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●ロシアンソング③ [noisy life]

梶芽衣子③.jpg

数日前、電車の中で初体験。

生まれてはじめて席を譲ってもらったのだ。
はからずも、乗車してシルバーシートの前に立ってしまったのが失敗、いや譲ってくれた人のことを考えたら、幸いだったと思わなくてはいけないのですが。

前に座っていた男性が視線を落としたまま低い声で何か言って立ち上がった。
言葉は聞き取れなかったが、席を譲られたのだということは瞬時にわかった。

わたしは思わず、「いいです、いいです」と返事をしながら、そうか、俺はすでに還暦を過ぎているのだった、という思いが重なり、つぎに、相手の好意に背いてはいけない、と思いなおして、腰をかけた。
そうした意識がまるで火花が散るように瞬時に行われたのでした。

それはともかく、最近のわたしの頭の中は、いまだ、ロシアン3人娘がうたう「天使のいたずら」が、
♪パッパ パッパラッパ パッパ…………
と脳内蓄音機で再生されてエンドレスに鳴り響いているのです。

ではさっそく。
ロシアンソング、とりわけ日本人にとって(昔のかも)いちばんなじみがあるロシア民謡は、共産圏発の音楽だが、、皮肉にも日本敗戦後の民主主義によってもたらされた。

それはまたたく間に広がった、うたごえ運動、さらには歌声喫茶の“主役”として若者たちに歌われることに。そしてその叙情的で甘いメロディーの数々にどれほどの当時の若者が幸せな気持ちになれたことか。

また、一緒になって同じ歌をうたうという「合唱」の不思議な連帯感は、「私が主役」の現代のカラオケとはまるで異なる歌唱空間だったのではないでしょうか。

そんな共にうたったロシア民謡のなかでも、とりわけ人気があったのが、黒い瞳、カチューシャ、トロイカ。

わたしも、子供のころロシア民謡の洗礼をうけたのも、ほぼ同時といっていい時期に、この3曲によってでした。

およそ歌などとは縁のない父親が唯一うたって教えてくれたのが「トロイカ」
前回も書きましたが、音楽の先生が「コロブチカ」と一緒にアコーディオンで弾いてくれたのが「カチューシャ」。そして、学芸会で上級生たちが演じた劇中でうたわれていたのが「黒い瞳」というように。

どれも好きなうたですが、ロシアンソングの最終回としては、前回の「山のロザリア」で、♪黒い瞳 ロザリア とうたわれていたのを引き継いで「黒い瞳」を。
それもジャズで3曲。

まずはスイングで。
このミュージックのルーツがロマであるということで、ロマの血をひくジャンゴのギターが最適。

スイングとくれば次はダンモで。それもギターのあとはピアノがいい(単なる好みの問題ですが)。
で、ウィントン・ケリーの華麗なタッチで。

最後は迷いました。
ギター、ピアノとくればやっぱり聴きたいのはラッパ。
それも賑やかしいヤツ。となればデキシーランド。

むかし、ウィントン・ケリーの「黒い瞳」を聴いていたとき同時に聴いていたのが、サッチモの「黒い瞳」。これがデキシー。おまけにサッチモのヴォーカル入り。
これもなかなかイカスのですが、もう1曲、イージーリスニングのLPに入っていた名もないバンド(もはやレコードはなく、覚束ない記憶ではベルリン・ダンス楽団とかなんとか)がやっていた100%のデキシーランドが忘れられません。

残念ながらYOU-TUBEにそのヴァージョンはなかったので、似た感じのベルグラード・デキシーランド楽団の1曲を。

ところで、冒頭の車中の話ですが、席を譲ってくれたのは50代とおぼしき男性で(それも悲しい)、わたしのほうが先に降りることになったので、改めて彼にお礼の言葉を述べて下車した。

落ち込むほどの気分ではなかったけれど、いよいよ来るべきものが来たなという苦笑いが出るような思いだった。

これからは、こういうことが頻繁に起こるのだろうな、と思うとやっぱり淋しいものです。


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