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VOICE⑩幼声(ベイビーヴォイス)▼洋楽篇 [noisy life]

dolly and porter.jpg

You say tomorrow you're goin'
It's so hard for me to believe
I'm making plans for the heartaches
‘Cause you're making plans to leave

The tears for me will be falling
Like a tree shedding its leave
I'm making plans for the teardrops
‘Cause you're making plans to leave
([MAKING PLANS] written by JOHNNY RUSSELL and VONI MORRISON, 1966)

ようやく「ヴォイス」の最終回。 

洋楽での極私的ナンバーワン「ベイビーヴォイス」といえば、メリー・ホプキンMary Hopkin 、ダニエル・ビダルDaniele Vidal も捨てがたいのですが、やはりドリー・パートンDolly Parton でしょうか。

往年のハリウッド女優をカリカチュアライズしたようなヘアスタイル、メイク、そしてグラマラスなボディ。そしてあのバカっぽくて可愛い笑い声。

「バストの大きい女性は×××が良くない」という俗説がありますが、ドリーはそんなことありません。なぜならあの豊満なバストは整形のたまものなのですから。そんなことはどうでも。

とにかくカントリーシンガーとしては異色のヴィジュアル。まるで、そのベイビーヴォイスに合わせたような外見。

それでも、ドリーのあふれんばかりの才能を知ればだれもが認めてしまうのです。
その歌唱力、パフォーマンス、そして何よりもソングライティング。

テネシー生まれのドリー。
12人兄妹で、ハイスクールへ行けたのはドリーだけという典型的なプアホワイト。
母親が作ったツギハギだらけの服を着て小学校へ通ったというエピソードは彼女のヒット曲「コートはカラフル」The coat of many colors でよく知られています。

その後のグランド・オール・オプリでの強引な売り込みなど、ドリーのサクセスストーリーはアメリカではつとに有名で、それもこれも極貧生活を味わったハングリー精神と生来の陽気な性格によるもの。もうひとつ加えるならば、並々ならぬ努力。

ちなみに成功してからのドリー、子供時代の貧困生活について、
「自慢することではないけど、恥ずべきことでもない」
と。

彼女のヒット曲といえば、1970年初のナンバーワンヒット(カントリーチャート)になった「ジョシュア」Joshua 、その3年後にポップスとしても大ヒットとなった「ジョリーン」Jolene 、さらには74年にやはりナンバーワンヒットとなった「オールウェイズ・ラヴ・ユー」I will always love you 、そして前述した「コートはカラフル」などなど。

とりわけ「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は82年にセルフカヴァーで再び第1位に。さらには洋楽ファンなら周知のとおり、1992年には映画「ボディガード」に主演したホイットニー・ヒューストンWhitney Houstonが主題歌としてうたい世界的なヒットに。
もちろんライターはドリー。

とにかくカントリーチャートでナンバーワンに輝いた曲は20以上といいますから、まさにカントリーの女王。

こうしたヒット曲もいいのですが、カヴァー曲がまたいい。
内外を問わずカヴァーが上手ということは、歌唱力があるということでも。

そうしたカヴァーの中にもヒット曲は少なくありません。

そもそもドリーがカントリーシンガーとして全米で認知されるきっかけになったのは、当時人気だったポーター・ワゴナーPorter Wagoner のTVショーに相手役として抜擢されたことからでしょう。

そしてポーターとのデュオアルバムを何枚もリリースし、その中からヒット曲もいくつか生まれています。

そのなかには64年にトム・パクストンTom Paxton で大ヒットした「ラスト・シング・オン・マイ・マインド」The last thing on my mindや「プリーズ・ドント・ストップ・ラヴィング・ミー」Please don't stop loving me 、「ビフォア・アイ・メット・ユー」Before I met you などがありますが、
個人的なベストフェヴァリットはオールドカントリーの匂い芬々の「メイキング・プラン」Making plans。
ブルーグラスやカントリーロックもいいけれど、齢を重ねるとこうしたオールドファッションのカントリーが心に沁みてくるんだなぁ。

自分の元を去っていく恋人に、「傷心に備えなくては」「あなたを忘れないようにしなくては」「あなたのいない孤独にたえなくては」と心の準備を吐露する健気なハートブレイク・ソング。
いにしえの時代にならって邦題をつけるなら「覚悟はできてるわ」ってとこでしょうか。

元は1960年代にウィルバーン・ブラザーズWilburn Bros. がリリースしたもので、ドリー&ポーターのデュオがヒットさせたあとも、1987年のドリー、エミルー、リンダのアルバム「トリオ」Trio の中にも収録されています。このときはエミルーEmmylou Harrisがリードヴォーカルを担当。

もうひとつ付けくわえると、この「メイキング・プラン」の作詞作曲コンビの最大のヒット曲はバック・オウエンスBuck Owensの「アクト・ナチュラリー」Act Naturally(のちにビートルズによってヒット)。

さて、ドリーとポーターの“蜜月”は8年間続きますが、ドリーの飽くことのない向上心は、カントリーの枠を飛び出し、ポップスへさらにはハリウッドへと向かっていきます。

そのハリウッドでは映画ファンならご存知のとおり、「マグノリアの花たち」や「9時から5時まで」などで並いる芸達者にまじって一歩もひけをとらない演技力で観客を魅了し、才能豊かなところさらにアピールしました。

恩人・ポーターを超えて全米的シンガー、アクトレスになったわけですが、そのポーターに感謝の意味をこめてつくったのが「オールウェイズ・ラヴ・ユー」だといわれています。

それではカントリーファン以外でも知っている、ドリーのカヴァーソングのいくつかで、そのスイートヴォイスをどうぞ。

「孤独の影」Games people play
「転がり込むんだ恋人の腕に」Rollin' my sweet baby's arms
「風に吹かれて」Browin' in the wind
「アメージング・グレイス」 Amazing Grace                               「悲しき天使」Those were the days

ポーター・ワゴナーも、バック・オウエンスも、ジョニー・ラッセルも、いまはもうみんないません。でもドリーは健在。……女は強し。


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にしにし

打ち止め、反対。
by にしにし (2011-04-05 05:30) 

MOMO

にしにしさん、こんにちは。

もうしばらくは続けるつもりなのですが、「打ち止め」のフンイキがでていたのでしょうか。

いささかムリしている部分もありますので、そのへんを見透かされてしまったのかもしれませんね。

はげましていただいて感謝しております。
by MOMO (2011-04-10 00:12) 

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