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その名は●ニーナ [the name]

 ニーナ・シモン.jpg
♪小雨降れば ひとり待つニーナ
 なにも聞かず 読みかけの本を
 捨てて抱き合った おまえの肌
 ニーナ 素顔がきれいだ
 夜の風をこわがった ニーナ
 ひとつ灯残し あの部屋で
 おまえの気持ちは 甘くくずれ
 ニーナ 泣いたよ
 ………………
(「追憶」詞:安井かずみ、曲:加瀬邦彦、歌:沢田研二、昭和49年)

上に歌詞の一部をのせた「追憶」は、以前やりました「その名は●安井かずみ」でもふれましたが、安井、加瀬、沢田の作詞家、作曲家、歌手がそれぞれもっとも充実していた頃の歌。(音だけのYOU-TUBEを使いたかったのですが、CMが長すぎるのでバツ。追憶にニノ・ロータの「若者のすべて」をからませるのはおもしろい。Cobaのアイデアでしょうか。でもすぐに消されるなこの画像)

気をとりなおして。しかし、安井かずみさんはどこから「ニーナ」をもってきたのでしょうか。

ニーナNINAという名前は元はロシアでつかわれていたアンANNEの愛称で、その後、米英をはじめ、フランス、ドイツでもつかわれるようになったとか。

そこからヒントを得たかどうかは不明ですが、「ニーナ」といって思いつくのは唯一ニーナ・シモンNINA SIMONE。ジャズシンガーでありピアニストでもあった。

ニーナ・シモンは1933年の2月21日、アメリカはノースカロライナで生まれた。
そして2003年の4月21日、つまり“今日”、フランスで亡くなっている。

ニーナ・シモンというのはステージネームで、本名にはニーナもシモンも入っていない。
なんでもシモンはフランスの大女優シモーヌ・シニョレからとったそうだ。
かんじんのニーナのほう子どもの頃の愛称(小さいという意味があるらしい)。

詳しく知りたい方はウィキペディアでどうぞ。日本で自伝も発売されたが、もはや絶版のようで古書はかなり高額。

そんなわけで今日はニーナ・シモンの歌のいくつかで偲びたいと思います。

「行かないで」Ne me quitte pas
ジャック・ブレル Jacques Brelが1959年にヒットさせたシャンソン。
ニーナは亡くなる数年前からフランスで活動をしていた。
フランスだって人種差別はあるけれど、黒人にとってアメリカよりははるからに暮らしやすい国なのかもしれない。ジョセフィン・ベイカーもそうだし、たしかアーサ・キットも一時フランスで歌っていましたっけ。
この歌は[If You Go Away]のタイトルでシャーリー・バッシー、グレン・キャンベル、ブレンダ・リー、アンディ・ウィリアムスなどなどがうたっていた。

「悲しき願い」Don't Let Me Be Misunderstood
日本の洋楽ファンがこの曲を知ったのはおそらく1965年のアニマルズのヒットによって。わたしもそう。日本ではタカオ・カンベ(網走番外地の作詞者のひとり)の名訳で尾藤イサオがカヴァー。そして70年代後半にはサンタ・エスメラルダのダンスチューンでリヴァイバルされました。
しかし、オリジナルはニーナ。1964年のこと。
ニーナがうたうとたんなる失恋ソングには聞こえない。黒人であること、さらには人間であることの悲しみが滲み出てくる。

「朝日のあたる家」The House of  The Rising Sun
これまた日本ではアニマルズで有名になった曲。
元々はアメリカのトラディショナルソングで、当初はウディ・ガスリーはじめ多くのフォーキーたちにうたわれた。
日本では「朝日楼」のタイトルの浅川マキのカヴァーが有名。そのカヴァーである、ちあきなおみもいい。
YOU-TUBEのニーナはわたしのもっているCDとは違うヴァージョンで、こちらのほうがよりプリミティヴな叫びのような気がする。スゴイ。

「ミシシッピー・ガッデム」Mississippi Goddam
キング牧師の影響で公民権運動、黒人解放運動にたずさわったニーナ。
多くのプロテストソングをうたったが、その代表的な歌がこれ。
テネシーでのキング牧師暗殺、そしてアラバマやミシシッピーでおこった黒人および公民権運動家たちの受難を糾弾し、最後に「くたばれ!ミシシッピー」と。
沈鬱なバラードではなく、ノリのよいピアノの弾き語りで、ときにはシャウトする、戦闘的なニーナがいい。

「ジン・ハウス・ブルース」Gin House Blues
「ネェ、お兄さんジンを一杯おごってよ」
という酔っ払いの歌。説明が安易。
これもニーナのバレルハウス・ブギの弾き語り。
この曲も浅川マキがカヴァーしている。やはり日本のソウルフルシンガーとしては共振しますよね、ニーナに。
ニーナを聴き始めたときにハマった曲。

「禁断の果実」Forbidden Fruits
ニーナ・シモンを聴き始めたのは、若い頃、友人からLPレコード(アルバムなんていわなかった)を借りてから。だいたいこのパターンが多い。そのLPが「禁断の果実」。
アルバムタイトルのこの歌が第一曲目(もはやレコードがないので多分)で、その声と歌唱に圧倒された。
禁断の果実とはイヴが食べてエデンの園を追われることになった「りんご」のこと。
つまりアダムとイヴの物語。
この歌を聴くと、アダム&イヴの発祥はアフリカではないか、と思ってしまう。

「奇妙な果実」Strange Fruit
果実といえばもう一曲、有名な歌がありました。
ビリー・ホリデーBilly Holidayの「奇妙な果実」。
ジャズファンならごぞんじのとおり、「奇妙な果実」でうたわれている果実は木にたわわに実ったフルーツではなく、木の枝からロープで吊り下げられた人間(黒人)のこと。
その当時「奇妙な果実」はアメリカ南部では見慣れた風景だとうたわれている。
その歌を公民権運動に身を置いたニーナもうたっている。
この歌はおそらく白人にはまずカヴァーできない。そんな奇妙な歌でもある。

しかし、ニーナの歌を聴いていると、「白人も黒人もない、みんな人間なんだ。人間ってなんて素晴らしいんだ……」って聞こえてくる。だからうたっちゃおう、
♪ニーナ ニーナ にんげんってニーナ……

…………ぶちこわしですか。


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