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[フェロモン] [ozolagnia]


♪ つま先立てて海へ モンロー・ウォークして行く
  いかした娘は誰 ジャマイカあたりのステップで
  目で追う男たちを 無視して腰をひねり
  ブロンズ色の肌 光受けなまめく

  昼下がりの ざわめく浜辺
  噂のうず 巻き込む潮風

  胸元の汗キラリ 眼のやり場にも困る
  口説きおとしたいのに スキもないね君は
(「モンロー・ウォーク」詞:来生えつこ、曲・歌:南佳孝、昭和55年)

「すっげぇ、彼女フェロモン出まくり」なんて言う「フェロモン」とは何ぞや。
まあ、それは例外もなくはないが、概ね異性について使われるので、「性フェロモン」ということなのだろう。それにしても「フェロモン」とは。

調べてみると「フェロモン」は生物の体内から出る化学物質らしい。もともとは昆虫の蛾からその物質は発見されたと。かんたんにいうと、メスから放出されたフェロモンに反応してオスが生殖行動をとる。これは性フェロモンだが、ほかにも仲間に対して警報を発したり、集合をよびかけるフェロモンもあるとか。もちろん、フェロモンを発するのはメスばかりではない。
たぶん、われわれが言っている「フェロモン」とは、性ホルモンを含んだ惹きつけるものすなわち“魅力”ということなのだろう。問題はその「フェロモン」をわれわれが嗅覚で感じているのではないということ。「フェロモンってどんな匂い?」って問うたときに、柑橘系だとか、甘い匂いだとか、フローラル系だとか、具体的に言うことはできない。

それでも「フェロモン」はあるらしい。ある説によるとそれは嗅覚を含んだ五感以外で感じるものだとか。そもそも匂いというのは、匂いを発する物質が鼻孔に入り、それを嗅覚が受け止め、最終的には大脳新皮質で匂いとして確認するというプロセスである。しかし、フェロモンを最終的に確認するのは視床下部だという。ということはフェロモンは従来の匂いからいうと、匂わないということになる。まったく違った感覚系で感知されるというのだ。そして通常の匂いを感じるプロセスを主嗅覚系といい、フェロモンを感じるものを副嗅覚系というそうだ。だが、人間の副嗅覚系は退化してしまっているという(残っているという説もあるが)。そうなるといったい……。

ただ、かなりの部分でフェロモンが言葉としてだけ“踊っている”ことはわかる。たとえば異性に対する賛辞として。「すっげえフェロモン!」を連発している彼(彼女でもいいですが)を、暗闇に連れて行き、知らないうちにかの“フェロモン女性”を目の前に立たせた時、はたして彼は「すっげぇ」と言うだろうか? そうなるとやはり、現代のフェロモンのほとんどは、視覚(体型、ファッション、化粧など)や嗅覚(香水など)から感じていることになってしまう。つまり、セクシーやコケティッシュとほとんど同義語に思えてくるのである。

フェロモンに似たもの(魅了するという意味で)にオーラがある。こちらは視覚的なものなのだろうが。残念ながらわたしは、まだフェロモンを嗅いだこともないし、オーラを見たこともない。ついでにいえば亡霊もUFOも見たことがない。まあ、そうした未知不知の要素が多いからこそ不思議であり、フェロモンなのかもしれないのだが。

「フェロモン」という言葉が出てくる流行歌は知らない。これだけ使われている言葉なので、捜せばJポップのどこかにあるかもしれない。今様の使い方でいえば、上の「モンロー・ウォーク」(南佳孝)などはまさにフェロモン女の讃歌。まあ、作詞家(女性)はよくここまで“いい女”をつくりあげたと感心してしまう。2番にも「束ねた髪にカトレア」「背中のあいたドレス」「グラスを片手にスイング」「しどけないポーズ」「気を持たせてウインク」と“見た目フェロモン”をこれでもかと。みごと男の視線になりきって“いい女”をつくりあげてみせた来生えつこはスゴイ。
同じ曲で郷ひろみ「セクシー・ユー」では後半の歌詞をガラリと変えている。そもそもタイトルを変えた時点でバツなのだが、あきらかにおこちゃま向け。「ビキニのひもがすべ」っても「どこ吹く風」ってそりゃもうフェロモンどころかエロモンになっちゃったりして……。


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