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『草笛』 [noisy life]


♪ 涙がこぼれて とまらない時は
  丘に登って 空を見て
  草笛を吹こうよ
  風よ風よ 届けておくれ
  若いこころの 悲しみを
  みそらに浮かんだ あの雲に
(「草笛を吹こうよ」詞・門井八郎、曲・上原賢六、歌・浜田光夫、三条江梨子、昭和38年)

とにかく一口に草笛といっても、その種類や吹き方は相当たくさんあるらしい。
子供の頃、どんな草で吹いていたのか記憶が定かではありませんが、多分、生垣のマサキとか雑草のツユクサあたりだったかもしれません。
吹き方は“柴笛”といわれる、もっとも一般的な方法。葉っぱを横にして唇にあて、人差し指、中指の二本で軽く押さえて吹く方法。もうひとつは、笹のような細長い葉を切って手と手を合わせた間に挟んで吹く方法です。その他にもススキやムギの茎を吹いたり、葉っぱを丸めて吹く草笛もあるそうです。
どんな遊びもそうですが、誰かがやりだし、それが急速にひろがって、みんな憑かれたように草笛に夢中になるのでした。でも、翌日になると誰もが忘れたように知らんぷり。週刊マンガが出始め、ゲームなどない頃の話です。
古えの遊びと思っていたら、これがなかなか侮れない。現在でも、草笛の愛好者や同好会は多く、発表会やコンクールもあるとか。とにかく、草笛で音階が吹けるというのだからスゴイ。

草笛の出てくる歌もあまり聞きません。
戦前では「月下の草笛」という歌があります。♪ 馬のたてがみやさしくなでて 天にとどけと草笛吹けば というような歌詞で、戦友を亡くした騎馬隊兵士の歌です。戦後で有名なのは上に紹介した「草笛を吹こうよ」。当時流行った青春デュエットソングで、数年前、女優の国仲涼子がアルバムの中でカヴァーしていました。
ほかでは、五木ひろしのヒット曲「千曲川」に♪ 草笛の音いろ哀しき千曲川 というのがありますし、若山彰の「惜春鳥」では♪ 風の調べか草笛か という歌詞がでてきます。
「惜春鳥」は会津若松を舞台にした同名映画の主題歌。幼なじみの若者たちの友情と悲しみを描いた作品で、どこかホモセクシュアルな雰囲気が漂います。むかし(いつのことやら)は中高生ぐらいなら、男でも親しい者同士は平気で手をつないだ、というのは言い過ぎですが、少なくとも肩を組むぐらいは平気でしたものです。〈男女席を同じうせず〉時代の代償行為という一面もあり、戦後男女共学でその距離がグッと近づくとそうしたこともあまり見られなくなりました。
映画「惜春鳥」は監督、木下恵介、出演、津川雅彦、石浜朗、川津祐介、小坂一也、有馬稲子ほかで、昭和34年の公開。主題歌の作詞は監督自身、作曲は、テレビ「水戸黄門」主題歌「ああ人生に涙あり」の作曲者でもある弟の木下忠司。当時流行りのロシア民謡テイストの哀愁を帯びた歌でした。


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