その名は●ジョニー② [the name]
♪ ジョニィが来たなら 伝えてよ
2時間待ってたと
割と元気よく 出て行ったよと
お酒のついでに話してよ
友だちなら そこのところ
うまく 伝えて
…………
今度のバスで行く 西でも東でも
気がつけば さびしげな町ね この町は
(「ジョニィへの伝言」詞:阿久悠、曲:都倉俊一、歌:ペドロ&カプリシャス、昭和48年)
日本の歌でも「ジョニー」(ジョニィ)はなぜだかよく出てくる。
JポップではUAの「悲しみジョニー」や桑田佳祐の「波乗りジョニー」。
「ジョニー」というと何となくスマートでかつ、どことなくカゲもあったりというイメージで、歌の主人公にはピタリとはまるのかもしれない。
これが「ジョンソン」だとうまくない。
「悲しみジョンソン」、「波乗りジョンソン」では、なにか悲しみも希薄だし、波乗りもすぐに落っこちそう。まぁ、イメージの問題ですが。
で、「ジョニー」の流行歌。
まずは昭和30、40年代のカヴァーポップスから。
「霧の中のジョニー」克美しげる
ヴォーカルが事件を起こしたため、いま聴けるのは鹿内タカシや朝丘雪路盤。しかし、ヒット曲なので、レコードを持っている人は多いはず。
「ジョニー・エンジェル」&「内気なジョニー」
当時の洋楽は複数の歌手がカヴァーして競ったもの。この2曲もザ・ピーナッツ、森山加世子、伊東ゆかりがカヴァー。
「ジョニー・B・グッド」はスパイダース。
そのほか、「霧の中のジョニー」と作者が同じで、やはりマイナー調の「さみしがりやのジョニー」(内田裕也)、や斉藤チヤ子のカントリーソング「ジョニー・ウィル」。どちらもオリジナルの方は聴いたことがない。
次は純和製。
いちばん古いのは昭和36年発売の「硝子のジョニー」(アイ・ジョージ)。
昭和35年、「ラ・マラゲーニャ」でラテンブームをつくったアイ・ジョージが自ら作曲。上のカヴァーポップスが出る前に発売された曲で、便乗ではなかった。
次は、40年代の曲。さほどヒットしなかったが、五木寛之の原作で、作家自らが作詞して話題になった「海を見ていたジョニー」。渡哲也がうたったが、なぜか映画化されなかった。
そしてもう1曲が「ジョニィへの伝言」(ペドロ&カプリシャス)。
舞台が日本ではなく、ニューヨークかどこかの外国の雰囲気を漂わせる曲で、ジョニーと最後を音引きにせず、「ィ」にしたところが時代を感じさせるし、阿久悠らしい。
そして50年代はニューミュージックで、アリスの「ジョニーの子守歌」。
若い頃いつも慰めてくれたシンガーへの想いをうたった歌。
そのほか聞いたことはありませんが、
「やせっぽっちのジョニー」(中村あゆみ)、「飲んだくれジョニー」(古井戸)、「振り向くなジョニー」(南正人)などが。
こうして和製ジョニーをあげてきたが、どのジョニーもいまひとつ幸うすそう。
「硝子のジョニー」や「海を見ていたジョニー」は、行方不明だったり消息不明だったり。
「ジョニィへの伝言」のジョニーは女を2時間も待たせるだらしない男だし、「ジョニーの子守歌」のジョニーは、健在な様子だが、もはや往年のパワーは無くなっている。
「波乗りジョニー」も「悲しみジョニー」も、どちらも切ない歌だし。
まあ、この先も「ジョニー」は出てくるのではないでしょうか。
日本とアメリカが戦争になったり、日本が鎖国にならないかぎり。何を言ってんだか。
で、こちらの希望としては、こんなのお願いしたい。
「義理の仲のジョニー」、「カラスのジョニー」、「ジョニーの手鞠歌」、「悪のりジョニー」、「金縛りジョニー」なんて。駄目かな。
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