「コロブチカ」なんかも日本製はだいぶ違うので仕方ないかも。

その舞踏曲に作詞したのが「高校三年生」をつくった丘灯至夫
「ロザリア」は作詞家の造語。ラテン語と知ってつけたのか、はたまたロシアにもロザリアがいるのか。
いずれにしても昭和31年、「君の名は」「黒百合の歌」織井茂子「牧場のロザリア」という題名でうたった。ところがまったく売れなかった。のちの「山のロザリア」同様ワルツ(本歌がそう)だが、テンポが速くバンジョー(バラライカのつもり)をとりいれなかなかいいと思うのだが。

しかし、なぜか5年後にブレイク。発信地は“歌声喫茶”。「山のロザリア」と“改題”されて、当初は作詞者不詳で流布していたが、織井茂子盤があったのですぐに丘灯至夫と判明。彼が所属するコロムビアレコードが独占発売することになったとか。それがスリー・グレイセス盤と井上ひろし盤。すでに世間に浸透していたおかげでヒット曲となった。
平成の世では昭和レトロを意識した八反安未果がうたっている。

織井茂子、井上ひろしは今は亡いが、スリー・グレイセスは現役で、ときおりテレビでアンドリュース・シスターズANDREWS SISTERSばりのジャズを聞かせてくれている。

ローズにしろローザにしろ、ロージーでもいいけど、やっぱり欧米の名前だがらいいんでしょうね。日本だったら「薔薇子」、とか「ばら代」とか「バラ乃」とかどうもなめらかでない。きっとアタマの「ば」という音がよくないんだろうな。でも「バラミ」はいいかも。「薔薇実」とか「薔薇美」とかね。バラミソーセージってあだ名されるかもしれないけど。


そういえば男だけど「嶽本野ばら」っていう作家がいました。小説は読んだことがないけど「野ばら」はいい名前だな。女のほうがいいかも。やっぱりアタマの「ば」はだめってこと。
えっ? 野ばらだったらすでに有名人でいるって? 誰?
「野原しんのすけ」
【それは「のはら」だろうが。】
という古典的ツッコミでTHE END。


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コメント 2

バラ美

きっと、同年代!
うれしくて!コメントしちゃいました!
コロンビアローズさん、みんなしってますよ。
カラオケ講師をしているので、全部うたえるし!
ばらの花にはまって、ロザンナを検索してたら、うれしい記事にめぐりあえました!
by バラ美 (2010-07-10 12:46) 

MOMO

バラ美さん、はじめまして。
わざわざありがとうございます。

カラオケ講師ですか、尊敬しちゃいますね。
わたしは「よこ好き」のほうですから。

これからもよろしくお願いします。
by MOMO (2010-07-13 00:53) 

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