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北京五輪④あゝマラソン [deporte]

北京五輪女子マラソン.jpg

あゝあ……野口みずきにつづいて土佐礼子まで……。
女子マラソンやっぱりだめだった。

辛口でいえば、土佐は走って間もなく足に痛みを感じてズルズル後退していき、半分もたずに棄権(もっと早くすべきだった)したのだから、これはレース前に棄権した野口とほとんど同じ状況。
突然のアクシデントというより、外反母趾というのはいわば持病のようなもの。代表選考以後の練習で悪化してしまったのだろうが。走るのは無理だったといわれても仕方ない。

とはいえ、野口にしろ土佐にしろ、もちろん中村友梨香もふくめて、代表選考に異論はない。要は、野口と土佐がその後のケガも含めたコンディションの調整に失敗したということ。

こういうことはどんなスポーツでもありうる。どんなに慎重を期しても裏目にでることがあるのだ。
今回の五輪女子マラソンはたまたま、それが3人中2人に出てしまったということ。いわば「わるいことが重なった」のだ。これは防ぎようがないし、「体調管理がわるい」と簡単に非難できるものでもない。

ただ、やっぱり悔やまれるのは「補欠」が消えてしまったこと。

野口の不出場が決まったとき、陸連は補欠の選手もケガをしていると弁解(にならない)していた。しかし実際には、その2週間あまり前に補欠を解除している。
補欠というのは大会が始まったら解除されるものなのか。また補欠の繰り上がり出場というのはどの時点まで認められるのか、詳しいことは知らないが、その役割を考えれば、競技のスタートが切られる寸前までチェンジが有効であるべきではないかと思う。

それを考えると、今回の“補欠なし”は陸連のミスといわれても仕方ないのではないか。
今回のことを考えれば今後は補欠3人ぐらい考えておいてもいいぐらい。
補欠がいたなら、野口だって不出場の口惜しさはあっても、責任の重圧は緩和されただろうし、土佐だって思いきって欠場に踏み切れたかも知れない。

それにしても、高橋尚子、野口みずきと2大会優勝のあとの北京、3連続というのは何事においても難しい。正直野口の欠場が決まった時点で「今回はメダルなし」と思わされたが、残念。中村の13位は“健闘”だろうが、なぐさめにはならない。

あゝ北京のマラソンも終わった、ってまだ男子が残っている。
忘れていた。でもなぁ……、いや、こういうときほど誰かがあっと驚く成績を残すことがあるのだ。女子のように低タイムでの決着になれば、もしかして……。
とにかく最終日24日、大崎悟史、尾方剛、佐藤敦之の3人に期待しよう。


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北京五輪③有言実行 [deporte]

北京③有言実行.jpg

ようやく柔道が全クラス終了。
最後の女子78キロ級の塚田真希は惜しい銀。男子100キロ超級の石井慧は優勢勝ちで有終の金。トータル金4、銀1、銅2(違うかな)はまずまずじゃないでしょうか。日本のお家芸という時代は過去のことで、それを考えたらたいしたもの。最優秀選手は決勝の内またが鮮やかで最強の相手に勝った谷本歩実

問題は金3、銀1、銅1の7人中5人がアテネからの連続メダル獲得。おそらく、次回は厳しい。となれば新たな強力選手を養成しなくてはならない。それに失敗したら次のロンドンでは惨敗ということにも。

それはそうと印象的だったのが、100キロ級で2度一本負けした鈴木桂治
某新聞は「生涯最低の負け方と」激辛批評。
そりゃそうだよな、とくにあの敗者復活戦の30秒あまりでの1本負け。「ウソだろ」って思わずツッコンだもの。本人も驚いたに違いない。

でも勝負の世界こういうことってあるよなぁ。アテネでの井上康生も1度負けたあとの敗復でのあのアッサリとした負け方。自分のなかでの金メダル至上主義が負けることで心身ともにバラバラになってしまう。運というかツキも完全に離れていってしまう。となればあとは地獄へ真っ逆さま。
その点谷亮子はエラかった。自分を見失わず、冷静に次ぎ出来る最善のことを考え、やり遂げたのだから。

それよりも、本人にはわるいけど笑ってしまったのが鈴木桂治の敗戦の弁。
「コンディションも万全だったし、もうこれ以上強くなるとは思えないし……」
と涙浮かべて超弱気。あげくの果てに
「みんな(俺のこと)口先だけの野郎と思っているだろうし……」
だって。

そうか、君も「有言実行」タイプで日本で「北京での金は絶対獲ります」ぐらい言ったのか。
それに、水泳平泳ぎ2冠の北島康介をマスコミがやたらと「有言実行の男」と持ち上げるもので、「それにひきかえ俺ってやつは……」と思ってしまったんだな。

鈴木くん、気にすることはない。大言壮語は強いアスリートにありがちなこと。それに君はアテネで金を獲っているのだから、そのぐらい言ったって誰も何とも言いやしないさ。

「有言実行」なんて、たまたま。そう、たまたまだよ。
勝負の世界では自信があるときほど弱気な発言をして、体調いまいちなどで自信がないときほど強気な発言をするもの。とくにプロスポーツの場合はそういう傾向がある。

「有言不実行」なんてあたりまえ。勝負の世界、そっちのほうが多いのは君だってわかってるじゃないか。
「有言不実行」で非難されるのなら、谷亮子だってそうだし、北島康介だって200mの準決のあと、インタビュアーに乗せられたとはいえ、世界新を出すって言ったじゃないか。
結果世界新じゃなくても文句言う奴いますか? いないでしょ。

えっ? 鈴木桂治の場合、負け方がヒドすぎるって?
まぁ、それはそうかもしれないけど、頑張って頑張って負けるよりはあっさりしていて、逆にいいんじゃない? そんなわけないか。でもホントに気にするほどのことではない。

それにしても初戦で鈴木に勝って優勝したモンゴルのツブシンバヤルだっけ、強いよね。全競技通じてモンゴル初の金メダルだってね。これまたスゴイ。格闘技王国の予感だね。


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北京五輪②バドミントン [deporte]

北京五輪②.jpg

やっぱおもしろいね、五輪。水泳も柔道もバドミントンも。

今日のオリンピック日本のヘッドラインは北島康介の100m平泳ぎ2連覇。
いいレースだったし、世界新記録というのがスゴイ。文句なし。

しかし個人的なハイライトはバドミントン女子ダブルスの末綱聡子、前田美順ペアだね。
もうあちこちのニュースで報道済みなので改めていうまでもないが、世界ランキング1位の楊維、張潔雯ペアに勝ったのだからご立派。

女子バドミントンのダブルスといえばオグシオこと小椋久美子、潮田玲子のペアだけど、その陰にかくれてドえらいメダル候補がいたもんだ。だって女子ダブルスにオグシオ以外のペアが出ていたことすら知らなかったものね。

もちろん、オグシオの名前は知っていたもののバドミントンにさほど関心をもっていたわけではないんだけど、それはマスコミの責任もあるよね。派手なオグシオばかり追いかけて取材不足というか、冷静な分析ができていない結果だもの。

聞けば末綱、前田ペアは最新の世界ランキングでは8位に入っている。オグシオが6位だから、その差はわずか。だったらオグシオのメダルの可能性を報道するのと同じぐらいといはないまでも、せめて“伏兵”として末綱、前田ペアもの情報を提供してもよかったと思うよね。
そうしていれば、スポーツ報道のキメの細かさを示すことにもなっただろうにね。

テレビを見ていたら、ある女子アナウンサーが彼女たちを「スエマエ」って呼んでました。で、おもわず心の中で“オイオ節”。明日からでもいいんじゃない。いかにも以前からそう呼んでましたみたいな。ねえ。

まあ、理屈はともかく、これがスポーツの醍醐味ですね。
もちろん全セットみたわけではなく、ニュースで垣間見た程度だが、それでもあの二人の喜びようで、いかに素晴らしい試合だったか、いかにとてつもない快挙だったかがわかろうというもの。

しかし、彼女たちの番狂わせがかくも、大々的に報じられた一因はオグシオ人気によるといえるかも。
常々オグシオのマスメディアへの露出を見ていると、いつも笑顔。負けて不愉快なこともあるだろうに、顔に出さない。美形だからとか、実力(ありますよ)以上にチヤホヤされてという声も聞こえているだろうに、いつも真摯にかつ明るくマスコミに応対している。これはおそらく彼女たちがバドミントン普及の広告塔に徹しているからだと思うのだけど。

そして彼女たちの“広告宣伝活動”によってバドミントンの注目度がかなり高まってきたことは間違いない。そのなかでの末綱、前田ペアの快挙。
いちばん喜んでいるのは日本バドミントン協会だろう。

さあて、このあと俄バドミントンファンになってオグシオの応援でもしますか。


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[北京五輪①] [deporte]

北京五輪①.jpg

とうとう始まりましたオリンピック。スポーツの嫌いな人には地獄の2週間。


開会式はニュースで。一時テレビの前に坐ったのですが、タイミングがわるかったのか、入場行進。
あれほどつまらないものはありません。だいいち、長い。中国の女性たちがからだでリズムをとりながら迎えていたが、「あんな長時間気の毒に……」とおもっていたら、案の定失神して運び出された人がいたらしい。

ニュースで見た聖火点火他は、チャン・イーモウの演出らしいスペクタクル。
彼の映画「HERO」を思い出させました。でも、ワイヤーアクションの先駆は香港のアン・リーですからね。チャン・イーモウ、昔はいい映画をつくったのに……、黒澤明もそうだけど……、まぁいいな、映画の話じゃないし。

で、競技初日の結果は金メダル期待の柔道・谷亮子が銅、メダル期待のウエイトリフティング・三宅宏実が6位。開会前のサッカーの対アメリカ敗戦といい、決して幸先良いとはいいがたいスタート。水泳陣の予選落ちも目立ったし。

とりわけ体調も最高っていってた谷は残念。
全試合見ましたが、良かったのは三位決定戦の一本勝ちだけ。あれは、開き直ったといいますか、怒りの払い腰。彼女の持ち味がみごとに出た一戦。相手も3枚ぐらい格下だったけどね。
結局、負けない柔道をやったのが命取りになったんだな。でも、試合後のインタビューはちょっと「ファンのために」を強調しすぎたけど、立派でした。多分、泣きたいぐらい口惜しかったと思うのだけど。

それよりなによりいちばん心配なのは、野口が日本で入院していた(る)ということ。なんでも疲労が抜けないって。こんな時期にそんなんじゃ、彼女もメダルは無理でしょう。どうしたんだろう。コンディション作りの失敗。好事魔多しってやつ?

しかし、まだはじまったばかり、“強い者”が負けて、“意外な者”がトップに立つのもまたスポーツのドラマチックなところ。
この先いいゲームがたくさんみれるはず。期待してますよ。

それより、なんかオリンピック中継がピンとこない。
これは時差がないからだ。だいたい、バルセロナだってアテネだって夜中に見ていたんだからね。で、翌日仕事中に居眠りしたりしてね。それがないのは、なんか損してる気分。なんでかね。


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メジャー開幕 [deporte]

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もう昨日になりますが東京ドームでメジャーリーグ開幕戦「ボストン・レッドソックス対オークランド・アスレチックス」を見て参りました。

好試合は延長となり終わったのが午後11時近く。
それから相棒とベースボールの醍醐味の余韻を味わうべく、ちょいと一杯。
終電で帰って参りました。

とにかく松坂-岡島-パペルボンとボストンの“僅差勝ちパターン”の継投でピッチングを堪能。とりわけ勝利投手になった岡島がマウンドに上がると、その声援や嵐のよう。カメラのフラッシュの多さは松坂以上だったかもしれません。

シーソーゲームの試合は6対5とスリリングなスコアでボストンの勝ち。ナンバーワンのバッターのラミレスのタイムリーヒット2本4打点という大活躍で、メジャーのパワーの凄さも再認識。

まさに、ベースボールファンにとってはこれ以上ないという面白く、ハラハラドキドキの試合で終始しました。延長になっても満員の客はその9割近くは席を立たずに観戦。

やっぱりベースボールはおもしろい。
それにこないだ朝青龍の優勝で幕を閉じた大相撲もおもしろかった。そして、亀田興毅がヘナチョコ相手に判定勝ちしたボクシングもおもしろい。

野球、大相撲、ボクシング。このいまや陽が傾きつつあるといわれるスポーツクラシックスでわたしは大きくなったのです。おそらくそこからスポーツ以外の様々なことも学んできたはずです。
サッカーやK-1をはじめとする格闘技、あるいは陸上、テニス、ゴルフといった競技も好きです。しかし、長くつきあってきた3つのスポーツクラシックスにまさるものはありません。

誰かがボクシングの試合を見に行って、時代遅れのバーでのんでいるような感じだといっていましたが、まさにそんな気分かもしれません。
ただ、そういうバーに集まる客はすべて時代に取り残された人間ばかりとは限りません。若い人だっています。

春休みということで、今日の東京ドームには子供のなんと多かったことか。応援グッズをたたきながら夢中で応援していました。まだ小学校3、4年だと思われる彼らの詳しいこと。
やれユーキリスがどうだ、オルティーズがどしたと大声で友だちと話し合っていました。とにかくわたしなんかよりはるかに詳しいこと。ボストンのキャップにMATUZAKAのTシャツを着ているのですから、レッドソックスファンは一目瞭然。それが、相手のオークランドのプレイヤーについても詳しい。

こういう少年たちがいるかぎり、ベースボールは安泰でしょう。
試合の決着がついたとき、彼らは飛び上がって大喜び。いつまでも立ち去りがたくグラウンドを眺めていました。われわれはそれを見ながら少しうらやましい気持ちで出口へと向かいました。


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Last Chance [deporte]

2006東京国際女子マラソン.jpg

 

明日は名古屋国際マラソン。
土佐礼子、野口みずきに続く、「北京行き」3枚目最後の切符の行方が決まる。
高橋尚子のラストチャンス。

心情的には高橋尚子の復活を見たい。
3年前恩師、小出監督と別れて独自のマラソンチームを結成。その年の東京国際で1度優勝したものの、次の年は3位。以後ケガなどでフルマラソンを走っていない。

コンディショニングも含めて、不振の原因を名伯楽のもとを去ったことに求める声も少なくない。
監督・コーチとアスリートとの関係は難しい。いかなるスポーツでも。とりわけ個人競技、コーチと選手がほとんどマンツーマンで向かい合う種目では。
それは高いスキルを共作するというテクニカルな作業だけではなく、それと切り離せないメンタルの潤滑な交流が重要になってくるから。いやスポーツばかりでなく一般社会における上司と部下の関係でも同じだろう。

選手が力をつけてくればくるほど、コーチングや待遇に不満が生じる。選手のわがままだけではない。コーチだって成長した選手には、その成長に見合った教え方に変えていかなければならない。成鳥を雛鳥のときと同じ育て方をしてもうまくいくはずがない。
マラソンに限らず過去に、そんなことで決別した選手とコーチたちがいかに多いことか。

高橋尚子にとっては“独立”の選択が正しかったことを証明しなければならない。それにはまず北京の切符を手にすることが第一関門となる。

ケガや体調など不安材料多々あるけれど、メンバー的にもコース的にもチャンスは大いにある。多分賢明な彼女はもっとも可能性の高いこのレースに狙いを定めていたのだろう。

 

外国招待選手は5人でいずれも28歳以上で、アッと驚く記録を出したりする若手はいない。最高タイムがケニアのキルイで2時間26分52秒というから。持ちタイムだけなら高橋をはじめ日本勢の方が断然上位。

高橋尚子にとっては過去2度優勝している相性のいいコース。とくに2000年には2時間22分台の記録(今も大会記録)で優勝し、シドニー五輪の切符を手にした。

先日テレビで中国のトレーニングから帰ってきたニュースを見たが、たしかに頬がこけていた。ハードトレーニングのためか、はたまた体調をくずしてのことか。
しかし、週刊誌が書いているような「激ヤセ」というほどではないように見えた。

気になるのは、「今度の大会は誰が勝ってもおかしくないですから……」という彼女のコメント。もともと強気な発言はしないタイプだが、それにしても、これから自分が臨むレースをそんなに客観的にとらえるとは、いささか弱気。
ただ、一般的には「自信がないときは強気、あるときは弱気」な発言をするというのが勝負師。もしかしたら、体調もピークで、相当な自信があるのではないか。
だとしたら、メンバーからみてもブッチギリで勝ってしまうかも。
そうなれば間違いなく北京へ行くことになる。

ほかでは、アテネ五輪7位の実績を持つ坂本直子。持ちタイム2時間21分52秒は、高橋に次いでナンバー2。ここ数年ケガに泣いたがこの大会に“一発勝負”で臨む。半年ぶりのレースはキビシイ。でも復調していれば当然優勝のチャンスを秘めている。

そのほか、大南敬美、原裕美子、弘山晴美も過去この大会で優勝している。このなかでは1月の大阪国際を体調不良でドタキャンした原裕美子に期待。あとは、高橋尚子の後輩にあたる堀江知佳の素質開花、小出マジックがあるかもしれない。

最後に失礼ながら競馬ふうの予想を。

◎高橋尚子
[新月]坂本直子
▲堀江知佳
△原裕美子
×キルイ(ケニア)

明日はゆっくりテレビ観戦といきたかったが、仕事が……。
なんとかエスケープしてどこかテレビのある店へもぐりこんでしまおう。


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本当に仏様になった [deporte]

 

昭和33年の秋、わたしは駅前にあった大衆酒場に通いつめていた。
というと、現在相当な老人のように思われるが(実際相当な老人だが)、その時のわたしは小学1年生だったのである。

その酒場は昼は定食などをとらせる食堂だった。女子供むけの甘味も置いてあり、文字通りの食堂。
そこでわたしは、毎回、今川焼き(太鼓焼きとも言った)を2個と、コーヒー牛乳を注文するのだ。今考えれば、7歳の子供が日を置かずひとりで食堂に足を運んでくるのだから、店の人間に咎められても不思議ではないのだが、そうした記憶はない。

で、わたしの目的だが、もちろん今川焼きのトリコになったわけではない。その店に置いてあるテレビがお目当てだったのだ。

昭和28年から始まったテレビ放送は、その年で6年目。春先にNHKの契約台数が100万台を突破したといわれる。しかし、貧しき我が家にはまだなかった。

プロレスも、その年からはじまった「月光仮面」もすべて金持ちの友だちの家か、そば屋などで見たものだ。

しかし、その大衆酒場で見ていたのはプロ野球の日本シリーズ西鉄-巨人戦

それまで野球にまったく興味などなかったわたしが、野球に関心を抱くようになったのは小学校へ入学してからできた、友だちの影響だった。

彼は、1年生ながら今でいう少年野球のレギュラーで、ことあるごとに無知なわたしに野球のなんたるかをレクチャーしてくれた。そして彼が被っていた野球帽のマークは「T」。そう、彼の所属したのは、阪神タイガースのファンによって作られたチームだったのだ。
彼は、
「レギュラーになると、コレがもらえるんだ」
とそのTの帽章を見せて自慢したものだった。

ところが、わたしは阪神ファンにはならず、誰に言われるでもなく巨人ファンになってしまった。新聞やラジオでの露出が多かったから。つまり、主体性のないミーハーだったのだ。

昭和33年という年、つまりわたしが野球に目覚めた年は、奇しくもプロ野球にとってエポックメイクな年となった。
いちばんの話題は、立教大学のホームラン王、長嶋茂雄の巨人入団。そして、われわれの先輩たちが、風呂屋の下駄箱“16番”を奪い合うほど人気のあった川上哲治の引退。また、秋のシーズンオフには甲子園の星、早稲田実業の王貞治の巨人入団が発表された。

どれもこれもプロ野球史を語るうえで重要な出来事だった。
それでも、この年のハイライトといえば、あの伝説の日本シリーズではないだろうか。

10月12日、後楽園ではじまった日本シリーズは巨人が2連勝。平和台へ移った3戦目は藤田元司稲尾和久、両エースの投げ合い。結果は1-0で巨人。西鉄はあとがなくなった。

しかしここから奇跡が起きる。4戦目、西鉄・豊田泰光の2本のホームランと稲尾3度目の登板で6-4と辛勝すると、次の試合では連投の稲尾にサヨナラホームランが飛び出し、西鉄は2勝して剣が峰で残った。「神様、仏様、稲尾様」という名文句はこの試合の翌日、スポーツ紙に躍ったといわれている。

そのあと、西鉄はさらに2連勝(いずれも稲尾が勝利投手)して奇跡の逆転日本一になるのだが、とにかく巨人ファンニューカマーで、まだ野球の本当のおもしろさがわかっていなかったわたしにも、稲尾のホームランは印象に残っている。
無知なりに、ピッチャーというものは投げるだけで打たない、とくにホームランなんて論外と思っていたのだから。

その稲尾が他界したとニュースが伝えていた。
彼の年間42勝という記録は、2度と破られることはないだろう。投手の真の評価となる防御率も、ケガでほとんど欠場した年をのぞけば、1点台か2点台。年間で400イニング以上投げた年が2度もある。400イニングということは、9回完投を年間45試合こなすという数字である。こんな投手いない。鉄腕といわれたゆえんである。

子供の頃、少年雑誌で読んだ稲尾のエピソードで覚えている記事がある。それは、稲尾が時間を厳守したという話。
なにかの用事で他人の家を訪問したとき、約束の時間より10分早く着いてしまった。そのことに気づいた稲尾は、10分間、玄関の前で待っていたと。

現役時代も監督として采配をふるったときも、また評論家の時代も、いつも穏和ながらなにごとにも動じない雰囲気のあった元エースだが、そんな几帳面な一面もあったのだ。

凋落が伝えられるプロ野球、もはや遠い過去の中にしかその輝きを見いだすことはできないのかも。どの星も生まれ、やがて死んでいくように、昭和30年代がもっともその星が輝きを放ったピークだったのかもしれない。


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次は興毅、出てこいや! [deporte]

前回の記事、ジャンルを音楽のままUPしてしまいました。間違えて見てしまった方、すみませんでした。

内藤大助判定勝ち。

KOできなかったので予想ははずれ。
内藤が試合のあと言っていたように、亀田大毅はやりにくかった。それは見ててわかった。いつもの内藤らしくない。自分の試合を正しく分析していたということは、終始冷静だったということ。

言い訳になるが、ボクシングには相性がある。強いチャンピオンも相手によって凡戦になることがある。それでも完璧に勝つのがスーパーボクサーなのだが。そうはいない。

亀田のいいところはほとんどなし。プロレスまがいの技は論外。
ただ、どんな結果であれ、12ラウンド闘えたのは立派。“グリーンボーイ”は撤回したい。
明日の新聞が楽しみ。どんな言い訳(とくにオヤジが)するのか。もし、潔く内藤を称えたならばオヤジも見直すのだが。試合前のあのイレコミを見たら無理かな。

TBSのアナウンサー、解説陣がいつになくニュートラルな発言。そう、この結果はオリコミ済み。というより、テレビ局は内藤に勝ってほしかったはず。もしかしたら、内藤が世界チャンピオンになったときから、この“シナリオ”は書かれていたのかもしれない。
これは“前哨戦”にすぎず、メインイベントはこの後。

兄・興毅が弟のリベンジをする。試合前からその盛り上がりは大毅戦の比ではない。さらなるビッグマネーが動く。そんな計算ミエミエ。

で、興毅が内藤と闘ったら?
やりにくかったにしろ、内藤のこういう試合を見せられると、簡単に「次も勝てる」とはいえない。亀田興毅やや有利かな。

とにかく内藤大助が「国民の期待に応える」という言葉が空しいものにならずにヨカッタヨカッタ。

余談だが、亀田の入場曲が「男一匹ガキ大将」。内藤がCCB「ロマンチックがとまらない」。なんでこの選曲。亀田のはオヤジが選んだのか? まるで軍歌。内藤だって80年代のナツメロ。こちらは内藤の選曲だろうか。CCBといえば東京は葛飾出身のバンド。内藤の所属する宮田ジムも葛飾。そんなつながりがあるのかも。

内藤君、よかったね。しばらくは奥さんと子供との家族孝行をかねてゆっくり休んでね。


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1千万円対1億円 [deporte]

さあ、待ちに待った、ってほどじゃないけど、内藤大助vs亀田大毅が始まる。
今回は仕事の最中なのでテレビ観戦。

TBSはゴールデンタイム放映と強気。
ふつうだったら、それほどワクワクするような試合ではない。かたや引退土産にタイトルを獲った世界チャンピオン(それはそれで拍手ものなのだが)。かたや、兄貴譲り、いや父親譲りのビッグマウスで、実力のほどははなはだ疑わしい、グリーンボーイ?。

それがかほどに盛り上がっているのは(ほんとかな。視聴率20%いくかな)、お互い口撃による“前哨戦”があったから。亀田サイドが内藤を“ゴキブリ”といったのには笑えた。かつて、モハメド・アリジョー・フレージャーを試合前に“ミニクイ”と言って挑発したが、それ以上の売り言葉。

そんなこと言っちゃっていいのかな。もし亀田が負けたら、ゴキブリに負けたことになる。そんなボクサーいない。

チャンピオン内藤のファイトマネーが一千万円。亀田はその10倍だといわれる。
こんな試合もめずらしい。

わたしの予想は内藤のKO勝ち。

そろそろ始まるのでテレビ観戦に。結果はのちほど。


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[あゝ、世界柔道] [deporte]

あの井上康生が敗退。
アテネ五輪の悪夢が再現された。まさか、捲土重来で優勝すると思っていたのだが。

ブラジルで行われている世界柔道選手権初日、100キロ超級に出場した井上康生が2回戦で敗れた。敗者復活戦でも完敗と、アテネと同じ轍を踏んでしまった。
くわえて、100キロ級に出場したアテネのゴールドメダリスト、鈴木桂治までが2回戦負け。これはミスジャッジ。鈴木には気の毒だったが、解説の山口かおりが言っていたように、投げたあとに気を抜いたのは鈴木の隙。勝った相手もそのあとの試合で負けたため、敗者復活戦の権利までとれなかった。

女子の中沢さえ塚田真希はともに銀メダル。これは大健闘。

井上康生は、以前から山下泰裕の再来かと感じるほど期待していたし、強い柔道家だと思っていた。それだけにアテネでの惨敗はショックだった。
それが、今回の結果。もうじき30歳、もはやピークを過ぎたのかも。考えてみれば、世界の柔道マンだって日々鍛錬しているわけで、そうかんたんに日本が勝てるわけはないのだ。伝統など近代格闘技においては何の役にも立たない。優れたスキルと、不動のメンタリティーをもつものが勝ち上がっていく競技なのだ。

日本で生まれた格闘技・柔道が国際化を目指したのは昭和30年代。
それからまもない昭和36年、パリで行われた世界選手権決勝では日本の曽根がオランダのヘーシンクに押さえ込まれて、よもやの敗戦。当時、階級制はなかく、無差別一本勝負だった。翌日の日本の新聞には『日本柔道パリに死す』の大見出しが踊った。それほど日本にとってはショックだったのだ。
優勝者ヘーシンクは、3年後の東京オリンピックでも神永を押さえ込み、金メダルを獲って、3年前の勝利がフロックでないことを証明してみせた。

それから半世紀あまり、途中、山下泰裕という希代の柔道家の出現で、ニッポン柔道の強さを誇った時代もあったが、あれほどの天才柔道家は、そう何人も出ない。
体重別の、とりわけ重量級では日本が西洋に苦戦していることは、他の競技が語っていること。ボクシングしかり、レスリングしかり、重量挙げもまたしかり。
ならば、軽・中量級に期待するしかないか。

気の毒なのはテレビ局。LIVEではないので、放送前にいろいろな報道が結果を伝えてしまう。好成績ならまだしも、日本敗れるでは、視聴率も期待できないだろう。柔道の国際大会は以前も、こうした半日遅れぐらいの録画放送だったような気がする。
やはり柔道に限らずスポーツは生で見なくてはそのダイナミズムが伝わってこない。負けた選手が意気込みを語っている画面など、見ていて白々しいし、たぶん本人にとっても出してほしくないはず。テレビ局はいろいろなケースを考えて、差し替えようの画も用意しておくべき。

とにかく、ついこないだの世界陸上に続く日本勢の不振ぶり。先日の山下泰裕の柔連理事落選といい、日本柔道にはかなりの逆風が吹いていることは間違いない。まあ、この先、金メダルゼロということはないだろうと思うが。

いずれにしても、最近喧しい大相撲もそうだが、柔道もまた“和”という観点から見てはいけないスポーツ、あるいは格闘技になったのだ。それが国際化というものだろう。


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