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秋歌③失恋の海 [noisy life]

失恋の海.jpg


The lights in the harbor
Don’t shine for me
I’m like a lost ship adrift on the sea

Sea of heartbreak
Lost love and loneliness
Memories of your caress so divine
I wish you are mine
Again my dear
I am on this sea of tears
Sea of heartbreak
([SEA OF HEARTBREAK] written by PAUL HAMPTON and  HAL DAVID, vocal by DON GIBSON, 1961)


いつも通る公園の彼岸花が咲きそろいました。やっと秋らしくなってきました。

で、なんとか秋の歌をもう1曲。

秋になるとつい口ずさみたくなるのが、
♪今はもう秋 誰もいない海……

という「誰もいない海」
淋しくても、つらくても「死にはしない」という詞が新しかった。
でも本心は死にたい思いなのでしょう。それほど辛い失恋だったのでしょう。

トワ・エ・モアでヒットしましたが、秋に似合うシャンソンということで昨年亡くなった大木康子で聴いてみたい。

自分以外に誰もいない海、まさに失恋の海です。
そんなタイトルの歌がカントリーにありました。

「失恋の海」Sea of Heartbreak 。
1961年、ドン・ギブソンでヒットしました。

〈君を失くした僕は海に漂う船みたいなものさ。君が帰ってきてくれなければ僕は永遠にこの海を漂うことになる。もし岸にたどり着き君の腕の中へ戻ることができるならばなんでもする。だから戻ってきておくれよ〉
というハートブレークソング。

ドン・ギブソンは1928年ノースカロライナ生まれで、ネイティヴアメリカンの血を引くカントリー・シンガー。
ドン自身も「失恋の海」や「ロンサム・ナンバー・ワン」Lonesome Number One のヒット曲がありますが、それよりも他人にカヴァーされてビッグヒットとなったソングライターとして知られています。

彼の初ヒット「スウィート・ドリームス」Sweet Dreams はパッツィ・クラインがカヴァーし、さらにはエミルー・ハリスがうたって1976年にカントリーチャートで1位に輝いています。

また「オー・ロンサム・ミー」Oh Lonesome Meはジョニー・キャッシュストーンウォッシュ・ジャクソンらのカントリー・シンガーにもカヴァーされましたが、1970年にニール・ヤングNeil Young がロックにアレンジしてヒットさせ、ロックファンの知るところとなっています。

そしてさらに「愛さずにはいられない」I Can’t Stop Loving You はコンウェイ・トゥエッティキティ・ウェルズをはじめ多くのカントリーシンガーの愛唱歌となりましたが、最大のヒットは、みごとにソウルにアレンジしたレイ・チャールズRay Charlesのヴァージョン。

ではカントリーチャート2位になった「失恋の海」は?

実をいいますと、本家ドン・ギブソンで聴く前に“カヴァーシンガー”で聴いていたのです。おまけにそのシンガーのオリジナルだと思っていたのだから情けない。
それがジョニー・キャッシュJohnny Cash。

そんなわけで、どうしてもこの「失恋の海」はドン・ギブソンではいささか物足りないのです。ジョニー・キャッシュのあのスゴミのある声で聴かないと恋を失くした男の哀愁が伝わってこないのです。
「黒い花びら」水原弘でないとダメなのと同じで。

実は……、実を申しますと、この「失恋の海」、いちばんはじめに聴いたのはジョニーさんでもないのです。ケニー・プライスかって? でもないんです。

実は(しつこいね)、斎藤チヤ子が“初体験”だったのです。
♪港の灯が ひとつずつ 消えてゆく 夜更けよ
っていう安井かずみさんの詞で。

残念ながら斎藤チヤ子盤がYOU-TUBEにないので(ありまし。すぐに消えるかも)、同じ女性の「失恋の海」ということでジョニー・キャッシュの娘ロザンナRosanne Cashで。

チヤ子さんの「失恋の海」は「愛のバルコニー」Papa for Me You Build BalconyのB面でした。
この「愛のバルコニー」、カントリーではないんですけど(原曲はターキッシュな感じ)、なかなかです。日本なので、マイナーチューンの曲をA面にするのは仕方ないかな。

ついでにいうと、斎藤チヤ子の最大のカヴァーヒットはニール・セダカ「小さな悪魔」Little Devil でしょうね。

カントリー向きの声で、英語でうたうともっと上手に聞えて、もったいなかったなぁ、あんなに早く引退するとは。
彼女が続けていたら日本のカントリーミュージックシーンも今とは変わっていたかもしれません。大袈裟かな。

それはともかく、失恋が似合う季節といえばやっぱり秋ですね。
太陽に煽られた熱狂から醒めて冷静になってみると、
「あれっ? よくよく考えてみるとアイツ自分のタイプじゃない。……なにしてたんだろいままで、自分……」
なんて“改心”しちゃって。
夏が過ぎたら秋が来た。なんて古典的なシャレをいってる場合じゃなくて。改心されちゃったほうはたまんない。

海へ行かずとも、公園のベンチか何かに腰掛けて、降り注ぐ枯葉を浴びながら一点をみつめて。
そばを通るオッサンに「いよッ、青年。いいね、物思いにふける季節、秋だねェ」とかなんとか冷やかされて。
物なんて思っちゃいない、ただ放心しているだけなのにね。

でも青年(青女、いや彼女でもいいですけど)、落ち込むことはない。そのうちわかるよ、とりあえず恋をしなくちゃ失恋もできないって。

これから来る冬はゆっくり休んで英気を養い、来年の春になったらまた新たなる恋に向かって走り出せばいいじゃないか。

そう、失恋したらいったん休んでまた走り出す。
これを「失恋レストラン」という。
……時節的に不謹慎だったでしょうか。


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