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三つの歌●アメリカン・オールドタイミー② [day by day]

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まったく、これが夏かと思うほど日照の少ない八月が終わろうとしています。
とうとう「夏の歌」はやりそこないましたが、生きていればまた来年があります。

いま面白いのはロシアでやっている柔道の世界選手権。
日本は男女ともに2つずつの金メダルを獲って好調だが、ニューカマーとして印象的だったのが銀メダルを獲ったふたり。

女子70キロ級のヌンライ華連と男子100キロ超級の七戸龍の2選手。
とりわけ七戸選手は、現時点での絶対王者で世界選手権5連覇中のリネール(フランス)に指導ポイントで惜敗。後半、大内刈りで王者を横転させたがポイントにはならず(「効果」のあった時代なら勝っていた)、そのままタイムアップ。
予選からほとんど短時間で相手を一蹴していたリネールとフルタイム戦っただけでもスゴイ。
ともにハーフというヌンライ華蓮、七戸龍のふたりは23歳ということでも共通している。今後が楽しみ。
なにかと負のイメージの多かった柔道だけに、明るい材料です。

スポネタはこのへんにしまして、本題に。
柔道の歌でもいいけど、「柔」(美空ひばり)、「柔道一代」(村田英雄)、「姿三四郎」(姿のり子)、「柔道一直線」(桜木健一)ではちょっと……。そうなると……。
何もないときは好きなカントリー、アメリカンミュージックになっちゃいます。

以前やったアメリカの古い音楽の第二弾ということで。
まずはこの歌。

「うかつな愛」Careless Love

ほんとに多くのシンガーに歌われているオールアメリカンの愛唱歌。もちろんどんなジャンルでも。
たとえばジャズならビリー・ホリデーやダイナ・ワシントン。ポップスならローズマリー・クルーニーやヘレン・メリル、コーラスならミルズ・ブラザース。カントリーならエディ・アーノルド、ブルーグラスならビル・モンローなど。ブルーズならベッシー・スミスやジャニス・ジョプリンがいるし、もちろんピート・シーガーやジョーン・バエズらフォーキーたちも。

歌詞は様々ですが、タイトルからもわかるように失恋歌。去って行った元恋人を怨み、己を罵り、「なんて日だ!」と小峠のように嘆いている(そんなことはないけど)。

この歌がつくられたのは1920年代はじめ。
ブルーズマンのW・C・ハンディによってつくられた。ハンディは「セントルイス・ブルース」の作者としても知られている。
純然たるオリジナルというわけではなく、アパラチア地方の古謡をベースにつくったとか。
ということはマウンテンミュージックと同じルーツなので、ほかにも似たような歌があるかもしれない。

つくられた当初は「ケアレス・ラヴ」ではなく「ラヴレス・ラヴ」という題名でレコーディングされている。
YOU-TUBEは、作者ハンディとサッチモの「ラヴレス・ラヴ」で。
なお、この「ラヴレス・ラヴ」、戦前、まだアメリカ音楽が“敵性音楽”ではなかった昭和10年(1935)、「ミルク色だよ」というタイトルで中野忠晴とコロムビア・リズムボーイズがレコーディングしている。(おそらくミルズ・ブラザーズを手本としたのでしょう)

中野忠晴、いい歌手でした。戦後は三橋美智也や松島詩子のヒット曲を手掛ける作曲家として活躍するが、戦前はジャズソングのみごとなクルーナーでした。
もっと評価されていい歌手です。
では、2曲目を。

「古い十字架」Old Rugged Cross
オールド・ラグド・クロスは1912年伝道師であり、教会の歌唱指導者だったジョージ・ベナードによってつくられたゴスペル。
愛する家族が眠る古くいかつい十字架。跪くたびに苦しみと後悔を覚える十字架。
やがていつか、わたしが彼らのもとへ行くときまで、この十字架を慈しみつづけていくだろう。
そんなゴスペルは、1950年代に入って多くのカントリーシンガーにうたわれることになります。カントリーばかりでなく、ジャズやブルーズシンガーにも愛され、セントルイス・ブルースやセントジェームズ病院のブルースのように葬送曲としてデキシースタイルで演奏されることも。
そうしたジョージ・ルイスに代表されるデキシーのインストもいいけれど、ヴォーカル入りもなかなかのもの。

アラン・ジャクソンは現代のカントリーミュージックシーンを代表するひとりで、ジョージア出身の56才。1988年に本格的にデビューしている。
幼いころ両親の影響でゴスペルを聴いていただけあって、このての歌はお手のもの。いい声ですね。イケ面だし。

最後はこの曲。
「非情な海」Deep Blue Sea

イギリスのトラディショナルソングを、モダンフォーク全盛の60年代はじめにウィーバーズやオデッタがレコーディングしたもの。
ピート・シーガーも単独でレコーディングしている。わたしが初めて聴いたのもピート盤。

いわゆる「海の歌」SEA SONG のひとつで、その多くは航海に出た恋人の船乗りとの悲しい別れをうたったもの。
また、そうしたセイラーズストーリーは、しばしば遭難という悲劇をともなうことがある。

この歌でも恋人の船乗り・ウィリーは荒れ狂う波にのまれてしまう。
そんな恋人を銀のショベルで穴を掘り、金の鎖とともに埋葬してあげよう、とうたっている。そうすれば、輝く太陽の下、きっと彼は帰ってくると。

これも好きな歌ですが「藍色の海に出た船乗り」Sailor on the deep blue sea も似たようなテーマです。

例によって単純なメロディーと歌詞。
若いころ覚えた歌ですが、40年以上経ったいまでも、何かの折に突然口をついて出てくることがあります。
こういうのが愛唱歌なのでしょうね。というよりメロディーも詞も単純だからでしょう。

ところで最初の「ケアレス・ラヴ」の話ですが、なんとなく聞き覚えのあるメロディーではなかったでしょうか。
カントリーではよく耳にするメロディーラインがつかわれています。

日本でも似た歌があります。
似ている曲

編曲もカントリーっぽく、コード進行などはほとんど同じですね。
まあ、“狭い音符の世界”ですからこの程度の類似では“盗作”にはあたらないのでしょうが。

柔道世界選手権の最終日は団体戦。
日本の結果は……、ニュースには目をつぶり、耳をふさいで深夜のテレビ放送をみるぞ。

 

 


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