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その名は●トニー [the name]

トニー谷.jpg

♪ 星のない暗い空 燃える悪の炎
  こらえこらえて 胸にたぎる怒りを
  冷たく月が 笑ったときに
  命賭けて男の 怒りをぶちまけろ
  怒りをぶちまけろ
(「男の怒りをぶちまけろ」詞・滝田順、曲・鏑木創、歌・赤木圭一郎、昭和35年

トニーTonyと聞いてすぐ口に出るのはトニー・リチャードソン
イギリスの映画監督でアラン・シリトーの「長距離ランナーの孤独」が思い浮かびます。日本でいったら松竹ヌーヴェルバーグの篠田正浩的かな。

俳優なら「手錠のままの脱獄」のトニー・カーチス
またトニーはアンソニーAnthony の愛称なので、「サイコ」や「審判」で好演したアンソニー・パーキンス、レクター博士から「日の名残り」でストイックな執事に変身してみせた英国俳優、アンソニー・ホプキンスがいますし、フェリーニの「道」やフレッド・ジンネマンの「日曜日には鼠を殺せ」が忘れられないアンソニー・クインもいます。

イタリアやラテン系ではアントニオになりますから、アントニオ・バンデラスも「トニー」ですし、なんといってもわれらがアントニオ猪木も。

音楽の世界では、シナトラと同じイタリア系のポップシンガー、トニー・ベネットTony Bennett。

オリンピックのスキー金メダリストで、映画にも主演し歌もうたっちゃったトニー・ザイラーもToni sailer 「黒い稲妻」とかいって日本でも人気でした。昭和30年代の話ですが。

ほかではトニー・オーランドTony Orlando 。自身のバンド、ドーンDawn をフィーチャした「幸せの黄色いリボン」A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Treeや「ノックは3回」Knock Three Timesは日本でもヒット。

またカントリーにはギターの達人、トニー・ライスTony Rice がいるし、カンツォーネでは「コメ・プリマ」Come Prima や「ラ・ノビア」La Noviaなどで知られるトニー・ダララTony Dallaraとイタリアン・ロカビリー?のリトル・トニーLittle Tonyが。

でも今日のトニーは日本人。
突っ込まれる前にいっときますが、トニー谷ではありませんから。
そうです、今日2月21日はトニーこと赤木圭一郎の命日。昨年50回忌が営まれたといいますから、今年で丸50年が経ったことになります。

日本映画のファンならごぞんじのとおり、赤木圭一郎は日活で、石原裕次郎、小林旭に続く“第三の男”として期待された映画スターだったのです。
2年足らずの間に、10数本の映画に主演し、その主題歌を中心に多くのレコードを残し逝ってしまった伝説のスターなのです。

その散り方が日活の撮影所内でゴーカートに乗って遊んでいる時、運転操作を間違えて鉄扉に激突という、ジェームス・ディーンを想わせるすさまじいもので、このこともまたトニーをカリスマ化させるひとつのファクターとなりました。

余談ですが少し前にムッシュことかまやつひろしの自伝を読んだのですが、そのなかにトニーとのエピソードが出てきてびっくりしました。

事故が起きた昭和36年といえばロカビリー熱も終焉を迎えていた頃。
ムッシュは日活映画にもチョイ役で出たり、主題歌をうたっていたそうで、そんなことからトニーと懇意になったとか。
当時の日活撮影所には野球部やボクシング部があったのですが、ムッシュとトニーは相談してゴーカートのクラブをつくろうということになります。

そして知り合いに頼んだゴーカートが撮影所に運ばれてきた当日、では試乗ということでトニーとムッシュはジャンケンをします。そしてトニーが勝ち、はじめにゴーカートに乗ることに。

そしてそのトニーの運転するゴーカートはそのまま鉄扉に激突してしまうのです。

ムッシュが先に乗っていたとしても、彼は事故に遭わなかったでしょうが、そのタイムラグによってトニーが無事試乗を終えたという可能性はゼロではないでしょう。
まあ、それが運命といってしまえばそうなのですが。

それにしても赤木圭一郎の死(実際は事故の一週間後に死亡)にムッシュが立ち会っていたとは。

残念ながらトニーの全盛期、わたしはヨチヨチ歩き(でもないか、でも脳ミソの発達具合はそんなもの)で、彼の映画をリアルタイムで観たわけではありません。
のちに名画座で、というのがほとんど(タフガイ、マイトガイもそう)。

しかしわたしのなかでは、ナンバーワン。当時の言葉でいえば最高にイカしてました。
演技や歌の上手下手なんて二の次。その存在感や発するセリフがマイ・ヒーロー。
一に赤木、二に渡、三四がなくて五に健さん、てな具合でしたから。

それではトニーの歌を映像とともに聴いてみたいと思います。
全部とりあげたかったのですが、顰蹙をかいそうなので、厳選して以下の5曲を。
永遠のライバル、ジョー(宍戸錠)とのかけ合い「トニーとジョー」(拳銃無頼帖「明日なき男」挿入歌)がないので残念でした(追加しときました)。

「黒い霧の町」
「拳銃無頼帖」第一作「抜き射ちの竜」主題歌。全四作のうちはじめの二作がヒロイン浅丘ルリ子、あとの二作が笹森礼子。どちらも眼が大きくて、はじめは見分けがつかなかった。トニーがブレイクした記念すべき作品。映画音楽は四作すべて山本直純が担当。主題歌挿入歌は別。

「海の情事に賭けろ」
同名作品主題歌。YOU-TUBEは中原早苗。のちの深作欣二夫人ですね。だいたいはヒロインの仇役っていうのが多かったですね。ヒロインはだいたい笹森礼子。どうしているんでしょう。
トニーがいきなり海に浮いているっていうのがスゴイ。俯瞰の海のヨットのシーンはのちにフランスのロベル・アンリコが「冒険者たち」で真似した。ウソです。でもこの映画の方が公開が早いのはたしか。

「男の怒りをぶちまけろ」
同名作品主題歌。ハイジャックを先どりした映画。作曲はこの映画の音楽も担当した鏑木創。かの裕次郎の「銀座の恋の物語」も。ほかにも勝新太郎の「悪名のテーマ」や渡瀬恒彦の「三千世界のブルース」など。またオールドファンには懐かしい「少年探偵団のうた」も。ただし♪ぼ、ぼ、ぼくらは ではなく♪とどろくとどろく あの足音は のほう。

「不敵に笑う男」
「拳銃無頼帖シリーズ」の3作目の主題歌。宍戸錠、藤村有広、二本柳寛と役者はそろってます。宍戸錠の役名はまだ「ジョー」ではなく「ケン」でした。
このレコードのB面が「海の掟」でこれもなかなかいい曲。

「夕日と拳銃」
「拳銃無頼帖シリーズ」二作目の主題歌。1950年代アメリカの西部劇を想わせるメロディー。作曲は「霧笛が俺を呼んでいる」をはじめトニーの作品の大部分を担当している藤原秀行。ほかでは「アカシヤの雨がやむとき」「東京ブルース」など西田佐知子の歌を多くてがけている。
YOU-TUBEは助演の白木マリ(待ってました!)。セクシー度は日活ナンバーワンで、キャバレーで踊るダンサーのシーンなど、当時の青年の眼には毒だ(いやクスリだ)った。
シングルレコードではこちらがB面でA面は「野郎泣くねえ」。これがまたいいんだ。

トニーが生きていれば70歳を過ぎているわけで……、まるで想像できませんが。
トニーを羨望の眼差しで観ていたハナタレ小僧が還暦になろうというのに、当のトニーは永遠の21歳。……滅法カッコよすぎるぜ。


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MOMO

Mashi☆Toshiさん、読んでいただいてありがとうございます。


by MOMO (2011-02-22 00:21) 

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