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その名は●エリー [the name]

江梨子.jpg
♪泣かした事もある 冷たくしてもなお
 よりそう気持ちが あればいいのさ
 俺にしてみりゃ これで最後の lady
 エリー my love so sweet
 …………
 笑ってもっと baby
 むじゃきに on my mind
 映ってもっと baby
 すてきに in your sight
 誘い涙の 日が落ちる
 エリー my love so sweet
  エリー my love so sweet
(「いとしのエリー」作詞・作曲:桑田佳祐、歌:サザン・オールスターズ、昭和54年)

女優の深津絵里のモントリオール映画祭で最優秀女優賞受賞のニュースは、ここ最近なにかと湿りがちなエンタメ界の「幸せな報せ」だったようです。

もちろん深津絵里の顔も名前も知っています。
以前勤めていた会社に出入りしていた銀行の渉外係のお兄さん、なんでも地元が深津絵里と同じ町だとかで、なにかと話題に出していました。
お兄さんいわく、「そりゃ、地元じゃ知らない人がいないくらいの美人。いえ、芸能界に入る前からですよ。私も彼女が高校生のころ何度か見かけましたが、チョー可愛かったですから」

映画もテレビドラマもほとんど見ないので、彼女の演技力がどれだけ素晴らしいかはわかりませんが、去年(でしたか)の寺島しのぶといい海外で通用する女優がでてくることはウレシイこと。でも見てないんじゃ話にならないけどね。

だからではなくたまたまですが、予定していた「絵里」すなわち「エリー」を。

「エリー」なんていうと、いかにも“洋名”のような気がしますが、実際外国のミュージシャンや女優では聞いたことがない。
それっぽい名前に「エリザベス」Elizabeth がありますが、愛称は「リズ」「リサ」が一般的で、「エリサ」「エリーゼ」はあっても「エリー」はない。

つまり「エリー」は日本人の名前なのです。
そのまんま「エリー」もいるかもしれませんが、よくあるのは「恵利」や「絵里」。
もっと昔ならそれに「子」がついて「恵利子」や「江梨子」など。

で、日本でいちばん知られた「えり」の歌といえば上にのせたサザン・オールスターズ「いとしのエリー」
この「エリー」については、桑田佳祐がファンのエリック・クラプトンEric Clapton のことだとか、彼の姉の名前が「えり子」なので姉上讃歌だとか、いろいろなことがいわれているが、本人はどちらも否定しています。

“姉説”はともかく、「エリック」はないのではないでしょうか。
「エリック」の愛称なら「リック」とか「リッキー」でしょうから。
そういえば、ユーコン・エリックとかフリッツ・フォン・エリックなんていましたね、ある世界に。関係ないけど。

いずれにしてもアメリカンスタンダードの香りがする名曲です。

しかし、その「エリー」が世に出るふた昔も前に「エリー」の歌がありました。

東京都の人口が1000万人を突破し、ファイティング原田がフライ級の世界チャンピオンになった昭和37年、その歌が誕生しました。

当時歌謡界を席巻していた「青春歌謡」のトップシンガー・橋幸夫がうたった「江梨子」がその歌。

♪冷たい雨が ふる朝に……

ではじまるこの歌は、青春歌謡というより流行歌の定番だった「悲恋もの」。
恋人だった江梨子の死を嘆き悲しみ、墓前に花を供えるという内容(端折りすぎ)。こういう恋人の片方を“殺しちゃう”ストーリーは今も昔も。

で、当時、流行歌がヒットすると必ずといっていいほど映画化されたもの。とにかくスピード勝負でレコードが売れている間に映画を1本作っちゃおうというのだからスゴイ。それほど映画界にまだ活気があったのでしょうね。

「江梨子」も例にもれず、当時あった大映(看板女優が若尾文子でした)で映画化。
主演は当の橋幸夫と大映のホープ・三条魔子。映画もヒット(したはずです)。

三条魔子はこの映画をきっかけに「三条江梨子」と改名。
翌年には日活の浜田光夫とのデュオで「草笛を吹こうよ」をレコーディング。これもそこそこヒット。この曲は「平成のエリー」こと国仲涼子がカヴァーしている。

しかし、せっかく「江梨子」と改名した三条さん、そのあとなぜか名前を「魔子」に。そして大映の倒産とともに芸能界からも身を引いていきました。

当時はめずらしかった女性の名前だけの歌のタイトル。この歌がさきがけとなり、その後「純子」とか「サチコ」なんかがでてくるようになりますね。
作詞は佐伯孝夫。でもどうして「江梨子」だったのでしょうか。

当時「えりこ」という有名人がいたわけではありません。
ただ、昭和20年代に劇作家の内村直也が書いたラジオドラマ「えり子とともに」が人気だった(その後映画化、テレビドラマ化)ので、その影響があったのかも。

あるいは、佐伯孝夫の好きな女性の名前だったり。
なにしろ、彼は知る人ぞ知る艶福家で、彼の流行歌デビュー作「ミサよ、タンゴを踊ろうよ」のミサは恋人のダンサーの名前だったという説もあるぐらいなので。

ただ「江梨子」という名前はともかくとして、この歌のストーリーを書くとき作詞家の頭の中にはひとりの実在の女性がいたことは事実のよう。

その女性は、銀座のバーの女給さん(江梨子という名前ではないが)で、とりわけ小説家や詩人には大人気で、そのうちの何人かとは浮名を流したほど。しかしそんなモテ女も40歳を過ぎ、突然自殺してしまう。

佐伯孝夫もそのバーに通ったひとりのようで、「江梨子」には彼の鎮魂の思いがこめられているという。

そしてその女給さんの最後の「男」だった大岡昇平は、彼女をモデルとして「花影(かえい)」を書いた。
その後川島雄三監督によって映画化(主演・池内淳子)。

原作でも印象的だった美術評論家(佐野周二)がとてもじょうずに描かれていました。軽薄を絵に描いたようなテレビプロデューサー(高島忠夫)も。

ただその原作小説については、命を絶った女性を知る文人仲間からは辛辣な批判があったそうで、それは当然だろうと思います。

いつもながら冗舌がすぎて予定オーバーとなってしまいました。
急いでそのほかの「エリー」を。

なんといっても江利チエミ
江利チエミといえば「テネシー・ワルツ」「カモナ・マイ・ハウス」などのカヴァー曲がいちばんですが「酒場にて」「新妻に捧げる歌」「ひとり泣く夜のワルツ」などのオリジナルヒット曲も。

あとはアイドルでは、
大橋恵里子経験シーズン)やおニャン子クラブの新田恵利冬のオペラグラス)。
本格派では平松愛理部屋とYシャツと私)がいます。

絵里もエリー、江梨子もエリー。なら「エリカ」もエリーでいいかもね。
エリカといえば忘れたころに“大声あげる”女王様。

いまひとつカラ回りしてるように見えるのはスタッフに恵まれないのかな。え? それも自業自得だろって? まぁね。

でも、いつか女優として再び開花するときが来ますよ。
ホラ、西田佐知子の歌にもあるじゃないですか「エリカの花咲くとき」って。
え? あれは「エリカの花散るとき」だろうって?
……そうか、ゴメン。


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MOMO

galapagosさん、niceをありがとうございます。
by MOMO (2010-09-12 21:01) 

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