[敗者には何もやるな] [deporte]
先日の新聞にMLBのフィラデルフィア・フィリーズが、MLB球団で初めて通算10000敗を喫したことが報じられていた。い、い、いちまん回も負けたなんて……。これはとてつもない数字だ。たとえばMLB1チームの通常の試合は年間162。で、ふたたびたとえば絶対勝てないチームがあったとする。つまり年間0勝162敗。そのチームが10000回負けるためには、なんと62年弱、敗戦を続けなければならないことになる。10000敗という数字がどれほどとてつもないものかが分かる。
もちろんフィリーズは62年弱でその記録を達成したわけではない。同チームの創設は1883年。つまり124年の歴史があるのだ。またフィリーズの名誉のために10000敗時点での勝利数も8810あることを付け加えておきたい(名誉にならないか)。
ちなみに、日本のプロ野球で最も多く負けているの球団はというと、7月21日の時点でなんと阪神タイガースの4149敗。これも、阪神がプロ野球球団の中で最も試合数が多いことによる。敗戦数はまた歴史の長さを現しているのです。しかし、そのことからもMLBの歴史を改めて感じさせられる。なにしろ阪神が10000敗するためには、年間60敗(これは優勝を狙える数字)したとして、あと97年あまりかかることになるのだから。
「勝者には何もやるな」
と言ったのはヘミングウェーだったっけ。でも、敗者にも何もあげてはいけないんだ。とくに慰めの言葉なんかは。せいぜい敗者がもらって良いものは屈辱と、復讐心だけ。
勝負の世界は過酷だ。勝つか負けるか、白か黒か。
“引き分け”があるじゃないかって? 引き分けなんてゴマカシ。闘っている人間にとってあれほどスッキリしない結末はないもの。見ている方だってそう。物理的に同着同順位というのであれば、再試合をして決着をつけるべきじゃないかな。それが無理ならば体重差、身長差などでハンディのある方を勝者にすればいい。ウエイトリフティング方式。
どんな種類であれ勝負の世界というのは、それほど過酷なものなんだ。
前置きで終わりそうになったので、慌てて本題に。
今日、新大関・琴光喜が誕生しました。
久々の日本人大関誕生に文句はない、けど……。双手をあげるのはためらわれるな。千秋楽で平幕・稀勢の里に負けたのが、早くも新旧交代を告げているようでやな感じ。それと朝青龍には勝ってほしかった。勢いに乗った今場所はチャンスだったのに。
琴光喜と朝青龍の対戦成績はなんと、0勝27敗。これは相撲の世界では極めてめずらしい数字。27回も闘えば、朝青龍だってミスをすることがあるだろうし、体調がわるいときもあるのだろうから、2回や3回は負けても不思議ではないのだけれど。それが、27連敗とは。あゝ……。
しかし、こうなると今後の琴光喜対朝青龍戦は、たんに大関対横綱の闘いというだけではないね。なんていうのか大相撲の枠を超えた“勝負のドラマ”を感じてしまう。“永遠のルーザー”が果たして一矢を報いることができるか? いかにして下克上はなされたか? なんてドラマがね。
おそらく琴光喜が引退するまでには、そうしたドラマが一度ならず起きると思う。そのときウイナーはなんと言うだろうか。
「やっと勝てました。感激です」
と、ありきたりの感想かも知れない。しかし、その胸中にある本当の思いを測り知ることは難しい。なにしろ、3回、4回負けて勝ったのではなく、20数回あるいは30回以上負け続けてきたのだから。
強い者が勝つのは順当。それはまるで式次にのっとったセレモニーのように始まり、終わる。それはそれでノーマルで美しい。しかし、ときには実力で劣る者が、王者を倒す姿を見たい。ドラマチックな番狂わせが見たい。
そのとき、負け続けて何もかも奪われてしまったギャンブラーが、一瞬で元を取り返してしまうような興奮が生まれる。ファンならそんな瞬間を目撃したいはず。もちろんわたしだってそう。
とりあえず2ヵ月先の琴光喜vs朝青龍を見たい。
歴史あるチームですからね。http://blog.so-net.ne.jp/kenta-ok/2007-07-29
by kenta-ok (2007-07-29 14:02)
ホワイトソックスの井口がフィリーズに移籍し、さっそく安打を打ちましたね。赤鬼監督との愛称やいかに、というところです。
by MOMO (2007-07-30 21:49)