冬歌③サボテンの花 [noisy life]
♪ ほんの小さな出来事に 愛は傷ついて
君は部屋をとびだした 真冬の空の下に
編みかけていた手袋と 洗いかけの洗濯物
シャボンの泡がゆれていた
君の香りがゆれていた
たえまなくふりそそぐ この雪のように
君を愛せばよかった
窓にふりそそぐ この雪のように
二人の愛は 流れた
(「サボテンの花」詞、曲:財津和夫、歌:チューリップ、昭和50年)
まったくの“テレビドラマ音痴”で、この「サボテンの花」が、平成5年のドラマ「ひとつ屋根の下」の主題歌(挿入歌?)だったことはつい最近まで知りませんでした。
もうひとつ無知を白状しますと、この曲を知ったのはそのドラマが放送されていた時代。おそらくラジオで聴いたのでしょう。イントロの“あの頃”のフォーク独特のスリーフィンガーが懐かしい曲でした。つまりこの歌が誕生した昭和50年にはその存在を知らなかったということ。
個人的には、昭和50年前後というのは、いちばん音楽を“右から左へ”聴き流していた頃。音楽よりすばらしいことがいっぱいあったのかも。
ちょうど日本のフォークがニューミュージックと入れかわる時代。歌謡曲では南沙織、天地真理らのアイドル歌謡第1期が山口百恵や岩崎宏美らの第2期に入る頃。
47年に「魔法の黄色い靴」でデビューしたチューリップの存在は知っていたし、48年にヒットした「心の旅」も聞き覚えあり。しかし「サボテンの花」は知らず。
というより、いま思えばチューリップに対して意識的に“耳を塞いでいた”ようなところも。
というのは、その頃なにかの雑誌で財津和夫のことを中傷するような記事を読んで、それをそのまま信じてしまったから。まさかそんなウソは書かないだろうと。
それ以来、チューリップと財津和夫の歌はまさに右から左へ“ムーディ勝山”(まだいるか?)状態になってしまった。というわけ。
もちろんいまは、そうした裏話の呪縛からも解放され、チューリップ&財津和夫に何の違和感もなし。もし、あの記事が100%事実だったとしても、♪若さゆえ ということでの許容範囲。(歳とったなぁ)
それどころか、財津和夫の作品は好きなものがいくつもあるほど。たとえば、チューリップ以外の他のシンガーへ提供した楽曲にも、
「切手のないおくりもの」ペギー葉山
「会いたい」沢田知可子
「私は小鳥」あべ静江
「チェリー・ブラッサム」松田聖子
とすばらしい曲が。
「心の旅」は吉田栄作がカヴァーしましたが、この「サボテンの花」もだれかにカヴァーしてもらいたいほど。
ではそれ以外の「サボテン」の歌を
彼女が育てていたサボテンを見ながら、行き違いになってしまった関係を修復しようと思う「サボテン」ポルノグラフティ。
「シェリト・リンド」を思わせるメヒコの香りとサルサのリズムで、自ずとからだが動いてくる「サボテン娘」(内海みゆき&コンフント・エスパシオ)。作曲は鈴木邦彦。
日本のカントリーの草分け・小坂一也が荒野の流れ者をうたった和製ウエスタン「サボテンの花が咲いている」。いかにも昭和30年代の「カントリー&ウエスタン」(こう言った)という感じのリズムで、作曲はなんと「風雪ながれ旅」の船村徹。
ところで、サボテン(仙人掌)の花とは。
栽培したことのある人は知っているでしょうが、種類も多く、チューリップ同様、赤、白、黄とさまざまな花をつけます。
またサボテンは日本名で英語ではカクタスcactus 。ではその日本名の由来は。
サボテンの樹液が石けん(シャボン)に使われていたことと、そのかたちが人間の手に似ていたところから「サボン手」となり、それがいつのまにか「サボテン」と語尾がひっくり返ってしまった、ということらしい。
サボテンの栽培で困るのはときどきトゲが刺さること。わたしも子供の頃経験しました。小さいとなかなか抜けないこともある。そんなときの対処法はガムテープで引っぱがすのだとか。抜けるまで何度もくり返す。
放っておくと、トゲからばい菌が繁殖しサボテンみたいな手になっちゃう、ってことはない。
たねさん、はじめまして。
読んでいただいてありがとうございます。
by MOMO (2007-12-17 10:58)