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城③わたしの城下町 [a landscape]

 

♪ 格子戸を くぐりぬけ
  見上げる 夕焼けの空に
  誰が歌うのか 子守唄 わたしの城下町
  好きだともいえずに 歩く川のほとり
  往きかう人に なぜか目をふせながら
  心は燃えてゆく
(「わたしの城下町」詞:安井かずみ、曲:平尾昌章、歌:小柳ルミ子、昭和46年)

城もいいけど、城をいただく町、つまり「城下町」っていうのが風情があっていいな。

まぁ、もうそんな時代ではなく、地方都市のいずこもリトル・トーキョーみたいになってしまっているのかもしれないけど。しかし、ちょっと駅前を離れれば川が流れ山が聳え、古い民家のたたずまいがあったり。そんなロケーションがまだ残っているんじゃないでしょうか。

夏目漱石「坊ちゃん」から石坂洋次郎「青い山脈」まで学園ドラマの舞台は地方の城下町、これ定番。でしたものね。古すぎるか?

「わたしの城下町」がヒットしたのは昭和46年。西暦でいうと1971年。
その前の年の、当時の国鉄のキャンペーン「ディスカヴァー・ジャパン」(日本再発見)に共振したもの。

「格子戸」「夕焼け空」「子守歌」「城下町」とノスタルジックな語彙。2番には「お寺の鐘」「四季の草花」「橋のたもと」も付け足して。そんな小道具を並べながら、「好きだともいえずに……」と女の子の心(女心ではなくて)をピタッとはめるあたりは、さすが安井かずみ

彼女は自著の中でこの「わたしの城下町」について、このように。
『……当時はパリやニューヨークに移り住んでみたり、西洋諸国の同世代の若者たちと生き方論などを戦わせてみたりと、まるで国際人ふう。 ところがある日帰国して、多分外国生活の反動もあってでしょうが、急激に日本人意識に目覚めたのです。 そこで書いたのが「わたしの城下町」……』

その後も「お祭りの夜」「恋の雪別れ」「折鶴」「十五夜の君」と、小柳ルミ子とのコンビでディスカヴァー・ジャパンを書き続ける。千葉紘子によってヒットした「折鶴」なんて傑作です。

ほかにも城下町をタイトルにつけた歌は多い。
それこそ日本に数多ある城下町と同じ数だけある、といったら大袈裟だけど、かなりある。

古くは霧島昇「雨の城下町」があるし、「城下町の女(ひと)」などは、別の曲で三橋美智也、春日八郎、西郷輝彦らが歌っている。比較的最近の演歌では「恋する城下町」(小櫻舞子)、「小雨の城下町」(田川寿美)、「雪子の城下町」(氷川きよし)などが。
やはりイメージから演歌の独壇場。

しかしどれも耳に残らなかった歌ばかりで、「わたしの城下町」に次いでヒットした曲といえば、世に出た順番は逆だが梶光夫「青春の城下町」
♪流れる雲よ 城山に とか♪白壁坂道 武家屋敷 とか♪待ってておくれよ 天守閣 などの歌詞が城下町の雰囲気を伝える。昭和38年のヒット曲でした。

ほかで覚えているのは佐々木新一「花散る城下町」。琴をフィーチャーしたノスタルジックなワルツ。遠く離れて故郷の城下町を偲ぶという「青春の城下町」の後編のような歌。

歌詞に出てくるものでは美空ひばり「越後獅子の唄」に、
♪雁がなくなく 城下町 とある。

「城下町」ではないがさだまさし「案山子」には、
♪城跡から見下ろせば 青く細い川
と“しろあと”があるのはやっぱり城下町。

で、話は戻ってZUZUこと安井かずみ
フェリス女学院からお茶の水の文化学院油絵科を経て作詞家となった彼女は、生き方も服装もつねにファッショナブルであることを求めていたのでしょう。それは時代の先端で生きるということ。
それだからその時代をビビッドに映した歌が書けたのか、そういう歌を書くために時代を先頭切って生きていたのか。

彼女の作詞家デビューは昭和35年。カヴァーポップスの訳詞から。初期のペンネームはみナみカズみ。
坂本九&ダニー飯田とパラダイスキング「悲しき60歳」「ステキなタイミング」「GIブルース」などが初期の作品ではないでしょうか。

昭和52年、加藤和彦と結婚。平成6年、病気で亡くなる。享年55歳。晩年はエッセイストとしてもたくさんの著書をだした。
作った楽曲、およびヒット曲の多さでは、彼女を凌ぐ女性の作詞家はいないのでは。

では例によって、安井かずみの極私的名曲ベスト10プラス2を順不同で。

「わたしの城下町」(小柳ルミ子)
「ステキなタイミング」(坂本九) MCがスゴイ。
「若いってすばらしい」(槇みちる)
「よろしく哀愁」(郷ひろみ)
「青空のある限り」(加瀬邦彦とワイルドワンズ)
「ある日の午後」(森山良子)
「草原の輝き」(アグネス・チャン)
「折鶴」(千葉紘子)
「あなたへの愛」(沢田研二) ス、ス、スマン。オリジナルがない……。でもフルコーラス……ダメか。
「明日になれば」(ザ・ピーナッツ)  *3曲目あたりかな。ついでに他のも聴いてみて。
「雪は降る」(アダモ/日本語バージョン)
「古い日記」(和田アキ子)


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