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【フラッパア】 [obsolete]

『僕はどちらかというと典子さんに魅(ひ)かれています。しかし典子さんには男友達がたくさんあるんです。フラッパアとの定評があります。だから結婚したら、あんまり家庭的でないかもしれません。僕はその点が心配です。……』
(「三等重役」源氏鶏太、昭和26~27年)

「フラッパア」はflapperで、本来は「羽ばたく鳥」とか、「軽く打つ人」というような意味だが、日本では昭和初年ごろから「お転婆娘」、「はね返り娘」という意味で使われている。これも廃語だが「モガ」と似たような意味合いもあった。ひどいものになるとバッド・ガールと同義だとも。ある意味旧習を打ち破っていく逞しい女性なのだが、上記の源氏鶏太の小説では、発展家(これも廃語か)つまり男性関係の奔放な女性というように使われている。しかし、よく使われたのは戦前で、戦後になるとアプレ(娘)などという流行語に取って代わられた感がある。昭和30年代の半ば頃にはほとんど死に絶えてしまったような言葉だ。
フラッパアあるいはアプレのような女性のことを、今ではなんというのだろうか。どちらも少数派だったからこそ目立ち、人々が面白がってとりあげたわけで、ほとんどのギャルがフラッパア化してしまっている現代では、特別に名称を与える必要がないのかも。

『三等重役』はサンデー毎日に9カ月にわたって連載された。源氏鶏太お得意のサラリーマン小説で、東宝で映画化(森繁久弥や小林桂樹が出演)されヒットした。早くから源氏鶏太の作品を映画化していた東宝は以後、サラリーマン物をシリーズ化していく。
「三等重役」とは、戦後企業の重役たちがパージされ、会社存続のためにやむなく社員から重役になった者のこと。いわば、当然一等ではなく、かといって二等の貫禄もなく、せいぜい三等つまり上中下の下ぐらいだろうという意味だ。この言葉は流行語にもなった。
源氏鶏太は昭和26年、「英語屋さん」で直木賞を受賞。その年にはじめて書いた長編がこの『三等重役』。昭和30年代をサラリーマン小説、ユーモア小説で風靡する。


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