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春の歌●花鳥風月〈後篇〉 [noisy life]

北国の春.jpg

今回は花鳥風月の後半? 「風」「月」

まずはじめは「風」。
春の風といえば「そよ風」があります。
桜吹雪などは、風と花びらが織りなす芸術です。まさに花鳥風月の世界。

しかし、「春の風」も「そよ風」もすでにこのブログではやってしまっておりまして。
仕方がないので今回は「南風」で。

「南風」が吹く歌はそこそこあります。

すぐ口に出てくるのが
♪あゝ今年も 南の風に 誘われて来たよ
という歌いだしの「あなただけを」(あおい輝彦)

ほかでは、
♪あー 私の恋は 南の風に乗って走るわ 「青い珊瑚礁」(松田聖子)
とか、
♪南風受けながら 生まれたままの姿で 「街角トワイライト」(シャネルズ)
なんてのもありました。

また、
♪どこへ行くのかあの船の なびく煙も南風 「情熱のルンバ」(高峰三枝子)
とか、
♪はなれ小島に 南の風が 吹けば春来る 花の香便り 「喜びも悲しみも幾歳月」(若山彰)
なんて昭和20年代、30年代の歌謡曲クラシックもありました。

しかし、これらの「南風」は、なんとなく暖かすぎる。どちらかというと初夏もしくは夏盛りといった印象。

で、もっとも春にふさわしい「南風」といえば、
♪白樺 青空 南風 「北国の春」(千昌夫)

昭和52年の望郷歌で、「星影のワルツ」とともにベストセラーソング。
どちらも曲は千昌夫の恩師・遠藤実
亡くなりましたが、ほんとに旋律で昭和・日本人の金銭を、いや琴線をくすぐるのがうまかった。

「北国の春」の作詞は遠藤実の弟子のいではく
いではくが遠藤実と組んだもうひとつのビッグ・ヒットといえば杉良太郎「すきま風」。春じゃないけど。どちらもいきなりブレイクというよりは、時間をかけて世間に浸透した歌。

そういえば「いで―遠藤」コンビでは「北国の春」の4年後に小柳ルミ子がうたった「春風」という曲もありました。

そして花鳥風月のさいご、「月」。

「月」は「太陽」とともに流行歌の定番キーワードでして、それだけうたわれることも多い。
ところが、太陽が文字どおり「陽」で月が「陰」ということから、暗いというか物哀しい歌がおおく、およそ春のイメージからはかけ離れている。

そうしたことからただ「月」といえば俳句では秋の季語。
したがって春は「朧月」かストレートに「春の月」。

しかし「朧月」は何年か前の「春の歌」でこれまた“消化済み”(もうネタ切れだ)。
となると「春の月」。これが意外とない。

そのフレーズを求めて流行歌を掘り下げていくこと幾星霜なんて。やっとみつけました。
それも80有余年の流行歌の歴史の底の底で。

日本初のレコード歌手といえば佐藤千夜子
その千夜子が昭和4年に大ヒットさせたのが
♪昔恋しい銀座の柳 粋な年増をだれが知ろ
のうたいだしで知られる(ほとんど知られてないか)「東京行進曲」

「春の月」が出てくる歌はそのB面にあった。
それが「紅屋の娘」
♪紅屋で娘の云うことにゃ さの云うことにゃ
 春のお月さま薄曇り とさいさい薄曇り

しかしこのレコードをリアルタイムで聴いた人など、ほとんどいないだろう。
「これが月がでてくる春の歌だ!」というにはいささか気が引ける。
やっぱり少しはどこかで聴いたことのある歌のほうがいい。

それならば、
♪月がとっても青いから 遠回りして帰ろ 「月がとって青いから」(菅原都々子)
のほうが。
すずかけの並木路を好きな彼と腕を組んで歩いた思い出。
1分1秒でも彼といたいから、わざわざ遠回りしてゆっくり家路をたどる。
冬じゃ寒くてのんびり歩いてなんかいられない。
まぁ、夏かもしれないけど、青い月というのがなんとなく春のような。旋律も春らしい、いかにも。

でなかったらこんなのも。
♪りんご畑のお月さん今晩は 噂を聞いたら教えておくれよな 「お月さん今晩は」藤島桓夫
都会へ行ってしまったあの娘に思いをはせる男の歌。そりゃ追いかけて自分も都会へ行きたいけど、リンゴ園のあと取りの身としては許されない。

だから誰もいない夜のリンゴ畑で彼女のことを偲んでみる。
未練ですね。可哀そうですねえ。

この歌は世に出たのが昭和32年、その2年後にはやはり東京へ出ていった恋人が忘れられない「僕は泣いちっち」(守屋浩)がヒットしました。

その前なら、都へ行くのは男、女は陰で泣く。と相場は決まっていました。
それがこの頃から逆転現象が起き始めてきたのでしょうか。

そんなことはどうでも、とにかく夜のリンゴ畑に佇めるのはあたたかくなってから。
“あの娘”は中学を卒業してから東京の工場へ働きにいった(勝手な妄想)。ならばやっぱり時は春じゃないでしょうか。

とまぁ、いささかこじつけめいてしましましたが。
上のふたつの歌も好きな歌ですが、さらなる愛聴歌で春の月を思わせるのが初恋&失恋ソングの「乙女のワルツ」(伊藤咲子)
♪月が上がる小道を 泣いて帰った

そのあとに♪白く咲いてる 野の花を と続くようにやっぱり春よ春。
でも、うたっているのが「ひまわり娘」なので夏っていう線も。
しかし、ワルツが似合うのは太陽より月、夏よりも春、じゃないでしょうか……。


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