YELLOW/カナリヤ② [color sensation]
♪人々の愛を受けるために飼われて
鳴き声と羽の色でそれに応える
カナリア カナリア カナリア
カナリア カナリア カナリア
盗賊は夜を祝い君に歌わせ
プリンセスからの長い恋文を待つ
カナリア カナリア カナリア
カナリア カナリア カナリア
いちばん夢を見てた人のことを教えて
いちばん恋をしてた人のことを教えて
いちばん大好きな人の名前打ち明けて
(「カナリア」詞、曲、歌:井上陽水、昭和57年)
そもそもカナリヤの原産地はその名のとおりアフリカ北西の太平洋上に浮かぶ「カナリヤ諸島」。♪カナリア・アイランド 風も動かない…… という大滝詠一の「カナリア諸島にて」があったっけ。なお、「カナリヤ」と「カナリア」という表記は統一されていないようです。カナリヤ、カナリア、イタリヤ、イタリア、「ア」のほうが響きはいいな。
カナリヤというと一般的にはカナリヤ・イエローなどという色名があるように黄色と思われがちですが、野生のカナリヤはヒワのように黄色や緑色の混じった目立たない色。つまりあの鮮やかなレモン・イエローは飼育改良されたもの。
ちなみに十九世紀の戯作者で「南総里見八犬伝」などを著した滝沢馬琴は「飼育法」を書くほどカナリヤに夢中でしたが、彼の飼っていたカナリヤは「極黄色」、つまり鮮やかな黄色だったようです。
かつて日本で人気のあったローラー・カナリヤはドイツで改良されたもので、その鳴き声の美しさに特徴があり、とりわけ黄色のローラー・カナリヤはペットとして人気だったとか。
一般的には美声を聞かせてくれるのはオスだけだといわれているが、ローラー・カナリヤの場合、美しい声で鳴くメスもいるとか。また、いい声で鳴くためには“美声の持ち主”のそばに置くことが肝心で、そうした訓練もあるそう。
現在でも犬猫ほどではないが、ペットとしての小鳥の人気はあり、カナリヤもいまだに好まれているとか。ちなみに値段は1万円前後からあり、ペアでも2万円。なお、カナリヤの平均寿命は10年あまりだといわれています。
またカナリアといえば、その“敏感体質”を利用して“毒ガス検知機”としても利用されていました。これはイギリスの炭坑ではじめられたようで、ガスが発生している可能性のある坑内へ入るときに用いられたとか。つまり先行者が鳥籠を持って行き、中のカナリアに異常が見られたら危険ということに。考えてみれば残酷な話ですが。
そんな“献身的”なカナリヤへのシンパシーと愛おしい思いをうたったのが井上陽水の「カナリア」。陽水独特のエキゾチックなメロディーと歌詞で、とりたててその種類や色は出てきませんが、「鳴き声と羽の色」で人目を魅くのですからきっと黄色のローラー・カナリヤだと想像できます。
それではカナリヤの囀りをいくつか。
♪初めての口づけ交わした窓で あのときのカナリヤがうたっている 「悲しきカナリヤ」岡田可愛
昭和43年に放映された「進め!青春」(主演・浜畑賢吉)の挿入歌。「進め!青春」は昭和40年に始まった「青春とはなんだ」(主演・夏木陽介)からの青春ドラマシリーズのひとつ。「サインはV」でもおなじみの岡田可愛はこの作品まで一貫して出演していた青春アイドル。シンガーとしては「小さな日記」が代表曲。作詞作曲はいかにもの“青春コンビ”岩谷時子といずみたく。
この失恋ソングでのカナリヤは、幸福だったときの彼との思い出。
♪歌を忘れたカナリヤよ 今僕らは何処にいるのか? 「カナリヤ」GLAY
故郷から遠く離れてという、いわゆる“思えば遠くへ来たもんだ”的な歌でしょうか。ここでも「歌を忘れた」というカナリヤ定番のフレーズが。おそらくカナリヤは自分のことであり、歌とは輝きであり青春ということなのでしょう。
♪言葉を忘れたカナリヤが空を飛ぶ 「カナリヤ」THE YELLOW MONKEY
こちらのカナリヤが忘れたのは歌ではなく言葉。「沈黙のカナリヤ」という意味では同じ。ただ歌と言葉は似ているようでいささか違うような気も。うたうということは特別な表現ですが、話すということは日常的な表現。日常的表現手段を奪われた方がはるかに疎外感は深そう。
浜崎あゆみにも「KANARIYA」があり、そこでは♪声を押しころしたカナリヤたちは と。やはりこちらも「沈黙のカナリヤ」ですが、♪なけなくなったワケじゃなくて 泣かないようにと というように他力でそうなったのではなく、自ら感性を閉ざして無機的存在になっていくと宣言しているような。
♪苦い蜜かじってみた小鳥みたい 震えてる Lonely Canary 「ロンリー・カナリア」中島みゆき
ロンリー・カナリアとはもちろん恋人と一緒にいてもなぜか寂しさをぬぐえない自分のこと。多分不倫の恋なんでしょうね。そんなことより、ジャジーな中島みゆきって聞き慣れないせいかいいんだか、よくないんだか。画像は柏原芳恵で。
♪逃げ出せ 飛べよ カナリヤの空へ 「カナリア鳴く空」東京スカパラダイス・オーケストラ
空飛ぶ鳥というのはしばしば「自由」の象徴としてうたわれます。このカナリアもまたそうなのでしょう。なぜハヤブサやコンドルやハトではなくカナリアのなか、というのは愚問かも。このうたのなかでの「沈黙のカナリヤ」は♪飛ばないカナリヤ というフレーズでうたわれています。ごきげんなサウンドとチバユウスケのヴォーカルがイカしてる。
これまでの「カナリヤの歌」と違うのは、それらがほぼ後ろ向き、あるいは停滞の自分であり現状であったのに対して、こちらは上の歌詞の一部でもわかるとおり前向き未来志向。
もちろん流行歌なので必ずしも前向きが“良い”というわけじゃありませんが。
まだまだあるぞ「カナリヤ・ソング」。でもそろそろだな。
はじめにイエロー・カナリヤが飼育改良されたものといいましたが、そうすると、そうイエロー以外のカナリヤもあるはず。実際あります。ホワイト・カナリヤにレッド・カナリヤが。
黄、白、赤とくればもうひとつ「青」。
残念ながらブルー・カナリヤという種類はいないようです。
しかし、「カナリヤの歌」数々あれど、最もヒットした歌といえば「青いカナリヤ」BLUE CANARYではないでしょうか。ダイナ・ショアDINAH SHORE の1953年のヒット曲。哀愁にみちた曲はアメリカ本国よりも日本での方がヒットし、雪村いづみのカヴァーも大ヒット。
♪さみしいカナリヤ わたしのお友だち…… は井田誠一の訳詞。昭和29年といいますから本家のうたった翌年のヒット曲。
他ではいしだあゆみがカヴァーしています。また同名異曲?ではジッタリン・ジンの「青いカナリア」が。これは「青い鳥逃げた」の歌。
最後は黄色から青に変わりましたので、いざ進めということでさらに色つきの鳥を。
1年は早いものでもう師走がすぐそこではないですか、
せわしなくあっという間の1年でしたね。
「ブルーカナリー」とう曲は昔アルバイトでパブでバイトをしていた時にどこかのママさんが飲みに来て歌ったのを思い出します。
とても素敵な声で高音のきれいな惚れ惚れする歌でした。
あれから何年たってしまったのか。
歌は良い思い出も嫌なのも引っ張りだしてくれるもの
また口ずさんでみるのもいいかも知れませんね。
by レモン (2008-11-28 21:26)
そうですね、早いような遅いような。
振り返ってみればこの一年いろいろなことがありました(ってまだ早いか)
誰だったか名前が出てきませんが、ある流行歌の好きな小説家が、「歌は人生の索引みたいなもんだ」と書いていましたが、うなづけますね。ほんとに、その歌を思い浮かべるとその時の出来事がついてくることがありますよね。
レモンさんがいうようにいい想い出もあれば、忘れてしまいたい想い出もありますしね。でも、歳をとると羞恥度も低下しますけどね。それこそいいのやらわるいのやら。
by MOMO (2008-11-29 21:29)